Kitatabi98 

9月16日(2日目)
昨日の夜から降りつづけている雨は徐々に激しさを増し風もひどくなってきた。台風も夕方には上陸するだろう。
今日の予定は、大北牧場でフーちゃん(ノースフライト)に逢うことになっている。
アポを取っていたがこの雨だから期待はせずに向かうことにした。
案の定見学は中止されていた。ほかの牧場も見学は無理だろう。今日一日の予定の変更を余儀なくされた。
まだ日が暮れるまでたっぷり時間がある。天候に左右されにくいプランを組見直した。まず、向かう先は、浦河にある馬事資料館。そのあと、ふと思い出した様に、谷川牧場へ行こうと思った。
僕はシンザンを知らない。ただ一つ知っているのは、シンザンという馬が、偉大な存在であることを知っている。逢いたくなった。シンザンに。
牧場に到着し、まずブロンズ像に向かう。そこには故武田調教師の詩が刻まれた石碑がある。

シンザンよ
 シンザンよ
お前が日本のターフに残した
蹄跡はあまりにも大きく
恐らく消えることはないであろう
競馬の続く限り 日高に
サラブレッド生産のある限り
お前の額の星のように
光輝くであろうあろう。

台風接近で雨風が激しさを増す。そんな中僕は傘はささずに向かった。シンザンに対しての敬意を含めてだ。
シンザンは、牧場のちょうど裏山に埋葬されていた。階段を上り、こんもりと土が盛られたお墓にはニンジンやりんご、花がきれいに供えてあった。これを見ただけで何も知らない馬なのに熱いものがこみ上げて止まらなかった。3人揃って手を合わす。ずぶ濡れの僕に降りかかる雨は冷たかった。でも頬を濡らしたのは雨だけじゃない。雨が降っててよかった。
さぁ、ここからがこの日凄ましかった。台風はまもなく上陸する。どこ行こう?
悩む間もなく、行き先は僕の頭にひらめいた。そうだ、襟裳岬に行こう!襟裳岬は風速10m/s
を超える日が年間290日を越えるという日本屈指の強風地帯。そう、今日は風がきついからここに行こう!ただそれだけの、周りから見たら「あほちゃう?」をやってのけるメンバー。いくっきゃない!。進路は決まった。いざ襟裳岬へ。
ワイパーを全開で廻しても視界が悪い。両サイドとも海。海から海へ吹き抜ける横風で車がよれる。なんとか襟裳岬に到着。すざましい雨と風。GパンにTシャツスタイルで、いざ出陣。横から吹き抜ける風に混じる雨が痛い。襟裳岬の先の先に「風の館」という「風」のテーマ館がある。自慢の風洞実験室で25m/sを体感した後、再び外へ。日高山脈が海へと続く襟裳岬。ここで一句…といった環境でない極限の状況にナゼか3人とも妙にハイ。
アブナイ3人組は不思議と大笑いしながら、芝生を全力で走り回り飛び跳ねる。明らかに故障した。かなり。
風の館に戻り、例の風洞実験室で、髪の毛とTシャツを乾かす。ちょうど大型のドライヤー感覚。イヤな客だろうなぁさぞかし。
道が通行止めになる可能性が出て、浦河に引き返す。土砂崩れも所々で起こっている。
こんな日は速くホテルに入ろう。