連載コラム第57回 【光泉洞 諏訪】


新学期が始まる頃、よくピーターラビット
の絵本を読んでいるような気がする。
野原や畑を走るウサギの物語は冬には不向き
で、緑の燃えるこの頃に跳ね回るウサギの
物語を開きたくさせる何かがある?
宇治の英語サークルには、上級のクラスと
基礎のクラスがあって、今期は基礎のクラス
で、ピーターラビットのシリーズからベン
ジャミン・バーニーの物語を読んでいる。
イギリスから送られてきた小型の絵本には

leaves
CDがついており、今の先端をいくITを駆使したオーディオ教材。パソコンででも開く
ことのできるCDからはオーソドックスなブリティッシュイングリッシュが流れ出す。柔
らかな音楽とリズミカルな英語に彩られて絵本は絵とテキストと音という3つの要素から
その世界を展開してくれる。これも今春とりよせたイギリスの紅茶の中に紅茶ではなく緑
茶があって、ポットで淹れると熱いうす緑のベルガモットの香りのする緑茶が紅茶カップ
を満たす。日本の春にイギリスの絵と音と緑茶が入り混じってそれは不思議な世界を醸し
出してくれた。紅茶の世界の新茶はあえて言えば春摘みのファーストフラッシュ。しかし
あれは、秋摘みのこっくりした味に比べ青いさわやかな味である意味で、秋にファースト
フラッシュを飲むこともあれば、春にセカンドフラッシュを飲むことも可。摘み時の違い
がその紅茶の個性も違わせていて飲むものは好みに合わせて選ぶ。少し日本の新茶の楽し
み方とは違う。
宇治の地の新茶は今年は例年どおりで遅くもなく早くも無く、遅霜の被害もなく1番茶の
刈り取りが順調にすすんでいる。気温も世界情勢もけしてスムーズだとはいえない中天
候も時代もそれほど今年の新茶には影響をあたえず梅雨の前には新鮮な新茶をいただく事
ができる。新茶を口広の湯のみにいれると表面にほこりのような産毛が浮く。冷凍の効く
はずのお茶が「新茶」だけは霜焼けを起こすので冷凍できない。夏前の人の体に届くため
の1年に1度だけの楽しみらしく本当に季節限定。紅茶は冷凍も冷蔵も匂い移りさえ気を
つければ大丈夫。そして新茶以外の日本茶も冷蔵、冷凍可。その意味では新茶が一番お野
菜に近いのかもしれない。イギリス絵本の中でピーターラビットがいつも目を細めて食べ
ている畑の菜っ葉。レタスに人参。ピーターのお父さんが畑を荒らしていてウサギパイに
された事を思うとピーターは命がけで野菜を食べている。その思いで新茶に向かう。







flora


<今月の絵本>

“The Tale of Benjamin Bunny”
based on the original tale By Beatrix Potter
first published 1904 Frederick Warne&Co.
This edition in 2001
「ベンジャミン・バーニーのお話」

 

10代のポターのペットだったピーターから絵手紙が生まれ、それが私家版のピーターラ
ビットの絵本になり、出版され、アメリカのクリスマスプレゼントとしてもてはやされる。
その後のピーターラビットの23冊にもわたるシリーズの誕生につながってゆく。
ベンジャミンのお話はその4つ目の物語として出版されており、ピーターの従兄弟として
の登場でもある。ベンジャミンはピーターのお話のひとつとして生み出されたキャラでは
あるが、そのあと彼の家族のお話へも展開する。
ブルーの上着と小さなスリッパをはいたピーターと比べてほんの少し耳も大きく茶色の上
着で登場する。いたずらなもっとやんちゃな従兄弟。ピーターに比べて色も濃く、いざと
いうときに助けてくれるお父さんも健在。
このお話の中、案山子に着させられたピーターの上着と靴、ついでに案山子の帽子を取り
返しに2匹が冒険する。場所はピーターのお父さんがマクレガーさんにつかまってパイに
されてしまった畑。無事取り返したものの、猫(強敵!)と出会う。その猫を大うさぎの
ベンジャミンのお父さんウサギが救出。美味しいたまねぎも盗めたものの、上着や帽子も
てにはいったものの、ピーターとベンジャミンはしっかりしかられに家に連れ帰られる結
末が待っている。新学期やねぇ〜。というお話。



クロッカス

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