〜「人生の終着駅」で出会ったお年寄り〜 |
5月の連休も今日が最終日。 ふと感じたことを書きました。お目汚しお許しください。 皆さん、「人生の終着駅」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。 いくつもの病院をたらいまわしにあい、最後に行き着く老人病院。 それが、「人生の終着駅」です。 数年前、私は年末年始を、ある老人病院に1週間泊まり込み実習をして過ごしました。 私の仕事は、病棟のお年寄り50人のオムツ交換・入浴介助・食事のお世話。1日に100回も200回もオムツ交換をします。 元旦の昼食を、私は配膳してまわりました。おせち料理は、冷えた鯛の焼き物がありました。 しかし、中には食事制限のため、「おかゆに梅干1つ」の、お膳もありました。 私が配膳すると、一人のおばあさんが叫びました。 「兄ちゃん、なんで正月なのに、梅干におかゆだけなの!正月くらい、美味しいもの、食べさせて!」。 その時は、「うるさい、おばあさんだなあ」と。 しかし、よく考えてみれば、そのおばあさんは、5年間入院し、生きては二度と病院を出られない身で、指おり数えて正月を待っていたのでしょう。それなのに、出てきたおせち料理が、「梅干におかゆ」。それで思わず叫んだのでしょう。 もう一人は、「痴呆症で動き回る」という理由で、ベッドにひもで縛られていました。私と看護助手さんがオムツ交換をしようとすると、ひっかこうとします。 書き出せばキリがありませんが、私は当時、何ヶ所かの老人病院や精神病院で実習をさせてもらう中で、 私は日本だけでなく、スウェーデンに2年、アメリカ、イギリス、ドイツ、デンマークにそれぞれ1ヶ月以上滞在し、「世界の高齢者福祉」を研究してきました。 なぜ、経済的に豊かなはずの日本で、寝たきりや痴呆性高齢者はこんなに悲惨なのか。 その解決策の1つとして、介護保険が今回導入されたわけですが、 いろんな原因があるでしょうが、私は政治家の責任だと思います。 では、物言えぬ寝たきりや痴呆性高齢者の声は国会で誰が代弁するのでしょうか。 老人病院や精神病院で、人生の終末を送っているお年寄りとの出会いが、私の人生を変えました。 |
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