。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆

   やまのい和則の
     「軽老の国」から「敬老の国」へ

     - Yamanoi Kazunori Mail Magazine -

            第107号(2001/03/02)

    。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆

「禁足」と予算委員会厚生労働分科会報告と私の思い

 メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。
今は3月1日の深夜1時。正確には3月2日。
昨日の私の衆議院予算委員会の厚生労働分科会での質問(30分)
などを報告します。

 3ヶ月ぶりの厚生関係の私の国会質問でしたので、その内容の
要約や私の思いなど、例によって非常に長いメールマガジンです。
お忙しい方は軽く読み流してください。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

 3月1日
とうとう村上正邦前参議院議員が逮捕されました。

また、自民党の古賀幹事長が、諫早湾の水門を一時開けることを
明言しました。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

そして、2日今日は、衆議院本会議で予算案が通過し、そのあと、
野党4党の内閣不信任案が提出される予定です。

 今日は衆議院議員全員に「禁足」がかかっています。
「禁足」とは、何時から衆議院本会議が開かれるかわからないので、
すべての衆議院議員が、20分以内に国会に戻ってこれる場所に
いなさいという指示が出るのです。
実は、私は今日の午後、大阪が講演の予定でしたが、「禁足」の
ため出張できなくなってしまいました。

 ドラマのある1日になりそうです。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

 さて、3月1日、昨日を振り返ります。
朝8時から民主党の厚生労働部会。
厚生労働委員会などに所属する民主党の衆参議員20人と秘書さん
や民主党本部スタッフなど合計40人の会合。

年金法案など、この国会に出ている法案の対応(賛成か反対かなど)
や、医療事故の政策の議論、「医療の情報開示」のワーキングチー
ムの立ち上げについて話し合った。

 朝9時からは総務委員会。
地方財政や地方自治についての与党の質問。
総務委員会は、朝、昼、夕方と3回にわけて合計3時間行われた。

 10時からは、ホームレス問題対策のチームの勉強会。
東京でホームレスの方々に、炊き出しで食事を提供しているボラン
ティアさんやホームレスの当事者の話を聞く。

池袋で4年間、路上生活をしている63歳の方は、
「63歳だとどこも雇ってくれず、4年路上生活。区役所に行っても
1日にカンパン4つしかもらえない。これでは生きてゆけない。
区の担当者は
『倒れたら、その時には救急車で病院に運びますよ。まだ元気に
人には対応できません』という。そう言われたって、簡単に倒れる
ことも人間できない」とのこと。

      ☆      ☆      ☆      

 3月5日月曜日には、まる1日かけて大阪のホームレス問題の
現地視察に行く予定であったが、国会情勢が緊迫しているので
12日に延期になった。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

 昼食時間も総務委員会。
国会事務所の部屋では、海野政策秘書と助っ人の竹端君が、予算委
員会の私の質問の準備を手伝ってくれた。

      ☆      ☆      ☆      

 質問の内容は、昨日のメールマガジンで告知したように、
朝倉病院問題。
200人が入院する埼玉の精神病院で、
違法な身体拘束(精神保健指定医の診察なしに患者を縛りつける)、
食事をとれる患者に、不必要な中心静脈栄養という処置を行い、
その結果、患者さんの死期を早めた疑いが昨年12月初旬に発覚。
テレビや新聞でも取り上げられた。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

 ほんの要点を報告します。
詳しい議事録は1〜2週間後に国会の委員部が作成し発表しますの
で、その時にホームページに掲示します。
今回は分科会なので残念ながらビデオはなしです(普通の委員会と
違って分科会は映像が残らないことをはじめて知った)。

 私の質問は1時半から。
場所は、衆議院の第5委員会室。
私は1時に委員会室に入ったが、やはり、緊張。
初めての坂口厚生労働大臣との論戦。

分科会の司会を務める議長は、なんと前厚生大臣の津島雄二議員。
そのまわりに厚生労働省の局長さんなど、幹部や関係者が10人以
上座っている。

そして、マスコミの記者さんなどが10人くらい。
衆議院の事務職スタッフや速記担当者が20人くらい。

狭い部屋が緊張感と熱気でむんむん。
気のせいか、いつもより部屋に緊張感がある。

やはり、朝倉病院問という疑惑が議論になるからだろうか。
厚生労働省の幹部の方々も引き締まった表情。

 そして、私の出番になった。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

1時37分から2時7分までの30分。
今の精神医療や、痴呆性高齢者対策の問題を、この30分に集中し
て訴え、前向きな回答を得ねばならない。

 メールマガジンにもいつも書いているように、今回の通常国会の
厚生労働委員会では、処理せねばならない法案が多いので、ほとん
ど一般質疑(法案に関係なく何でも議論できる質疑)はない。

つまり、今年の通常国会では、痴呆性高齢者問題や精神医療は、
下手をすれば、この30分しか議論にならないのだ。

      ☆      ☆      ☆      

 「朝倉病院の疑惑は、良心的な精神病院にとっては大きな迷惑。
良心的な精神病院の信頼を回復するためにも、しっかりとした真相
究明と対応が大事」と冒頭発言した。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

 以下が、簡単な要約。
事務所スタッフのメモと、私の記憶で書いていますので、
大臣や副大臣の答弁は言葉どおりでないかもしれません。
正直言って、答弁も抽象的な言葉が多く、趣旨がわかりにくいもの
も多いのです。
文責はすべて私にあります。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

1)坂口大臣は、朝倉病院の問題をどう認識しているおられるます
  か?

<坂口大臣>
不法な身体拘束など問題だと思う。現場に何年も携わっていたもの
として、医の倫理の問題でもあると思う。
 昨年の12月と今年の1月には、県も厚生省も立ち入り検査を
実施し、改善命令も出した。
再発を防ぐためには、全国的に精神病院に文書で通達も出した。

2)朝倉病院の問題は「氷山の一角」か? 
  それとも例外のケースですか?

<桝屋(ますや)副大臣>
(公明党、元山口県の職員として医療監視に立ち会ったことがある)
違法行為をしている病院は、ごく一部。
実地指導や医療監視を通じて、指導している。もし朝倉病院のよう
な問題が他にもあれば、必要な調査を元に厳正に対処していきたい。

3)朝倉病院の問題は、行政の監査で発覚せず、内部告発が原因
  でした。これまでの精神病院への医療監視は機能をほとんど
  果たしていなかったのでは?
  再発防止のために、監査をどのように徹底するのですか? 

<副大臣>
朝倉病院に関しては、マスコミで報道される前に把握して、調査も
していた。再発防止のためには、全国の担当者を集めた会議等で
徹底するつもりだ。
また、精神病院では、生活保護受給者の問題も多いため、各福祉事
務所のケースワーカーが、積極的に関わり、適切な処遇がされてい
るかチェックしてもらう、などの実態把握の徹底に努めたい。

4)「徹底を!」とはかけ声倒れで、劣悪な病院をチェックできて
  いないではないですか。

  今回の朝倉病院も監査ではひっかからず、内部告発で今回の
  問題が明るみに出ました。

  朝倉病院は、30年前にも患者さんへの暴行事件など事件を起
  こし、国会のこの分科会でも質疑が行われています。
  
  30年前と同じような問題が未だに続いています。
  再発防止のためには監査を定期的に抜き打ちで行うことと、
  監査の際に書類ばかりでなく病棟をきっちり見て回ることが
  必要だと思います。

<大臣>
ご指摘の通りだ。疑いのある病院では、抜き打ち検査も含めて行い
たい。全てを抜き打ちにする、と言うわけにはいかないが、疑われ
てるところは抜き打ちも織り交ぜながら、やりたい。
各都道府県にも、織り交ぜてやるように指導を徹底したい。

5)精神病院医療監視や、病院実地指導の内容の公開を、都道府県
  に義務づけるべきではないですか?

<副大臣>
医療監視の結果についての情報公開は、各都道府県の判断による。
4月に施行される情報公開条例では、国の特定機能病院に指定され
た病院では、情報を開示することが原則となる。
そのような情報開示の流れが主流だ。
ただ、開示の際は、個人のプライバシーや病院の正当な利益を害す
る内容は、公開することは出来ないが、必要なものは公開したい。

<大臣>
地方では、積極的にやっているところもあると聞く。
この問題は、むしろ国のほうが地方を追いかけているのが現状だ。
全部やらざるを得ない、という時代になってきている。

6)監査の結果を発表するのが「時代の流れ」「そういう時代だ」
  とおっしゃるならば、厚生労働省が「精神病院の医療監視の結
  果を開示することが望ましい」と、都道府県に通知を出すべき
  ではないですか。

<副大臣>
検討中である。今すぐに出すことはできない。

7)このような一部の劣悪な精神病院の問題は、30年以上放置さ
  れてきた問題なんですよ。
  
  それでも通知を出せないのですか?

<大臣>
隠すつもりはない。「やらなきゃいけない」と思っている。
ただ、手順を踏ませてほしい。

8)そもそも朝倉病院は、200人の患者さんのうち7〜8割が痴呆
  性高齢者。
  半数以上が東京からの入院患者。
  軽度や中度の痴呆性高齢者にとっては、特別養護老人ホームや
  グループホームのほうが適している。
  重度の痴呆性高齢者を短期間、精神病院に入院することは確か
  に必要だ。
 
  しかし、特別養護老人ホームやグループホームが足りないから
  という理由で、軽度や中度の痴呆性高齢者を安易に人生の最後
  まで長期間、精神病院で面倒見るのはおかしい。

  そんなことをしている国が世界を見回してもない。

<大臣>
そのとおりだ。だから、来年度予算でも、特別養護老人ホームや
グループホームの整備を急いでいる。

 以上が簡単な内容です。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

 身寄りのない痴呆性高齢者や精神障害者の人権は、都道府県や
病院や家族の力だけでは守れない。

国会と厚生労働省がしっかりせねばならない。

      ☆      ☆      ☆      

 「この朝倉病院は、昭和44年にも、暴行事件や不正請求で、
問題になり、国会の予算委員会の厚生分科会で、取り上げられてい
るではないですか。それから、32年たって、なぜ、また同じ問題
が起こるのですか。なぜ、行政はそれを改善できなかったのですか」
と私が訴えると、津島前大臣も坂口厚生労働大臣も大きくうなずき
ながら、私の話を聞いてくださった。

「質の悪い精神病院を、このまま放置していいのか」
この私の訴えに、気のせいか、厚生労働省もお役人さんたちも
うなずいておられたように思えた。

ある意味では、政治家以上に、厚生労働省の官僚のほうが、今回の
朝倉病院の事件は、じくじたる思いであろう。

      ☆      ☆      ☆      

 ただ、私が怒って激しく質問し、自己満足しても精神医療は良く
ならない。

今回質問し、大臣や副大臣から頂いた答弁を、きっちり実行しても
らうように、これから私は、厚生労働省と協力して、仕事をせねば
ならない。

厚生労働省任せではなく、質問した私の責任のほうが重い。

 私は今回の問題をひとつの精神病院だけの問題とは思っていな
い。構造的な精神医療や痴呆性高齢者ケアの遅れの問題だと思って
いる。
だから、私は精神医療や痴呆性高齢者のケアを良くしたいという
一心でこの問題を取り上げている。

      ☆      ☆      ☆      

先ほども書いたように、国会はKSD疑惑や諫早湾の問題、内閣不
信任案の提出、森首相の今後の進退などで、連日騒然としている。
政治家やマスコミ関係者が国会を走り回っている。

 それも確かに政治である。

しかし、私は「大きな政治」と「小さな政治」の両方があると思う。

つまり、「大きな政治」の問題とは、マスコミをにぎわす逮捕や
首相の進退など。
「小さな政治」は、今回私が質問したような精神医療や痴呆性高齢
者ケアという地味なものである。

 これはどちらがより大事とは言えない。

車の両輪だ。

あえて「小さな政治」と書いたが、地味で小さいかもしれないが、
全国の200万人を越える精神障害者や痴呆性高齢者、さらに、その
ご家族、そして、患者さんやお年寄りのために日夜、現場で働いて
いる方々にとっては、「小さな政治」も、いや、「小さな政治」こ
そが大きな、切実な問題なのだと思う。

命に、そして、人生にかかわる問題である。
家庭が崩壊するかどうか、その人の人生がどうなるかに大きくかか
わる問題である。

だから、私は「小さな政治」を大事にしたい。

正直言って、私にとっては、「大きな政治」よりも「小さな政治」
のほうが「大きな問題」である。

しかし、私も政治家である以上、福祉研究者ではない以上、
この「大きな政治」と「小さな政治」を両立させねばならない。

なぜなら、「大きな政治」がよくならないと、「小さな政治」も
根本的には良くならないのだから。

 繰り返しになるが、この通常国会も150日間開かれるが、精神医
療や痴呆性高齢者ケアについての国会の委員会で質問や議論なんか
ほとんどない(関連する法案が出ていないから)。

精神医療や痴呆性高齢者ケアをどのように改善するかという方向性
や方法については、さまざまな議論があるであろう。

心の病が増え、「ひきこもり」に苦しむ人たちが60万人を越えてい
る今日、身体的な医療と共に精神医療はますます重要である。

しかし、国会でほとんど議論されないのは許せない。

苦しんでいる患者さんやお年寄り、又、現場で働いておられる方々
に対して失礼であり、無責任である。

精神障害者や痴呆性高齢者や、そのご家族が偏見なく人間らしく暮
らせる社会。
そして、精神医療や痴呆性高齢者ケアに従事する人が誇りを持って
働ける社会を私はつくりたい。

      ☆      ☆      ☆      

 ただし、次の国会では2002年の医療制度の抜本改革が議論にな
るので、精神医療のあり方も議論になるだろう。
また、来年は、「3年後との介護保険の見直し」が近づくので、
介護保険の見直しが国会で議論されるであろう。

しかし、そんな時々、事務的に「法案が出てきたから」と、流れ作
業のように議論してもダメだと思う。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

 例によって非常に長いメールマガジンになってしまって申し訳あ
りません。

 この分科会の質問のあと2時半からは、民主党の歯科医療のワー
キングチームの会合に出席。
歯科医師の方々を招いて現場の要望を聞かせてもらい、民主党の
参議院選挙に向かっての歯科医療政策を桜井参議院議員を中心に
説明。議論。

 3時すぎからは年金法案チームとして、連合の方々と、確定拠出
型年金法案と確定給付型企業年金法案について意見交換。
古川議員、金田議員などと私。
4時に来客。
4時15分から5時までは、厚生労働省の担当者から前述の年金法
案についてのレクチャーを受ける。
そして、5時から6時半まで、この日3度目の総務委員会。
その委員会の最後には、民主党が野党と共に共同提案するNPO
支援税制の趣旨説明を金田誠一議員が行うのに同席。
そして、その後事務所でたまった仕事をして、夜の会合へ。

という1日でした。

 長い長いメールマガジンの失礼を改めてお詫びします。
また、今日の晩に予想される内閣不信任案の採決などについて後日
報告します。
           やまのい和則 拝
=============================================
読者数 1152(2001/03/02 現在)

戻る