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   やまのい和則の
     「軽老の国」から「敬老の国」へ

     - Yamanoi Kazunori Mail Magazine -

            第68号(2000/11/16)

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メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。
今は16日木曜日の夜中1時半。

東京の某特別養護老人ホームの、ナースステーションにいます。
夜勤スタッフに付き合いながら、このメールマガジンの原稿を書
いている。

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 さて、昨日のメールマガジンでお知らせしたように、ほぼ確実
に17日金曜日の午前中に、衆議院厚生委員会で、介護保険につ
いて質問できることになりました。

多くの方から「介護保険についてこんな問題がある」というメー
ルをいただき、とても参考になっています。有難うございます。

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しかし、この臨時国会で最初で最後の一般質疑が6時間。

その6時間のうち、介護保険の審議は、私を含めてごく一部。

介護保険の現場で、苦しむ方々にとっては、様々な見直しすべき
点があるのに、こんなことでいいのか?

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 民主党は3時間の質問時間で、他にも質問希望者が多かったので、
私の質問時間は50分の予定でしたが、30分間になりました。

ほぼ半分が答弁ですから、15分で介護保険の問題点を指摘するの
には無理があります。

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 今日は、さすがに眠い。
昨夜は質問を考えていて寝たのが2時半。
7時起床。
8時から9時まで民主党の厚生部会。

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それが終わってから、海野政策秘書と、まず、全室個室の、東京
老人ホームを訪問。
ある盲目の女性の部屋に訪問、
「個室は自由なのでいい。お客さんが来ても気兼ねなく話せる。
四人部屋では我慢できない」と話しておられた。

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 その次は、身体拘束ゼロで有名な上川病院を訪問。
その清潔な病棟に感激。
「病棟が汚くて臭いと、職員のモラルも低下し、よいケアはでき
ない」と吉岡理事長から教わった。
身体拘束をなくすために懸命に努力をされている。

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 次は、ここも、身体拘束をなくしている、東京都北区立の特別
養護老人ホーム「あじさい荘」を訪問。
ビール・マージャン自由。
車いすも本人にあったものを用意し、車椅子にベルトで縛ること
さえしていない。
特別養護老人ホームの中に、缶ビールとたばこの自動販売機や、
電動麻雀卓があるのも感動。

「職員さんがマージャンをされるのですか」と聞くと、
「いえ、入居者ですよ」との返事。
「自由を尊び、管理をしない。その思想から身体拘束もなくせる」
とのことでした。

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 そして、晩は、今いる某特別養護老人ホームに来ました。
ショートステイの空きベッドに1時間ほど横になった。
四人部屋。
21時に消灯だったが、私が部屋に入ったのは21時半。

寮母さんから、
「同室の女性の人には、山井さんが今日泊まることは言ってない
ので、カーテンをしっかり閉めて、見つからないようにしてくだ
さい。見つかったら、なぜ若い男性が寝ているのか、とビックリ
されると思うので」とのこと。
これは大変なことになった。

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 22時間から、夜勤スタッフの後についてナースコールに対応。
ショートステイ8人を含めて58人に夜勤は二人。

夕方6時から翌朝9時半まで一切仮眠もなし。
ナースコールはほぼ100回。
23時から24時半と、5時から6時半に全員のオムツ交換。

残りの時間はナースコールの対応と、介護記録の記入。
痴呆棟では、お人形を抱いたおじいさんが、目をらんらんと輝か
せ寝ない。
この方はまる2日は寝ないでも持つという。

一般棟でも、「たみ子がいない。娘がいない」と叫ぶ女性。
「右手が痛い」と30分に10回ナースコールを押すおじいさんな
ど大変だ。

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 夜勤をしている介護スタッフに聞くと、
「介護保険で、事務などの仕事量が増えて、肝心のお年寄りと
話す時間が減った」
「介護保険は、現場からかけ離れたところで、決まった」
「現場の声を聞いてつくったら、こんな制度になっていなかった
はず」
「介護保険が、お年寄りにとってプラスかマイナスかと言えば、
はっきり言って、マイナス」などと、20代の女性介護スタッフ
から率直な意見を聞いた。

心が痛む。

「しかし、困ったことに国会では、介護保険にそんな関心も、
危機感はないんだよ」と言うと、
「この現状を見て欲しい。この大変な現状を!」と叫ぶように言
われた。

 確かに58人を二人で夜勤対応は無理。

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それでも、夕方6時から翌朝9時半まで、働いた後、正午頃まで、
この職場に、二人とも残るという。

18時間、この老人ホームにいるのだ。

「すぐに帰ればいいのに、何をするの?」と聞くと、
「仕事中が忙しくて、お年寄りの話を聞く暇がない。仕事が終わ
ったあと、お年寄りの話を聞くひと時が、私の楽しみ」との答え。
この献身的な姿に泣けてくる。

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 そう言えば、ついさきほど、深夜12時まで、日勤(つまり夕
方6時半までの勤務)だった介護スタッフ二人も、5時間半も残
業していた。

生協のチラシ(広告)から、お年寄りが好む食べ物を切り抜き、色
画用紙に貼り付け、値段をクレヨンで、大きな字で書いていた。

これをお年寄りに見せて、注文をとり、生協から配達してもらう
のだという。

お年寄りのために深夜まで仕事をする姿には頭が下がる。

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介護現場は、このような献身的な人たちにより、支えられている。

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 しかし、彼女たちも
「本当は、お年寄りと一緒に、買い物に出かけたい。介護保険
以前は、そのような余裕があった。でも、介護保険には、そのよ
うな介護メニューもなく、買い物には行けなくなった」という。

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 「要望はある?」と聞くと、
「もう少し人手が多ければ・・」という。
「そうなれば、もう少し幅広い介護が、余裕を持ってできるのに。
いまはもうギリギリの状態です」とのこと。

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 厚生省は「介護保険は、おおむね順調」と言っている。
全国老人クラブ連合会などの、調査だ。

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しかし、私は厚生委員会の質問で、介護現場の実態調査、介護職
員の満足度調査をすべきだ、と質問したい。

なぜなら、「介護保険によって、お年寄りと話す時間は、増えた
か減ったか」
「介護保険で、ケアはよくなったか」と聞けば、特別養護老人ホ
ームやデイサービスの現場スタッフのほとんどが「悪くなった!」
と答えるであろう。

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 もう2時をまわった。
夜勤スタッフに「私と同室のショートステイの3人は何時ごろ起
きますか」と尋ねると、
「早い人は4時半」とのこと。
「げえー、あと二時間少し」。
もう寝よう。

ちなみに朝食は7時過ぎ。
8時半からデイサービスの送迎車に乗り込ませてもらう。
そして、午前中、介護保険で苦しくなった、といわれるデイサー
ビスの調査。

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正午に国会に戻り取材を1つ受けた後、本会議。

そのあと、翌日の質問のための厚生省からのヒヤリング。
ホームレス問題の勉強会。
晩6時から8時半まで「山井を応援する会」で70人の昔からの
仲間やお世話になった人と再会。

そのあと質問を練る。

当日(17日)金曜日は朝8時から介護保険プロジェクトチームの
勉強会。

そして、午前中のうちの30分が私の衆議院厚生員会での質問だ。

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 さあ、さすがに私のショートステイのベッドに寝に帰ろう。
今日はこの特別養護老人ホームのショートステイのベッドが1つ
空いているので泊まらせてもらう。おやすみなさい。
           やまのい和則 拝

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