> やっぱり始まりは、「むかーし、昔、北の国に、うり
> ゅりゅ太郎とさりゃりゃ姫というイグアナの兄妹が人
> 間のお母さんと一緒に住んでおりました。…」って感
> じでしょうか。
うりゅりゅ太郎は心優しく賢い息子でさりゃりゃ姫はそれはそれは美しい娘でした。二人はまた
とても親孝行でお母さんと一緒に大根畑を作って暮らしていました。ある寒い冬 お母さんが重い病気にかかってしまいました。
2人はいろいろな薬を試して見ましたが、一向に良くなりません。
母・「うりゅりゅ、さりゃりゃ苦労をかけるね。私のことは もうあきらめておくれ」
さ・「おかあさん そんな気の弱いこと言わないで。春になればきっと良くなるわ」
う・「お母さん、今 都からえらいお坊様が来ていらっしゃると村の人が話してました。私がお願いしてきます。」
その京都から来た えらいお坊様が 母の病を見て言った。
坊・「うーむ、この病は北海の竜王の海底の竜宮の畑にある 大根の葉をせんじて飲まなければ なおらないぞよ。」
2人は岬の先端に立ち 北方を望みました。
海は厚い氷に覆われ、はるかかなたまで続いておりました。
う・「さりゃりゃ、私がこの海を渡り北海の竜宮へ行き、竜王に大根をいただいてくる。それまでお母さんを力付けていてくれ」
その時、岬に立つ 美しいさりゃりゃ姫を見て一目ぼれをしてしまった者がおりました。醜い顔を持つ オオカミウオでした。
オオカミウオは氷上で休んでいた、間抜けなアザラシにささやきました。
オ・「アザラシよ、あの娘を海の中におびき寄せてくれたら、氷の下にいるニシンを 食いきれないほどやるぜ。」
ア・「ウゥ、兄貴 どうすりゃいいんで?」
ア・「そこの、若者とむすめさん、あっしらは竜宮の使いです。
竜王がお二人の親孝行をほめて、連れて来るように行ってます。
お兄さんは あっちの銭型アザラシの背中に、娘さんはあっしゴマフアザラシの背中にのってくだせー。」
二人はだまされているとも知らず、それぞれの背中に乗りました。
しばらくは一緒に進んでおりましたが、そのうち二手に分かれて行きました。
「アッ どこへ行くんだ!、さりゃりゃーさりゃりゃー」
「お兄様ー、お兄様ー!!」
二人は必死に叫びましたが、やがてその姿は見えなくなりました。
だまされたことに気づいたうりゅりゅ太郎でしたが、ここは海の上、海に飛び込んで逃げ出すわけにもいかず、
どんぶらどんぶらとアザラシの背中に揺られてどうしたものかと考えをめぐらします。そこへ、オオカミウオとアザラシのやり取りを見ていたカモメが飛んできて、うりゅりゅ太郎にささやきました。
カ「うりゅりゅ太郎さん、さっきさりゃりゃ姫に一目ぼれしたオオカミウオがアザラシに
さりゃりゃ姫を連れてきるように頼んでいたよ」う「何だって!?おいアザラシ、私をさりゃりゃの所に連れて行ってくれ!」
ア「それはできないね。あっしらはオオカミウオの兄貴にあんたから娘さんを引き離して連れてくるように
言われてるんだ」一方のさりゃりゃ姫は、アザラシにオオカミウオの家に連れていかれました。♪ ぼうや〜良い子だねんねしな・・・
さりゃりゃ姫はオオカミウオの洞窟に連れてこられました。
「これは、これは、美しい姫、俺様の嫁女になってくれ。」
オオカミウオは惚れた弱みで、猫なで声で迫りました。
さりゃりゃ姫は オオカミウオをキッとにらみつけ一言もしゃべりませんでした。
女は食いもんで何とかなると考えていた オオカミウオは、下のご飯が見えないほどの
ウニ・イクラ丼や、ボイルタラバガニ や、紅鮭の塩焼きなどの北海の珍味を並べましたが、
さりゃりゃ姫はうんとはいいませんでした。「いいかげんにしろ。どうすりゃ 俺様の嫁になるんだ。」
さりゃりゃは独り言のようにつぶやきました。
「私は竜宮の大根が好きだわ。あれを持ってきたら考えてもいい」
それをきいた オオカミウオは勇んででかけました。
うりゅりゅ太郎は銭型アザラシに話しかけました。
「アザラシは種類が多いっていうが、やはり今一番の人気者はあごひげアザラシのタマちゃんだろ。
あるいは、愛嬌のあるゴマフアザラシか」「うんにゃ、あいつは東京さ出稼ぎにいったまま帰って来ねえ。
この辺の顔役はなんてったて 銭型アザラシさ。」
「ほう、お前を見てるだけじゃ、信じられない。顔役といっても、竜宮なんかにゃ 門前払いだろうなー」
「うんにゃ、竜宮のスケソウダラには 貸しがあるくらいだ」
疑わしそうなうりゅりゅの顔を見た、アザラシは「それじゃ 竜宮に行ってみるべ。」
とうりゅりゅとともに海底に向かいました。病の床の母でしたが、2人の子供が帰ってこないのが心配で、這うように岬に出かけました。
日はとっぷり暮れて、北の空に北極星が瞬いていました。
母は二人の名を氷の海に向かって叫びました。
すると氷の一部に真珠のような光を放つところが現れました。
その光はまっすぐ 岬に向かってきました。光の中から、美しい歌声が聞こえて着ました。
「親孝行のうりゅりゅとさりゃりゃ、薬を求めて竜宮へ、竜宮の大根は神秘の宝
手に入れるためには竜王の心を揺さぶる 舞がいる。竜王の目に涙を見れば、きっと念願かなうだろう。」その 謎解きのような歌はオホーツクの天使、プリオネたちの合唱でした。
母は しばらく目をつぶって考え込んでいましたが、はたとうなづきました。銭型アザラシとうりゅりゅ太郎は お出汁にしたら最高の利尻昆布の林を抜け龍宮へ到着しました。
そこにやはりオオカミウオもやってきました。
オオカミウオは間抜けなアザラシに舌打ちしながら、ここは早く大根をと考え門の中に入ろうとしましたが、
門番のセイウチとトドに止められました。「では、問題です。セイウチとトド、アシカの仲間はどっち?」
「うっ、、セッセイウチ」「ブッブー、正解はトド」オオカミウオは兵隊の毛蟹に捕かまりました。
次にうりゅりゅが門に近づくと、やはり止められました。「では 問題です。日本のレッドデーターブックに載る、今一番絶滅の危機に瀕している 天売島に住む鳥の名は?」
「ウミガラス!」賢いうりゅりゅは叫びました。
門を抜けたうりゅりゅですが、どこが城の入り口か分からず道に迷ってしまいました。
と、むこうにまぶしいほどの白い砂地が見えました。
そこは、見渡すばかりの大根畑でした。白い砂の中に四分の三ほど埋まった大根には青々とした葉がついていました。うりゅりゅが思わず畑に入ろうとしたら
「一寸まちんかいな、どこいくねんな。」と呼び止められました。
見るとウミガメのおっさんでした。「イグアナのボンやないか。なんでこんなとこまで来たんや?」
うりゅりゅが今までのわけを話すと、カメは感心したように
「そうか、そうか、えらいボンやな。まあお茶でも飲んでいき。道案内するよってに。」
カメは茶と菓子をうりゅりゅにすすめ、自分はキセルに火をつけました。「爬虫類と話をするのも久しぶりや。もっともカメばかりやけど。だいこんはな、竜王はんの許可がないと渡せんのや。わるいな」
「おじさんは この辺の言葉じゃないですね」
とうりゅりゅが言うと、待ってましたとばかりカメは身の上を話しました。
「わてはな、ここからはるか南の 黒潮あらう紀州沖の東海龍宮に勤めておったんですわ。そこでは営業やっとったんですが、
営業でっか? スキューバダイビングとかやってるお客さんの前を愛嬌振りまいて通りすぎるんですわ。
皆さん喜ばれて、また来てくれはります。それが営業でんな。
けどな、やっぱり若いものにはかなわなくなってきよって、肩たたかれました。」カメはフウとため息をつきました。
「しかしなわては3年前 白浜の近くに家つくって、嫁はんと5匹の子供がおるの竜王はんが気にかけてくれて、
こちらを世話してもらったんですわ。今は北海の龍宮の庭番に単身赴任してますのや。」海ガメはポンとキセルをたたきました。
「けどな、まだ仕事があるだけ ましですわ。紀州よりずっと南の台湾ちゅうところの近くにも龍宮がありまんのや。
ほれ浦島はんちゅう若者が行ったところは、そこでっけどな、龍宮城の本店というか、総本山みたいなとこでんのや。」「今 私たちがいるお伽噺の世界では有名な浦島太郎さんですね。絵にもかけない美しさだとか」
「いや、そりゃ うそや。絵葉書作って売り出しとるで。まあそこも、そなこともせなあかんような不況でな、
またSARSとかいう病気が追い討ちかけて、若いもんまでリストラですわ。そりゃもう、
イワシやサバまでシャーク団に入って、さんご礁を暴走してます。」南方から来たカメは 寒そうにタートルネックに首をすくめました。
「いや、ボン、えろう時間とらせてしもうて、ほなあんじょうおきばりや。ボンやったら きっとうまくいきまっせ。」
「おじさんも 早く紀州沖に帰れるといいですね。」
うりゅりゅはカメに教えられて、城の入り口につきました。
そこには ほっけと銀ザケが エゾバフンウニを投げ合って遊んでいましたが、うりゅりゅを見つけてあわてて制止しました。
「ここから先はクイズの正解者しかパスワードが渡されません。」
「クイズQ&A、マダラとスケソウダラ たらこをとるのはどっち?」
「スケソウダラ!」「正解です。パスワードは タラコノオニギリです。」
うりゅりゅが大扉のキーにパスワードを入力すると、扉がゆっくり開きました。
城の中へ入ったうりゅりゅは大広間へ向かって急ぎました。次に龍宮の大広間の入り口で、番兵の花咲ガニに呼び止められました。「これから先には 正解者しか行かれません。」
「では問題です。オジロワシとオオワシ、くちばしが茶色と黄色、オオワシは何色?」
「茶色!」「ピンポーン、正解です。」
とうとう、うりゅりゅは竜王の前に進み出ました。
そのころさりゃりゃ姫は通りかかったタラバガニに つながれていた昆布の縄を切ってもらい洞窟の外に出ましたが、
どちらへ行ったらよいか迷っていました。そこに、大きなホタテガイが現れました。貝のふたが開かれると美しい女性が立っていました。
「ああ、この図どこかで見たことあるわ。そうだヴィーナスの誕生だわ。もしかしてこの方、乙姫様。」
さりゃりゃは 訳を話しました。乙姫は猿払村のホタテパーティーの帰りで、龍宮まで連れて行ってくれると言ってくれました。
貝はかい速でかい調に龍宮までとばしました。
そのころ、お母さんは力を振り絞り、ピリカメノコの衣装をつけ、雪原に祈りました。
すると立派な角を持った大雪の鹿王が現れました。
以前母の乗ったヒダカノカムイという白馬とその速さを競ったエゾ鹿でした。「大雪の鹿の王よ、私の命をかけた頼みをどうか、きいてほしい・・・・」
鹿王は大雪の峰を東へ向けて駆け抜けて行きました。
龍宮の大広間で再会したうりゅりゅとさりゃりゃは涙を流して喜び、竜王に大根を分けてくださいと頼みました。
竜王は2人の親孝行な心は分かりましたが、大切な宝の大根ですから龍宮の外に出すことは承知しませんでした。
けれど、悪いオオカミウオはイカそうめんで百叩きの刑に処せられることとなり、
2人は岬までクラカケアザラシが送ってくれることになりました。
しかし 乙姫様は二人に同情し、父の竜王の弱点すなわち、涙が出るほど感激すると何でもくれるということを
教えてくれました。そして明日の夜 竜王を海の上に連れ出すので、それまでに考えておくように言い残して帰って行きました。
転がるように家に帰った二人は 母の様態がさらに悪くなっているのを見て、母にすがって泣きながら不首尾をわびました。
しかし母は、明日の夜のことをきくと、「間に合えばよいが」
と独り言を言い、さりゃりゃ姫に美しい着物を着せ、舞を舞うように諭しました。
体の柔らかいさりゃりゃは村一番の舞の名手でしたが、一人で竜王を感激させる自信はありませんでした。日が沈み 月の美しい晩となりました。大氷海は月の光で銀色に輝きました。氷が割れ、竜王とその一族が現れました。
さりゃりゃは静かに、前に進み出ました。
そのときでした。「カーウ、カーウ」と鋭い声が響き、釧路のタンチョウの群れが現れました。
さりゃりゃは首を振りながら踊り始めると、後ろでタンチョウがタンチョウの舞でさりゃりゃを盛り上げました。
それは見事な舞で見ているものすべて、涙を流して感激しました。
竜王も思わず涙を流し、乙姫が合図を送るとうりゅりゅが進み出て、大根をもらう約束を取り付けました。海底の砂から抜かれた大根は砂の中の部分は黄金と白金でできていました。
うりゅりゅ太郎は金の大根、さりゃりゃ姫は白金の大根をもらいました。
すぐに葉はせんじられ、それを飲んだ母はたちまち元気になりました。
少し残った大根の白い部分を畑に植えると、それはとてもおいしい大根と、立派な葉っぱになりました。村の人には万病にきく薬ととても喜ばれ、うりゅりゅ太郎と、さりゃりゃ姫は大根長者と言われ、いつまでもお母さんと幸せに暮らしましたとさ。
終わり
(アップロード080912)