。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆ やまのい和則の 「軽老の国」から「敬老の国」へ - Yamanoi Kazunori Mail Magazine - 第77号(2000/11/22 不信任案採決ドラマNo.1) 。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆ メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。 現在時刻は、11月22日午前1時。 昨夜の内閣不信任案の採決から、ほぼ一日が経とうとしています。 私はあまり政局のドロドロした話は好きではありませんが、やは り、今回のことは、非常に考えさせられたので、改めて昨夜のこと をドキュメントで振り返ります。 新聞ではない、山井和則が感じた1日のドラマです。 「政治とは何か?」を読者の皆さんとともに、考えたいと思います。 長くなりますが、お許しください。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 20日(月)は、朝から民主党京都の参議院選挙についての会議。 新幹線で東京に移動。午後3時に国会事務所到着。 厚生省の担当者と1時間、協議。 先週金曜日(17日)の、厚生委員会の質問で、私の 「痴呆性高齢者向けグループホームには、夜勤が必要」に対して、 「必要ない」と、政務次官が答弁した。 「それはおかしい。夜間徘徊をする痴呆性高齢者を預かるグループ ホームに夜勤がいないのは問題だ」と今、厚生省と議論中。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. そのあと、緊迫する予算委員会を傍聴。 原口議員の森首相への追求も熱が入る。 午後4時半から民主党の代議士会。 本会議前に開かれ、民主党衆議院議員の意思統一がはかられる場だ。 さすがに、不信任決議案の採決、衆議院が解散し選挙かもしれない、 緊迫した雰囲気。 衆議院議員127人と秘書さん、マスコミの取材陣で部屋は超満員。 「今日、日本の政治を変えようではありませんか!」と鳩山代表が 演説。 大いに盛り上がる。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 衆議院本会議は午後9時からなので、午後5時半にいったん国会 事務所の部屋に戻る。 いま執筆している高齢者福祉の本について、編集者と打ち合わせ。 そして、先週訪問した老人ホームの原稿をテープに吹き込む。 出前の夕食を食べる。 私は、こういう重要な会議の前には、テレビなど見ていると、それ であっという間に、時間の無駄使いしてしまう。このような待ち時 間も、あえて福祉の本の執筆などに励むことにしている。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 午後8時から再び代議士会。 一時休憩して、本会議直前に、 「結局は、腰砕けか。いい加減にしろよな」という同僚議員の声。 「どうしたんですか?」と聞くと、 「加藤派と山崎派は全員欠席だって」とのこと。 「やっぱり! まあ、そんなことでしょう」と私は平静を装った。 が、私はショックというより “国民の期待を裏切った” “政治家が国民に、また嘘をついた”と腹がたった。 「また、茶番か。やってくれたな。この10日間のテレビや新聞で の騒動はいったいなんだったんだ」と。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 本会議場に入る。 左側の自民党席を見ると、確かに、空席が目立つ。 加藤派と山崎派が欠席なのだ。 無性に腹が立つ。ここまでみんなを期待させておいて、土壇場にな って、「欠席」という中途半端な姿勢はないでしょう。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 後ろを振り返ると、自民党長老の幹部の方々が笑顔で、握手をし たりしている。 何だこれは? さきほどまでの緊迫した雰囲気はなんだったんだ。 加藤さんの席は、確かに、空席。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 午後9時過ぎから、不信任案の討論がスタート。 鳩山代表の演説。 しかし、自民党席が落ち着かず、歩き回る議員が多く、議長から注 意される。 笑顔で握手している議員や、真剣に話し込んでいる議員たち。 よく見てみると、加藤派も半分くらいは出席している。 加藤派幹部が、無所属の席に行く。 そして、無所属の議員に何やら必死に説得し、議場の外に連れ出す。 おそらく、「賛成」と投じずに、「欠席せよ」という説得だろう。 そんな光景が随所に見られる。 与党席はこんな雰囲気で、鳩山代表の演説を聞いていない人も多い。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. そんな中で、新聞社の速報メモが、私たちの席にまわってくる。 「加藤氏と山崎氏だけは出席して賛成する予定」との速報。 いったい、どうなってるんだ。もめてるんだなあ、と感じる。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. そして、10時20分。 事件が起こった。 野党議員の野次に、演説中の与党議員が演壇からコップの水を、 野党席に向け、かけたのだ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 場内は騒然。 私もさすがに立ち上がった。 「おい、何やってるんだ!」と叫んでしまう。 私は普段は野次などはしない性格だが、さすがに居ても立ってもい られなかった。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. この10日間ほど、不信任案可決だとか、衆議院解散だとか、 テレビや新聞を巻き込んで、与党は、大騒動。 国民に「政治が変わるかもしれない」という期待だけを持たせてお いて、直前になって、密室談合の手打ち。 こんな国民(私も含めて)を馬鹿にした話はない。 これだけでも腹立たしいのに、おまけに、国民全体が注目し、全国 にTV中継されている緊迫した本会議。 神聖な国会の、この本会議場でこともあろうに、演壇からコップの 水を、野党席に向かってかけるとは、いったいどういうことだ。 国会史上もっとも下品な不祥事。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 私はもう怒りが収まらなかった。 別に私に向かって水が飛んできたわけではなかった。 しかし、私は「国会と国民をバカにするな! もう我慢できない」 という思いで、演壇に同僚議員とともに駆けよった。 「演説を止めろ!」と叫んだ。当たり前のことだ。 演説しながら、コップの水を野党議員に向かってまいて、そのまま 何事もなかったように、演説を続けることができるなら、国会の権 威、政治家のモラルはいったいどうなるのか。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. しかし、議長は与党寄りのため「続行!続行!」と言って、知ら んふりして、演説を止めさせようとしない。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 野党議員が大挙して演壇の下に駆け寄り、大騒動になった。 怒号が飛び交う中、私も叫んだ。 「恥を知れ! 子供たちもテレビでコップで水をかける光景を見て るんだぞ。恥かしくないのか!」 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. ご存知のように私はそもそも寝たきりや痴呆症のお年寄りの福祉 や障害者の福祉をよくしたいという一心で、国会議員になった。 人と争うのは大嫌いで、ケンカもほとんど出来ない性格。 野次も苦手。 しかし、国会議員が、自分の意見を、平気でひるがえす。 国会の演壇からコップで水をかける。 今回ばかりは怒りが爆発した。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. このコップの水かけ問題で、国会は4時間20分中断。 その議員は、懲罰委員会にかけられることになる。 10時20分にストップした本会議が、再開したのは午前2時40分。 共産党の賛成演説。 それを聞いているときに、また、新聞の速報の記事が回ってきた。 「与党幹部が、コップの水事件に関して、野党の若手議員は餓鬼 より下、と発言した」との速報。 確かに、野党席からは与党議員の演説に野次が飛んだ。 たとえば、「政治の一刻の空白も許されないので不信任案に反対!」 と与党議員が演説すると、 「森首相なら、まだ政治空白のほうがマシだ!」というような野次 が野党席から飛んだ。 「世論を気にしていちいち首相を変えられない!」と演説があれば、 「世論をバカにするな!」という野次が飛んだ。 逆に、与党席から野党議員の演説への野次も多かった。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. まあ、「野次がうるさい」などという表現は思いつくが、 「野党の若手議員は、餓鬼より下」と言われると、本当に情けない。 もうちょっとマシな表現はないのだろうか。 こんな発言をして、政治家は国民から信頼されるのだろうか。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. そして、不信任案の採決。私は賛成票を、当然投じた。 森首相が笑顔で投票すると、一斉にカメラのフラッシュがたかれた。 不信任案否決。 与党席から「ウォー」という歓声と拍手がまきおこる。 22日午前3時50分に本会議終了。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 議場を出ると、菅さん、土井さん、田中真紀子さんなどがテレビ カメラに取り囲まれている。 私は、一刻も早く、国会から離れたかった。 すぐに、表に出て、タクシーに飛び乗り、高輪宿舎に向かった。 もうこんな茶番劇は、いい加減にしてくれ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 私は、老人福祉を専門としていて、苦しんでいる寝たきりや、 痴呆症のお年寄りのことが、いつも頭から離れない。 先週実習した特別養護老人ホームの、若い寮母さんたちが、夜中に 必死になっておむつ交換をしてまわっている姿が、目に浮かぶ。 私の地元・宇治市の日産の京都工場は大幅に縮小され、600人もの 人が職を探している。 精神病院に入院している方々、ホームレスの方々。 今の社会でいろんな事で苦しんでいる方々、懸命に生きておられる 方々の姿が目に浮かぶ。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. それに比べて、この国会はいったい何なんだ。本当に国民のことを 考えているのか。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. コップの水騒動で4時間も空転するんなら、その4時間、真剣に 景気回復や、福祉充実のための議論をするべきだ。 そのほうがもっと社会はよくなる。 国会がしっかり機能すれば、日本の国はもっと暮らしやすくなる はずなのに・・・・。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 不機嫌でタクシーに乗って、 「宿舎に帰って手短にメールマガジンを打って寝るか」と思ってい ると、ラジオから加藤さんの談話のニュースが聞こえてきた。 「国民になんとお詫びをしていいかわからない。筋の通らないこと で・・・・・」 長いむなしい一日が終わった。 やまのい和則 拝 不信任採決ドラマ N0.2につづく。 |