294 黄金のイグアナ by ジュラ and TOMO


[4141] ジュラさん… 投稿者:TOMO 投稿日:2004/06/21(Mon) 21:29 [返信]

勘ぐりは無用ですよ(^^;
さて、ジュラさんがメールに書いてくれたハリーネタからちょっとひっぱって「居酒屋マトリックス番外編」を書いてみました。

今日も今日とて居酒屋マトリックスにはたくさんのイグ
と人とで賑わっている。
ジュラさんはTOMOとメガネ屋さんの看板イグについて語っていた。
「へー、ちゃこちゃんっていうんだ。私も検眼してほしいなー」
「でも、引っ込みじあんみたいで、いつも2階の台所にいるんですよ。冷蔵庫の上が定位置なんですって。」
それを聞きつけたメスイグ、特に美人に目がないハリーは
「へー、メガネ屋さんの看板娘のちゃこちゃんかー。きっとかわいいひとなんやろな。わいも会ってみたいなー」
心はもはや稚内に飛んでいる。
「な、うりゅりゅ」
横でモロヘイヤ酒を飲んでいたうりゅりゅに声をかけた。
「おまえちゃこちゃんに会ったことあるか?」
「うん、1度だけおかんと一緒に会いに行ったで」
「ええなー、わいにちゃこちゃん紹介してや」
「わいは別にかまへんけど…、さりゃりゃ、おまえも一緒に行ってくれへんか?」
ちょっと懇願口調のうりゅりゅである。しかしさりゃりゃは冷たく言い放った。
「うち知らへんからな。お兄ちゃん案内したってや」
しかしハリーにはさりゃりゃが焼きもちを焼いてるよう
にしか見えていなかったのである。

数日後、ハリーは花束を持って稚内に来ていた。
「ハリー、それどしたんや…」
「決まってるやんか。ちゃこちゃんにプレゼントするんや」
ハリー、もうちゃこちゃんに会う気満々である。
そしてTOMOに引率されてメガネ屋さんに行き、二階に上がって行く。
「ちゃこちゃーん、お友達よ」
ちゃこちゃんのおかんに呼ばれて
『お友達?誰やねんな』
と言いつつのしのしと現れたのは…ハリーよりもうりゅりゅ
よりも大きなオスイグだった。
『お、うりゅりゅのボンやないか。そっちの花持ったボンは誰じゃい。ボンの友達か?』
ガーーーーーン!!
ハリーはショックのあまり、手に持っていた花束を取り落とした。
『ちゃこちゃんて…美人イグやなかったんか…』
『おい、こっちのボンはどしたんや?』
『ハリー、ちゃこちゃんのことをメスイグだと誤解してたんや』
おわり

[4142] 続けちゃいました 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/06/21(Mon) 22:47 [返信]

> ハリーはショックのあまり、手に持っていた花束を取り落とした。
> 『ちゃこちゃんて…美人イグやなかったんか…』
> 『おい、こっちのボンはどしたんや?』
> 『ハリー、ちゃこちゃんのことをメスイグだと誤解してたんや』

『なんや、きれいな花束落としてからに、ん?黄色いバラやないか。そうかそうか ぼん サンキューやで』
『えっ??・・・・』
『今日は父の日やろ。わいはほんまの子供は おらへんが
うりゅりゅぼんや さりゃりゃじょうちゃんを 子供みたいに思うとるんや。それがどや、こんなかわいいぼんが・・』
『かっかわいいぼん・・・』うりゅりゅは笑いをかみ殺すのに必死、ハリーは口をあんぐり
『かわいいぼんが、父の日の花束持ってきてくれた。
うれしいで。』
めったに他のイグとの遭遇のないちゃこちゃんは 本当にうれしそうにボビボビをした。

固まってたハリーだが、そこは如才のない彼のこと
『ちゃこちゃんとうさんは 稚内のめがねやさんの看板イグと知名度抜群ですよって、これからも働くイグさんということで がんばってください』といいつつ めがねやを後にした。
『ハリーさんよかったやないですか。花が無駄にならへんで』
・・・・・・・・・・・・・・
『うきゃきゃきゃ・・・へへへへぇ・・ぐぁはははは あーおかしい ハリー ご苦労やったな うーーけけけ・・』
『うるさいで エラリー お前の笑い方下品やで』
『でも よかったやないですか。ハリーさんのご縁でチャーミーさんも うちに遊びに来ていただければ にぎやかになって』
マトリックスはそういいながら しょげてるハリーに
ブルーベリー酒を勧めた。
居酒屋に集う宵が 始まろうとしていた。
『らっしゃい・・』

4155] ひっぱっちゃいました 投稿者:TOMO 投稿日:2004/06/25(Fri) 00:52 [返信]

> > 居酒屋に集う宵が 始まろうとしていた。
> > 『らっしゃい・・』

入ってきたのはTOMOとうりゅりゅとさりゃりゃの稚内連、そしてもう1匹、噂をすればなんとやら、のちゃこちゃんだった。
『いやあ、うりゅりゅのボンに、イグとイグ好きが集まる居酒屋がある聞いてな。無理ゆうて連れてきてもろたんや』
ちゃこちゃんは照れくさそうに頭をかいている。
『まあまあ、チャーミーさんもまずは座って1杯飲んどくれなはれ。何がよろしいでっしゃろ?』
『せやな、豆腐をさかなに…何がええやろ、わい、この年言うのもなんやが好き嫌いが多くてな…。おっ、こないだのボン、何かうまそうなの飲んでるやないか。これなんや?』
いきなり振られたハリー、しかしそれをおくびにも出さずに『ちゃこちゃんとうさんはメガネ屋さんの看板イグさんだけにお目が高い。これはつくば特産のブルーベリーで作
ったお酒で、そこらの冷凍ブルーベリーとは味が違いまっせ』
ジュラさんが来てたら喜びそうな勢いでブルーベリーをPRしている。
『うーん、ブルーベリーか、わいはすっぱいのは苦手なんやが…』
『ま、そう言わんと飲んでみとくれやっしゃ』
そこへマトリックスが自家製豆腐と一緒にブルーベリー酒を他のみんなよりは少し少なめに注いで出した。

[4166] Re:[4155] ひっぱっちゃいました 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/06/27(Sun) 18:51 [返信]

> そこへマトリックスが自家製豆腐と一緒にブルーベリー酒を他のみんなよりは少し少なめに注いで出した。

始め 舌を出しチョロッとなめたチャーミーだったが
「こりゃ ええ味や。この果実は野生の味がするで」
「そうですね。ブルーべリーはカナダや北米原産のツツジ科の低木やということですよ」
「ああだからね・・」ブルーベリーをつまみに ブルーベリー酒を飲むという ややこしいことをしているさりゃりゃが
いった。
「うちね、北海道でもブルーベリーの木みたことあるん。涼しいところに育つんやね。で、なんかそれ見てたら赤毛のアンを連想してたの」
「さりゃりゃちゃん。アンの恋人ギルバートを知ってるかい。彼はアンの聡明さにひかれたんや。僕も君の聡明な瞳に
理性を失ってしまいそうだよ・・」
「だーれにですかぁー」とさりゃりゃがかわいくぷんとした。
「なんや ハリー 稚内までいって懲りたんやないんか」
とエラリーがニヤニヤしながら言った。
「ボン、稚内でなにか あったんか?」
「えーいえ、 あっそうそう こおりついたような稚内の海を見てみたいなと うりゅりゅと話しておったんですよ」
「そりゃ ええ。やっぱり北海道は冬の厳しさを一回見とかんとな」
「チャーミーさんは ずっと北海道でお暮らしなんでしゃろか」とマットが聞いた。
「あんさんは?」と反対にチャーミーがマットにたずねた。
「ワイは生まれは関西ですが 若いころちょっと横道にそれましてな。南のほうに放浪の旅ってなもんに出たことがありますんや。」
「そやな わいらイグアナにとって北の生活は厳しいよってな。ワイはこまいときから稚内のめがねやで育ててもろたんや。おかんには 感謝しても感謝しきれん思てるんや。
このまま 年とって一人ぽっくりいくのも幸せやと思ってたんやけどな、このごろそこのTOMO嬢ちゃんが店に来てくれるようになってな。」
「イグ好きの人間は すぐわかりまっしゃろ」
「せや、やさしい嬢ちゃんや。でもこんな若いのに うりゅりゅぼんとさりゃりゃ嬢ちゃんのおかんというから 驚きや」
「ははは チャーミーさん そういったらわいのおとんは
高校生でっせ」
「せやな 年はかんけいないな・・ははこりゃまいった」
「でも チャーミーさんうちのおかんなー・・」
とうりゅりゅがTOMOのほうをちらちら見ながら言った・
「レッドドラゴンとか 呼ばれているんやで。」
「そう、走りやなの・・」
「ウフォン!、うりゅ、さりゃ余計なことはいいの」
「知ってるで、めがねやで道の駅のスタンプ集めとるとか
話しておったから」
「でも 稚内はええとこなんでしょうなー」と言いながらマットはこの季節に涼しげな じゅんさいと陸のキャビアといわれるほうきの実の酢の物をそれぞれに席の前に薦めた。
そのとき 暖簾がゆれた。

[4167] 真打ち(?)登場! 投稿者:TOMO 投稿日:2004/06/27(Sun) 23:16 [返信]

「らっしゃい!」
のれんを揺らして入ってきたのはHaitamanさんとバジルちゃんだった。今日も一番乗りじゃなかったのはバジルちゃんの仕度に時間がかかったからである。すかさずハリーが、
「バジルちゃん、今日はオレンジ色のドレスやね。こないだ稚内で見てきたサロベツ原野のエゾカンゾウのような可憐さやで」
「そんな…」
バジルちゃんは頬をポッと赤らめた。
が、そこにうりゅりゅのつっこみが入る。
「ハリーさん、サロベツ原野は豊富町やで。それにいつ見に行ってん」
「ええやないか。固いこといいなや」
ハリーは実際は居酒屋マトリックス経由でチャーミーに会いに行っただけなのである。
「おっ、今日は見かけない顔がおるな。TOMOさんの連れかい?」
「どうも、初めまして、チャーミーいいます。」
「あんさんがTOMOさんがゆうとったメガネ屋さんの看板イグさんでっか。お会いできて嬉しいでっせ。まずは乾杯…あっ、大将、わいにもいつもの1杯くれんか」
「へい、じゃあモロヘイヤ酒につまみはみんなと同じのでよろしいでっか。バジルちゃんはどないします?」
「うちはブルーベリー酒がいいな」
さっそくワサビがHaitamanさんとバジルちゃんの分の酒とつまみを出してきた。
「かんぱーい」

[4170] じゅんさい 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/06/28(Mon) 18:36 [返信]

「ねえ、マットさんこのぬめりけがあるものがじゅんさいっていうの?」
とさりゃりゃが聞いた。
「そうです。ずいぶん古くから食べられていたみたいでっせ。つるつると舌ざわりがええから暑くて食欲のない時には
ええですやろ。」
「中国医学では じゅんさいの薬効として抗がん作用、解熱、解毒、胃弱に良いとかいわれてます。」
「おう、わさび えらい勉強家やな」
とHaitamanさんが感心したようにいった。
「そうなんですわ。ワサビはけっこう凝り性で、新しい食材がはいると、いろいろ研究しよる」
とマットがワサビの肩に手を置いて言った。
「大将、そんなほめんといてください。ちょっと本見ただけですから。すんまへん。知ったかぶりしてしまいまして。」
「ワサビ、謙遜よりなんか作って皆さんにお出ししろ。」
「へい」
「そやな。研究の成果をひろうしてもらうか。」
「わー私も楽しみ。でもこんなとき食いしん坊のジュラさんがいないのが惜しいわねえ。」
とTOMOさんが言ったとき
「わが情(こころ)
  ゆたにたゆたに 浮きぬなわ
 邊(へ)にも沖にも 寄りかつましじ
       万葉集 作者不詳」
といいながら ジュラが入ってきた。
「へへへ 今日はかっこいい登場の仕方をしてしまいました。」
「なにがかっこええんや。屁をこいて誰も寄らないとかゆうて わいはずかしいわ」
とイグサがぶつぶついいながら 一緒に入ってきた。
「屁じゃないでしょ邊よ 岸辺のこと。じゅんさいはね 別名ぬなわといって西暦600年ごろから食べられていたといわれてるの。万葉集にも乗ってるものなんだよ。それを今日食べられるんだもん。うれしいじゃん」
「ジュラさん、いつも豪快に食べてもろて わいらも作りがいがあります。」
マットがにこにこしながら、ジュラの前にもじゅんさいの酢の物を置いた。
イグサはするっとジュラの横をぬけバジルの隣にすべりこんだ。
「バジルねえちゃーん」
「なあに いぐさくん」
「今日のお洋服、沈む夕日で染めたみたいにきれいやね」
「うxぷ**」ハリーがちょうど飲みかけのブルーベリー酒でむせた。
「ははは・・・ ハリー 強力なライバル出現やナ」
Haitamanさんが面白そうに笑った。
そこへ ワサビが小鉢をそれぞれの前に置いた。
「じゅんさいにかつおだしの出しわり醤油で味付けして、本ワサビを添えました。仕上げは酢だちで 召し上がってください。それからてんぷらにもしてみました。山椒の塩でどうぞ。」
「 これは冷酒でいきたいでんなあ。」
「今日は灘の酒でどうでっしゃろ。剣菱では」
「ええで、ええで。そや、じゅんさいといえば、京都の深泥が池のじゅんさい取りも風物やったな。」
「ああ、そうでんな」とマットが言うと
「でも あそこ心霊スポットでも有名やのよ」
とバジルが 言った。
「なんや バジルちゃんほんまか?」とエラリーが身を乗り出すように聞いてきた。
「そ〜〜、ほんまよ〜」と、どこからか暗ーい声が聞こえた。
「キャー」みなギョッとしたとき
「みなさんこんばんわー。ははは・・おどかしちゃった?」
とチビとまさよしさんが入ってきた。
「やめなさいと言うたんですが、すんません。」
「まさよしはん らっしゃい。今日は魔界の探検は終わったんですか。」とマットが聞いた。

[4175] 探検終了! 投稿者:TOMO 投稿日:2004/06/29(Tue) 11:27 [返信]

「ええ、今日のところは」
笑ってため息をつきつつまさよしさんが言うと、チビが
「おとんの部屋、今は集めた情報の紙が山になっとんのよ」
と笑った。
「そんなわけで、イグオフの場所決めはもうちょっとお待ちください」
うまく話をつないだところで、マットが、
「さあ、まさよしさんもチビちゃんも座っとくれやっしゃ。ワサビが研究の成果を発表しますよって。ところで飲み物は何しましょ」
と席と飲み物を勧めた。
「じゃあ私はビールで」
「うちはマスカット酒」

[4176] 魔界探査 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/06/29(Tue) 18:39 [返信]

「 ワサビィ〜、がんばっとんやな〜、えらいぞぉ〜!」
「おとん、まさかもう酔うとるのとちがうやろな」
強力なサポーターの出現にワサビは頭をかきながら、じゅんさいのてんぷら、だし割り、」酢の物をだした。
「あと、最後に魚の赤だし汁だしますよってに」
とマットも言い添えた。
「ちびちゃんは 家でもこんなおいしいもの食べられるんか?」
とエラリーが聞いた。
「ううん、うちのひとは仕事でこっちにきてるやない。
だから たいていおとんが 食事作ってくれるんやわ。でもうちらが葉っぱのほうたべるさかい・・・なあ おとん」
「そうですね、私はチビやワサビのおかげでだいぶ料理が上手くなりましたよ、といっても、あまりヒネリのない野菜の茎炒めですが、弟には「イグアナランチ」と呼ばれて、なんとなく好評のようです。まあ ワサビの腕には負けますが」
「ねえ、ねえ チビちゃん さっきバジちゃんが言ってた
心霊スポットの話 本当なの?」とさりゃりゃがきいた。
「やめとけ、さりゃりゃ おまえこわがりのくせに・・・」
「GONがよく知ってるよ。おとんから聞いたって言うてたで。GONのおとんね、よく深泥が池の周りをふわふわしてたやて」とイグサが上目づかいに言った。
「えーー、じゃあNOBUさんが幽霊の正体なの???」
「イグサ やめなさい。その目つき、まったく」

「ちょっと、ちょっとひどいでそれは。」
「あっ、NOBUさん らしゃい!」
「GON そなこと言うとんのか」
「あのな、学校で怖い話みんなでしてたんや。」
「そりゃ、ええけど もっと正確に言ってほしいわ。池の周りをふわふわしてるゆうたら、そりゃ幽霊やわ」
「ははは、NOBUさん、あんさんくわしいいんか」
Haitamanさんが席を勧めた。
GONはさっそくイグサと小あがりに腹ばいになって 今日発売の漫画の本を読み始めた。

「オイラが通ってた大学がその近所なもんで、夜昼問わず、
深泥ヶ池周辺はバイクでしょっちゅう走ってました。
タクシーの運ちゃんがそこでずぶぬれのおねぇさんを乗
せて・・・・って話をよく聞きましたし、実際にタクシ
ーに乗ってる時にも運ちゃんとそんな話をして、同乗者
に思いっきり怒られたこともありました。さすがにバイ
クのリアシートにはずぶぬれのおねぇさんは乗ってきま
せんでしたけど。」
「なんや 4輪しかのらへんのかいな。贅沢なおねいさんやね。バイクにもぜひ乗せたいもんやな。」
「脚がないから またがれへんやないんか」
「それに バイクの風で 乾いてまうのやもしれんな」
「そうそう、深泥が乾いてお肌のひび割れが目立ったりして」
ちょっと引きつってたさりゃりゃも 思わず笑ってしまった。
「でもそれ以外にもいろいろと「怖いスポット」には事欠かきまへんよ。よければ他の所もお教えしますよ。」
「教えて」
「教えてや」
GONとイグサが振り返っていった。
「あとでな。でも怖くて夜中に小便ちびるんじゃないぞ」
「そんなこと、しないもーん」
「ねえ、まさよしのおじ・・ううんにいちゃん・・魔界って怖いとこなんか?」

「怖いで、何か特殊な磁場により感覚が麻痺してしまうような錯覚に陥ってしまうんやで」
「なあ GON,ゲームで魔界水滸伝ってあったやろ」
「うん、そやなまさよしにいちゃん エエとこにいっとるな」

[4181] 魔界おもしろそう(by.子イグ連) 投稿者:TOMO 投稿日:2004/06/30(Wed) 00:09 [返信]

「ええとこか、ほならわいらも行ってみたいなあ」
読みかけのマンガの本から顔を上げておもしろそうにイグサが言った。
するとジュラさんが
「イグサもGONくんもバカなこと言ってないでこっち来て食べなさい。ワサビにいちゃんがおいしいもの作ってくれたわよ」
と子イグ連を呼んだ。普段家にいる時ならごはんそっちのけでマンガを読んでようとして怒られるのだが、ここではおいしい珍しいものがたくさん食べられるので素直に座って食べるのだ。

[4201] 旬の味 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/02(Fri) 16:58 [返信]

ここではおいしい珍しいものがたくさん食べられるので素直に座って食べるのだ。
「大将 次はなにがでてくるんかな」
マットがなにか作ってる様子をみてHaitamanさんが 聞いた
「へい、新鮮なアジを仕入れてきたんですわ」
「そりゃええ、今が旬やからのお」
「そ、そうなんですか・・・」
「おかん!よだれでとるで」
「ははは、よだれもでるでしょ。アジとは味なり。その味の
美をいふなりといえり・・と江戸時代の新井白石の東雅にものってますよ」
とNOBUさんが言った。
「おっちゃんも物知りやなー。でもアジなんてけっこう そこら辺でとれる魚やないのか」
「稚内のほうでは とれませんな」
とチャーミーが言った。
「いや さっきから 楽しおまんなあ。わいこんな楽しい思いしたの 久しぶりでっせ。」
「よかった 誘って」とTOMOさんがさりゃりゃと顔を見合わせていった。
「へい おまち たたきです」
細つくりした味にやや大めのおろししょうがが乗ってる。
「アジは5月から7月にかけてが旬なんですが 北海道の南から南の太平洋や日本海でとれます。」
「あのな、わいとおかん 先週つりにいってアジつってきたで」
「えー 睦美さんつりなんかするの?」バジルが目を丸くしていった。
「おかん はじめてやろ。研究室の旅行とかいって房総半島にいったんや。そこで釣り船だしたんや」
「じゃあ 神谷さんもいっしょ?」
とちびも目を輝かせていった。
だいたい2人の仲に気が付いていないのは 当の2人とエラリーぐらいなもんだ。
「そや、船が動き出したとたん ゲロゲロやっとた。
情けないな。ニワトリのにいちゃん」
「なんや 今度はカエルになったんか。」
「その後 ぶったおれて なまこやったわ」

「エラリーさんも一緒にいったんですね」
「せや。わいは船の上で日光浴たっぷりしたで」
「それでこのごろ 色艶がええんだな」
とハリーがうらやましそうに言った。
「しかし、このアジのたたきは美味です。」
まさよしさんは チビと肩を並べマスカット酒を飲みながら
言った。
「まさよしはん、やっぱりアジを食うときは 日本酒が一番やで」
「師匠様 しかし私めは師匠様のようにグラスでのんでしまっては 神谷様のなまこどころではなくなり いそぎんちゃくのようにただよってしまいます。しかしお言葉ですから
日本酒にかえさせていただきます。」
まさよしさんは かしこまって 猪口で冷酒を飲むことにした。
「大将 仕入れてきたアジをみせてや」
Haitamanさんが頼むと マットはアジを入れた箱 それには笹の葉がしいてあったが 持ち上げて見せてくれた。
「これは 活きがええ」
「キマアジです。マアジにはもうひとつクロマアジがあります。クロマアジは背中がくろいおますが、キマアジは背部から側線にかけて淡い青みがかった黄色のまだら模様があって
ややぽってりしてます。体は黒のほうが 大きいですけど味は黄のほうがええと思います。」
「ほんと活きがいいんですね。目がこんなにすんでる。」
「それに 体の光沢がいいわね」
TOMOさんとジュラが口ぐちに言った。

「へい、今度はから揚げです。」
ジュウジュウと音がでるようなアジのから揚げを ダシ醤油としょうが汁で作った たれといっしょに皆に勧めた。

[4205] ガラガラガラ… 投稿者:TOMO 投稿日:2004/07/04(Sun) 10:55 [返信]

そんないいところに戸が開く音がして、噂をするとなんとやらで神谷先輩と睦美が入ってきた。
「らっしゃい!神谷さんと睦美さん、今日はお揃いで
っか」
マットが声をかけると、
「あ、なまこのにいちゃーん!」
「違うよー、蛙のにいちゃんだよー!」
とイグサとGONが口々に言った。
今までイグサに『こうこがく』を『こっこがーがー』と聞き間違われたことをきっかけに子イグ連に『にわとりのにいちゃん』と呼ばれることに甘んじていた神谷先輩だったが、鈍感な彼もあだ名が変わっていたのに気づいて、
「何、その蛙だのなまこだのいうのは?」
とイグサに聞いた。すると睦美が、
「あーっ、またエラリーが何か変なこと言ったんでしょ!?」
といち早く(?)気づいてエラリーに突っ込みを入れた。
「わい、こないだの釣りの話の時のにわとりのにいちゃん
の様子を話しただけや」
しれっとしている。するとまたイグサが、
「エラリーにいちゃんねー、にわとりのにいちゃんが船でゲロゲロして蛙みたいってー!」
そしてGONが、
「でねでね、その後なまこになったんだってー!」
とダメ押しした。
それを聞いて、
「もういいです、蛙でもなまこでも…」
と脱力する神谷先輩だった。
それを見て睦美が
「エラリー!あんたなんてこと言うの!」
と言ったが、エラリーはやっぱりしれっとしている。

あまり高レベルとも思えない争いにひと段落ついたところで、立ちっぱなしの神谷先輩と睦美を見兼ねたマットが
「お二人とも立ちっぱなしじゃなんですから座っとくれ
やす。今アジの空揚げ出しますよってに」
と二人一緒の席を勧めた。そこへワサビがお通しを持ってきて、
「お飲物は何しましょ。ちなみにHaitamanさんのお勧め
は剣菱です」
と、飲物の注文を取りに来た。
日本酒好きの神谷先輩も、わりといける口の睦美も、一も二もなくお勧めにのっかることにした。
そして何度目かの乾杯のあと、睦美はマットといい勝負に貫禄のあるイグがさりゃりゃの隣に座ってるのをみつけた。
「こちらのイグさんは、新顔ですね。こんばんは。私、エラリーのおかんの岡田睦美です。」
「わい、チャーミーいいます。稚内のメガネ屋に住んでて、TOMO嬢ちゃんがわいのとこでメガネ買うてくれてからの付き合いでんのや」
「そうなんですか。私も今度メガネ買う時はチャーミーさんとこにお願いしようかな」
「おおきに。ところでそちらのお兄さんは、睦美はんの彼氏さんでっか?」
チャーミー、核心を突く一言である。睦美も神谷先輩
も、まだたいして飲んでないのに途端に顔が赤くなった。
「あ、ぼ、僕は睦美さんとは同じ大学の研究室で助手をやってる神谷っていいます。睦美さんとマットのおとんの冬彦くんに誘われるまではは虫類とは全くと言っていいほど無縁な生活を送っておりました。どうぞよろしく」
時々言葉がかんでしまう神谷先輩だった。

[4211] 脊椎動物心理学科 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/05(Mon) 15:48 [返信]

> 「あ、ぼ、僕は睦美さんとは同じ大学の研究室で助手をやってる神谷っていいます。睦美さんとマットのおとんの冬彦くんに誘われるまではは虫類とは全くと言っていいほど無縁な生活を送っておりました。どうぞよろしく」
> 時々言葉がかんでしまう神谷先輩だった。
「そうでっか。まあ人間はんの中には、爬虫類見るだけで身震いしはる方もおますからなぁ。わいは人間はん好きでっせ。おかんもここにおるみなさんもええ人ばかりや。睦美はん、お宅の彼さんも ええ男まえでんな」
「あっ あの・・彼・・というか・・」
睦美がためらいがちにいうと
「別に なまこのにいちゃんは おかんの彼やないがな。
どちらかというと わいの助手や。わいに会うために おかんにくっついて来るだけや。な、ワトソン君。
それに 正月になまこの兄ちゃんが郷里に帰ってたとき
同窓会でももてるはずないやろとか、見合い話なんかあるわけないとか悪口ばっかりいってたで」
「エラリー!・・」「エラリー!」「エラリーはん!」

睦美はじめメスイグたちが口を開こうとしたとき
「エラリー 君はまだ子供やな」とハリーが言った。
「何で子供なんや。酒だってのんでるやないか」
「いくら酒飲めても、僕にはおかんに甘えてるボンボンにみえるで。君の深層では睦美さんの愛情が他に向くのが耐えられないんや」
「そなこと あらへんで。おかんは上でも下でも右でも左でも向いたらええんや。ハリーええ加減なこと言うんやないで」深層心理を暴かれたエラリーはボビボビを始めた。

マットの店にかつてない緊張が走った。
そのときハリーは 椅子をくるっと回転して降りると かっこつけながら言った。
「恐竜大学 脊椎動物心理学科女性心理学専攻の僕が言うんだから間違いないよ」
かつてない緊張が一瞬にして瓦解した。
「知ってるか??」
「知らへんなー・・?」
「なんやその脊椎動物心理学科ってなもんは」
「チュッチュッ」
ハリーは指を口の前で振って言った。
「僕は天下の『きょう大』出なんやで」
「おまえ それをいいたかったんか」
やられっぱなしだったエラリーがからかった。

「ハリーってさ、いいこと言うなと思うと すぐずっこけるんやな」チビがカウンター越しにワサビに言った。
「でも女性心理専攻っていうのは 本当じゃないかな」
とワサビも返した。
「それで 大学卒業してどうしたんですか」
とNOBUさんが聞いた。
「イヤーみんなから大学に残れと引き止められたんやが、狭い世界の派閥争いに嫌気がさして 在野の研究者になったんや。大学の教員ていうても いろいろおるんや」
「おとん、僕も脊椎動物心理学科でなまこ心理やる。イグサもいっしょにいこ」
「うん、おかん僕も行ってええやろ」
「はいはい、がんばってね。おかんは学校で イグサくんは
体育と給食の時間だけ生き生きしてるって聞いてきたばかりだけどね」

「まっえやないか。乾杯しなおそう」
Haitamanさんが仕切りなおしするようにグラスを挙げると
みなまた乾杯と 唱和した。
そのときキャーキャーと楽しい笑い声が横丁に響き 華やな面々が暖簾を分けて入ってきた。
「こんばんわー」
カレン あゆみ、奈々子たちだった。

[4221] きれいどころ(ちょっと古い?)登場! 投稿者:TOMO 投稿日:2004/07/06(Tue) 19:08 [返信]

「あ、盛り上がってる盛り上がってるー!」
「何度目の乾杯やろうね」
 マットが、入ってきたメスイグ連に声をかけた。
「カレンさん、奈々子さん、あゆみさん、今日もお揃いでっか。今日は初登場のお客さんが見えてまっせ」
 あゆみがいち早くチャーミーに目を向けた。
「キャー、かわいい!」
 するとHaitamanさんが
「年上のイグ捕まえてかわいい、はあるかい」
と苦笑して、
「稚内から来たちゃこちゃんことチャーミーや。メガネ屋さんの看板イグなんやで」
と紹介した。
「この年でかわいい言われると照れるがな。嬢ちゃん方、よろしくな」
 すると奈々子が、
「この年って、ちゃこちゃんおじさんはおいくつなんですかー?」
と聞いた。
 あゆみは
「マットのおっちゃんといい勝負やない?」
と年を予想し始めた。さっきまでの緊迫した空気が嘘みたいに変わった。
 そこへワサビが、
「奈々子さん方、予想もいいですけど、立ちっぱなしじゃなんですから座って何か飲みまへんか」
と、席と飲み物を勧めた。
 するとカレンが、
「あ、そうそう、これ、うちらから」
と包みを差し出した。
「お得意のデパ地下ですね?」
「そうなのよ、また新しいデザート見つけてきちゃった。みんなで最後に食べましょ」
「それじゃ、これ、冷蔵庫で冷やしときます」
 ワサビは奥に引っ込み、カレンたちのデパ地下みやげを冷やしに行った。

[4226] かぼちゃ 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/07(Wed) 14:31 [返信]

「おい ハリー。ちょっと席変われ。カレンちゃんここあいとるで」
エラリーはハリーを追い出すと、椅子をぽんぽん手で払ってカレンをよんだ。
「あっエラリー うちちょっと神谷さんと話があるけん・・・」とカレンは神谷に耳打ちすると小上がりに2人?であがった。神谷が 睦美もちょっと肩をたたき誘ったので睦美は3人?分のグラスを持って移動した。
「へーん、おかん お邪魔じゃやないですか。おいワサビ、酒!グラスで!」

「ねえ、ねえ、ねえ、どないした?なにかあったん」
エラリーのむくれぶりに気づいた奈々子が隣のうりゅりゅにそっと聞いた。うりゅりゅが先ほどまでの いきさつを話すといっしょに聞いていたあゆみが
「確かにさ、エラリーって マザコンやもんね。でも今日はカレン、最初から神谷さんに用があるってゆうてたで」

一方 ぜんぜんノー天気なジュラとTOMOさんと子イグ2人は
マットが作ってくれたかぼちゃ料理に舌鼓を打っていた。
「すごく甘みが自然よね。このひき肉のアンも滑らかにかぼちゃをつつんで味が引き立ってる。」
「そうですね。こっちのてんぷらも菜種油であげてあるの?
かぼちゃのぽくぽく感と 油の軽くすべるようなコク味があいまって すごくおいしい」
「TOMOねえちゃん おいしいぼみたい」
「そう?GONくんもいぐさくんも かぼちゃは栄養があるからたべるのよ」
「TOMOさん心配しなくても こいつらかぼちゃに目がないから」ジュラが言うとおり 2子イグは物も言わずかぶりついている。
「大将 このかぼちゃの味付けは砂糖ちゃうんやないか」
「Haitamanさん さすがです。この味付けには かぼちゃからとった甘味料をつこうてるんですわ。」
「なに そんなものあるんか」とのりだしたHaitamanさんに
マットが説明した。
「シンデレラ・シュガーゆうて 滋賀県の余呉の研究所で世界で始めて開発に成功したんです。かぼちゃゆうのは糖質は豊富、ミネラルやアミノ酸も多いんですが、なんといっても
?カロチンの含有量が豊富でっしゃろ。そこに目をつけた学者はんが 麹菌をつこうて発酵砂糖をつくったんと聞いてます。ですから甘みの他にかぼちゃのうまみも残っとりますし
ビタミンや?カロチンに富んでる砂糖らしいです」
「ほー、かぼちゃって戦時中に学校で植えられてたって聞いたことありますけど。どこでもできる作物らしいですね」
マットの話を 興味ぶかそうに聞いていたNOBUさんが言った。
「そやな天保の大飢饉の後、荒地でもできるゆうて日本各地で作られたときいたな」
「かぼちゃは日本の作物ではないと聞いたことあるのですが?」とまさよしさんも かぼちゃを箸でつまんでしげしげ
見ながら聞いた。
「室町時代にポルトガル船によって豊後に入ってきたゆうの
聞いたことあります。カンボジアの瓜がかぼちゃの名の由来だとか」とNOBUさんが言った。
それをきいてたGONが
「僕のおとんは国会中継見とるから物知りなんやで」と胸をはって言った。
「国会中継関係あらへん。まあ、あそこにはかぼちゃ野郎や そこのトウナス!がぎょうさんおるけどな。お前のおじゃ魔女のほうがまし??かな」

「ところが カンボジアが原産ではないんですよ・・・」 みんながびっくりして 振り向くと神谷がたっていた。
「かぼちゃはじめヨーロッパが原産と思われているジャガイモやトマト、唐辛子の原産は遠く南アメリカのアンデス高原なんです。」
「ジャガイモってドイツが原産じゃないんですか」
「えーうち 北海道が原産やとばかり思ってたわ」とさりゃりゃ。
「インカの人たちの主食です。今も4000mを超える高地で暮らすインカの末裔たちが何種類ものジャガイモを作って食べていますよ。」と神谷はいったん言葉を切った。
「そこで 今日はエラリー君はじめ皆さんにお願いがあってきたんです。」神谷が言うと睦美が
「エラリー、エラリー聞いてる?」といった。
「なんや、わいはもう誰かさんのおかげで 酔っ払ってしまったわ。もうねる。」
とふて腐れてカウンターに突っ伏したが、カレンに
「ねえ、エラリーお願い、聞いて」とやさしい声でささやかれ途端に
「うぃー ワサビ!水!」と起き上がった。
「実は・・・・、『怪盗ヒョウモントカゲ』というのをご存知でしょうか・・世界中の有名な宝石ばかりを狙う窃盗団の親分なのですが・・」
「神谷はん ゆっくり話しきこうじゃないか」

[4229] 黄金のイグアナ 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/08(Thu) 16:38 [返信]

「ヒョウモントカゲ・・・かわいいんやないか?」
「うちの友達にもおるで、あっ、でもヒョウモントカゲモドキゆうてたわ。トカゲじゃなくて ヤモリなんやね」とバジルが 無邪気にいった。
「バジルちゃん・・」
「あっ 神谷はん うちの名前覚えてはった?うれしい」
「まあ、実際はかわいいかも知れないけど、そいつは人間で
変装の名人だと言われています。今もICPOが国際手配してますが まだ逮捕にいたってないばかりか、今度は日本で犯罪を犯すと予告してきたんです。」
「今度 カレンちゃんのおじいさん(保阪氏)の企業傘下のデパートで南米Q国インカの秘宝展というのがあるのですが
そこにQ国国立博物館の秘贓品 黄金のイグアナ像が出品されます。怪盗ヒョウモントカゲは それをいただくと昨日脅迫状がカレンちゃんのうちに届いたそうです。」
「黄金のイグアナ・・・」皆絶句した。
「実はそのインカ展の日本側の監修をやることになっているのが 私たちの大学の考古学教室なの。Q国の大学と合同で
インカの遺跡発掘を仕事にしているグループがあって以前から親しかったかし 保阪さんもいろいろ資金援助してくれた
関係もあって 国宝級の秘宝が日本に貸し出されたの。」
「あの・・・」まさよしさんが口を開いた。
「インカ帝国といいますのは イグアナを信仰していたのでしょうか。それと私は インカの遺跡はペルーにあると旅行ガイドで見たことあるのですが。」
神谷さんが答えた。
「インカ族は当初ペルー南部のクスコ周辺の小さな部族だったのですが15後半ペルー北部 エクアドルへと勢力を拡大していきました。最終的には南米の約1/3が支配下におかれました。」
「あっ」TOMOさんが言った。
「エクアドルって ガラパゴス諸島の国?やっぱ イグアナ?」
「関係あるかも」と睦美が言った。
「インカ帝国の征服の仕方は各部族の土着宗教などはほとんど手をつけず社会制度を支配下に置く形式をとり、インカ帝国の王のもとには各地からおびただしい黄金が運ばれたといわれています。Q国もそんな部族国家のひとつで、密林の中に存在したのが幸いしてスペイン人の侵入による遺跡破壊をずいぶん免れたらしい。だから今回のような発見があったんだね。」

「背景はわかったで。それで脅迫状にはなんて書いてあるんや?」とエラリーが言った。
「これやねん」カレンちゃんが バッグから封筒を取り出した。
新聞紙の文字を貼り付けた手紙がでてきた。
『展示された黄金のイグアナを 最終日にいただきに行く。せいぜい用心したまえ。ヒョウモントカゲ』
「警察には届けたんか」
「ええ、でもデパートのイベントさかい、そう目立つわけには行かへんから 私服で周りを警備してくれはるって。もちろんデパートでもガードマンやとうてんのやけど。」
「それじゃ だめなんか?」
「おじいさまが変な企画立てるもんだから」
「そうなんだ。先ず黄金のイグアナを中央1段高いところに置いて、周りをQ国のジャングルの中の遺跡を思わせるディスプレーにしてそこに本物のイグアナにいてもらう という計画・・・」
「はぁー??」

[4233] 本物のイグアナ 投稿者:TOMO 投稿日:2004/07/08(Thu) 22:47 [返信]

「本物のイグアナ…」
今度はみんなそこで絶句した。
カレンはなんだか申し訳なさそうにしている。
「そうなんよ」
「で、イグアナどうすんだよ」
TOMOがボソッと言うと、まさよしさんが
「役者イグでも雇うんじゃないでしょうか?」
と脱力気味に答えた。
「そうなんやけど…それでエラリーに、その役者イグさんたちに混ざってガードマンをお願いしたいんよ」
「ええでええで、カレンちゃんの頼みならお安いご用やで」
エラリーはさっきのふてくされぶりが嘘のように二つ返事で請け合った。

[4234] イグ選抜 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/09(Fri) 09:41 [返信]

「しかし、何でまたそんな展示の方法考えたんや」
とHaitamanさんが首をかしげた。
「それは・・・たぶん」と神谷が説明した。
「Q国の神の使いとされていたのが ジャングルで生活していたイグアナなんです。」
「稲荷神社の狐みたいなもんか」
「インドネシアのハヌマンの猿もおるのお」
「だから、大切にされていて遺跡の都市でも街の中をイグアナが自由に歩いてたといわれてます。今回の展示は宝だけでなくインカ都市Q国の文化も紹介してるので、そんな展示をしたくなったんじゃないでしょうか」
「あの・・」カレンがまた すまなそうに言った。
「もちろん イグアナのスペースには本物の土やジャングルの木を運んで、できるだけリアルに再現するつもりなんです。温度や湿度もコントロールするようにして・・・」
「どのくらいの期間やるんでっしゃろ」とマットが聞いた。
「月曜が定休日やから、火曜から日曜日までの6日間・・・」
「毎日 大勢の目にさらされるわけや。まあ、神経質なイグにはむかへんな。」とハリーがいった。
カレンはさらにうなだれた。
「でも カレンちゃん、僕は熱い視線にさらされると燃えるタイプなんや。僕も手伝うぜ」
「ハリー・・・」
「けどな、僕とローテーション組むタレントイグはみんな
モデル系のメスにしてくれないかい。問題の最終日はエラリーがはいるやろから、僕は中日ってことに」
「そんなら、わいだってやりたいで」とうりゅりゅが言ったのでTOMOさんからにらまれた。
「ねえ、その怪盗ヒョウモントカゲって約束守るほうなの?
ほんとに 危ないのが最終日だけやの?」
とあゆみがきいた。
「おじいさまが 警察で聞いてきた話やと、けっこうプライドが高い泥棒らしくて 予告した日にやってきて予告した通り盗っていくんやて。警察は裏をかかれっぱなしらしいわ。それでね、おじいさまが 人間なら裏をかかれるやもしれないけど、あのエラリー君なら怪盗から秘宝を守ってくれるんやないかって、ママに相談もちかけたのや」
「そこまで見込まれちゃ、あとにはひかれないわな。よっしゃ、ワイは初日に警備状況を見るために入って、最終日にまたはいるとする。他の日手つどうてくれるやつ他におらんか?」
エラリーが声をかけると
「うち やってええで。一番近くで黄金のイグアナ見られるんやろ。」とあゆみが手をあげた。
「うちぞくぞくすること 大好きヤン」
「ほなら、うちもあゆといっしょにおる」と奈々子も言った。
「わいも手伝いまっせ」とマットがぼそっといった。
皆はいっせいにマットのほうを向いた。
「わいも若いころは 血の気が多いほうでしたし神谷はんの
お役に立てれば うれしいです。それに夏休みやし冬彦はんがきっとそばで見ていてくれはりますやろ。」
「でも マット大勢の人にみられるんやで」とNOBUさんが心配そうに言うと
「おおきに、でもワイは客商売でっせ。1日ぐらいなんとか
なりますやろ。その日店はワサビにまかせます。ワサビかて1日ぐらいそういう日があってもええやろ」といった。
「なあ、おかんわいもええやろ。なっなっ、ハリーと一緒にはいるさかい」とうりゅりゅがTOMOさんに再度許しを求めた。
「しょうがないなあ、1日だけよ」とTOMOさんもしぶしぶ認めた。
「おかん、僕もえやろ?ねえ」
イグサがジュラのTシャツのすそをつかんでいった。
「あんたはだめ。足手まといになるでしょ。」
「いやや、いやや、僕は少年探偵団なんやー」
「だめ!」とジュラは強くしかったが、最終日イグサの行動を今 だれも予測できなかった。
そして 日程と人選 いやイグ選が始まった。

[4239] くずきり 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/10(Sat) 22:00 [返信]

「ねえ それじゃデザート食べながら やらへん?」
奈々子の提案でワサビがデパートの包みを持ってきた。
中から 上品な京都の老舗の和菓子が出てきた。
「わー なあに これ」さりゃりゃが目を輝かせると、
「くずきりやわ!涼しげな・・・」とチビが言った。
小さなプラスチックの容器の中の葛を押し出す仕掛けになっている。
みなそれぞれ 好きな味をとり 突き棒を押して器に流すと
まるで 川の流れのような葛きりが出来上がった。
「おいしいなぁ」
「やっぱり 夏はくずきりが見た目もすずして いいわ」
といいながら 食べているところでエラリーが メモを書き始めた。
「エラリー うち毎日はいるから 書いてや」
「カレンちゃん 無理するな なんとかなりそやから・・」
「だって うちの関係のイベントで 皆さんにご迷惑かけるんやもの。うちは毎日はいらんと 申し訳ない。お願いや」

「大将 わい1日休み もらえまへんか?」
「ええけど ワサビ・・・」
「おとん チビ 危険なのは最終日や。あゆみさんや奈々子さんも入るゆうてるのみて だまっておれんで。ええか?」
とワサビがまさよしさんと チビの方をみて言った。
「あんた・・ うちはあんたの決めたことには とやかく言わん。」
「わさび 私もデパートで1日中立ち番してやるで。がんばれや」 
 エラリーが メモを発表した。

「いくで。初日 火曜日わいとタレントイグ。これは某動物プロダクションから来るそうや。」
「エラリー 1匹で大丈夫か?」
「まあ 初日やから 大丈夫やろ。」
「水曜 ハリー、木曜 ハリー、うりゅりゅ、金曜 ワサビ
 あゆみ 奈々子 土曜 わいエラリー・・そして最終日・・・ 」
「わいは日曜の午前中が空いとるで、」
「Haitamanno のおっちゃん、おっちゃんイグやないやろ」
「入れてくれとはいわん、見に行く。」
「Haitamanさんだけじゃないわ。私も行く」とTOMOさん
「もちろん 私だって。たまにはデパートの食堂も利用したいし・・」
「最終日、わい  マットの大将や」
「ハリーもや」
「えーっ ハリーいいの?」
「僕は エラリーの無二の親友やで、それに最終日エラリーだけ いいかっこさせられへんで」
「親友か 足ひっぱるライバルかわからへんな」
「僕も」
「イグサがいくんなら 僕も」
とGONとイグサがまた ごねて NOBUさんに
「GONもイグサも もうちょっとイグ生経験つんで自分で
自分の身を守れるようになれなければ 皆に迷惑かけるんやで。考えや」と言われ しぶしぶ 引っ込んだ。

[4260] 警備状況 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/13(Tue) 17:24 [返信]

空梅雨のあけた東京はジリジリとした太陽が照りつけていた。ここは、デパートの7階催場である。
今は火曜日の朝7時である、客の姿はなくかわりに大勢の店員や展示関係の人が働いていた。
黄金のイグアナを除いた宝物や展示品はほぼ展示され そこここにガードマンが立って警備にあたってる。

「やあ、やあ、神谷君。それに睦美さん。今回は大変な無理をきいてもらって すまなかったね。」
英国製のスーツを着こなした紳士 由衣の父保阪氏が神谷に
握手を求めてきた。
「三上教授には大変良い監修をしていただいて、おかげさまでこれまでにないようなインカ文明展になりそうですよ。」
「好かったです。教授はQ国の大学の関係者ともうすぐ到着すると思います。そのとき黄金のイグアナも来ると思います。」
神谷が言うと睦美に抱かれたエラリーも首を振った。
「神谷くんとエラリー君には大変やっかいなこと頼んでしまいましたね。一応ここの担当チーフを紹介しておこう。瀬島君!」
オーナーに瀬島とよばれた 40代の男がいそいでやってきた。
「瀬島君 以前話しておいた神谷君だ。警備の状況など説明してください。」といって保阪氏は他の人に挨拶をしに行った。
瀬島はなんでこんなヤツに警備の一端をになわせるのかと 明らかに不快な表情をしていた。そしてエラリーをみると
「中に入るイグアナだったらむこうだよ」と言った。
「いえ、一緒に話を聞かせてください」と睦美が言うと、
「私も長いこと催物担当をしてるが こんなの前代未聞だ」と小声でつぶやいた。

「催場は入り口と出口がひとつずつで お客様は順路に従って見学してもらいます。それぞれの口にガードマンを1人そして私服の警察官が2人ずつ見張ってます。展示物の前にも何人かガードマンを配置してます。
それからここは7階なので下へ降りるエレベーターとエスカレーター、階段に私服警官が張り付き 万一不祥事が生じても何処へも にげられないようになっています。問題のイグアナの前にはガードマンのほか私服数名が、1日中黄金のイグアナを監視しています。これだけいたら、アリの入り込む隙間もありませんよ」
と暗に 神谷は不必要と言っていた。

エラリーが睦美にメールをつかって言った
『下へおりる階段だけでなく、上の屋上への階段と屋上の警備も忘れんようにいってや』
「・・・といってますが、大丈夫ですか」
「えっ、いや屋上は、スーパーマンじゃあるまいし。屋上に逃げたら袋のネズミじゃないですか」
「相手は並のヤツではありません。至急手配してください」
神谷に強くいわれ
「変な人たちだ。イグアナが言ったなんて・・・」と言いながらガードマンを呼び 手配した。
「それから イグアナが入る空間ですが」と直径3m高さ2.5mほどの円筒形のアクリルでできた空間を示した。円筒の下部50cmほどは 空調や電気配線空間らしい。
「中央の高さ1mの台に 黄金のイグアナが置かれます。」

縦横50cm高さ1mぐらいの大理石の遺跡を模した台が置かれ
その周りの空間はねじれた木や石、上からはツタのような植物が垂れ下がり。密林の中の遺跡の雰囲気を作っていた。
上には いろいろな照明も配置され ジャングルの気象などもショーアップするらしい。
客はアクリル円筒のそとからぐるっと回って1.5mほど内側の
黄金のイグアナをジャングル越しに見るようになっていた。
「空調は床についています。出入り口は円筒の1部分がドアになっていて鍵がつけられて、その前にはガードマンが立つことになっています。」
瀬島の説明を聞いているうちに 睦美はこんなに完璧な警備で 本当にヒョウモントカゲは犯行を行えるのだろうかと
疑問に思えてきた。

4263] 初日 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/14(Wed) 18:14 [返信]

「神谷さんじゃないですか。」と50がらみの体格の良い男が近づいてきた。
「ああ、大和田警部。お久しぶりです。」
「R県の事件では、大変お世話になりました。」
かつて神谷とエラリーが解決した殺人事件でR県警だけでなく警視庁からも事情を聞かれたとき 知り合った警部だった。
「やあ、今回もイグアナの縁で協力願えるのですかな。何しろ世界をまたにかけとる 怪盗からの脅迫状ですから、警視庁もかなりの数だしています。これだけ固めていたら、手も足もだせやしませんよ」と豪快に笑った。

その時 入り口付近がざわめいた。 黄金のイグアナがきたらしい。
7人ぐらいの集団で、中の美しい女性が黒いケースを持っていた。
神谷の大学の三上教授、ほか外国人2人が女性の脇を固め さらにガードマンが3人回りを警戒して入ってきた。
一行は展示される 円筒の前に来た。
「神谷君、岡田君」と教授に呼ばれた2人は大和田警部とともに駆け寄った。
「紹介しよう。Q国立P大学のイザベラ・山本助教授、Q国立博物館のアルバート・プラド研究員とホセ・マルティン研究員。イザベラさんは日系で黄金のイグアナを研究してきた方だ。皆さん日本語が堪能だよ」
自己紹介がすむと、イザベラはカバンを台の上に置き、カバンと自分を結んでいた鎖をはずした。そしてついにカバンが開けられた。

わーっと歓声があがった。形は本物のイグアナのようにスマートではなく尻尾が短くまとまっているので尻尾の先までの長さは40cm。しかし、すべてまばゆいばかりの黄金の鱗で
覆われていた。
「鱗のひとつひとつには、細かい模様が施されていて小さなダイヤモンドが埋め込まれています。背中の棘は全体的にひとつになっていますが、プラチナ製、ほほの突起には海岸地帯で採取されたと思われる特大の天然真珠がはめられています。目はメノウでできています。」と説明した。

「このようなものが盗掘にもあわず 発掘されたのは奇跡と言っていいでしょう。それまでも小さなイグアナ像が出てきて、Q国はインカの時代にイグアナが神の使いだとは言われていたのですが」とホセもニコニコしながら言った。
「さあ、それじゃ早く展示しましょう。」イザベラはイグアナを用意された台座の上に置き、ケースを神殿(台)の下の空間に収めた。
いままで、ただのジャングルのような空間がタイムスリップしたようにインカの遺跡にかわった。黄金のイグアナは神をあがめるがごとく空を向き、人々のため息を誘った。

「厳重な警備に感心してます。これじゃ、僕だって近づけないね」とアルバートが言った。
「それじゃ 一応オープニングセレモニーまで、スタッフルームでお話しましょう。それからこの岡田君が抱いているイグアナが中に入ります。」
「あら、かわいい。オス?」とイザベラが聞いた。
「Q国も開発がすすんで、もう都市にはイグアナはいないのですよ」
「イザベラ先生もイグアナお好きなんですか?」と睦美が聞いた。
「はい、飼ってはいませんけれどね。だって今はあの黄色いイグアナに夢中ですから」と笑った。
そこに 動物タレントの会社からイグアナが2匹運ばれ
エラリーも睦美としばしの別れとなった。
「エラリー、ずっと見ててあげるからがんばってね。」
『おかん、まあ気楽にな、ほな』
「待って、まって」
「あっ 由衣先輩」
「カレンも入れて。ああもう7階までカレンを抱いて走ったら、何回も警察の人に捕まってしまったわ。ずいぶん厳重ね」
『カレンちゃん・・・』
『エラリー、おくれて堪忍、いっしょやで・・・』
『デへへへ・・・・』
「エラリー、気張って行こう!」
「よっしゃ!」
そしてイベントは開始された。

[4267] 手品師 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/15(Thu) 17:38 [返信]

そのころ神谷は大和田警部と話をしていた。
「ヒョウモントカゲとはどんなヤツなんですか」
「いやー 名前も顔も国籍も不明なんだ。変装の名人で手品使いでもあるらしい。実際ある国では 有名な手品使いが
ヒョウモントカゲで、王室に招かれて手品を披露する機会を利用して王室の宝を盗ったそうだよ。」
「それじゃ イグアナ像もあっという間になくなるとか・・」
「いやいや、あの大きさと重さでは会場から外に持ち出す時
目に着くだろうよ。それに我々も1日中、像に張り付いているし、あの密室のような 円筒の中に入ることさえできないだろ。今回はいかに怪盗といえども手も足もでないはずだ」
神谷もその考えに うなづかざろう得なかった。

そのころ会場ではオープニングを待ちかねた客が押し寄せてきていた。
「ねえ、ほらあそこに本物いるよ」
「ほんとだ、でも動かないね」
「ねてるのかな、餌はなに食べてるんだろう」
「そんなものより ほら黄金のイグアナのほうがすごいでししょ。あっちを見なさい。すごいわねー。いくらくらいするのかしら」
「すごい!ジャングルの中にこんな国あったんだねぇ」
「神さまの使いらしいよ」
「あれが?おい、あれ動いてるよ。ひぇーほんもんだ。何食ってんだ」
「恐竜の生き残りってかんじだね。でもかわいいね。ママ」
「そうね。あの2匹仲良しみたいだね」

『カレンちゃん、みんなわいたちのこと見とるで。少しはポーズきめるか。ボビボビ』
『エラリー、いややない?皆に見られるのって』
『そやな、慣れてへんから始めは変やったが、たまには人間を観察してみるかとおもっとる。ほらあの おばちゃん、黄金のイグアナ熱心にみてるさけ、目の玉が¥になっとるで。カレンちゃんは しんどくないか?』
『ええ、正直いややわ。でもあまり声も聞こえないし目つぶっていれば、じきに終わると思うとる。やっぱりママのひざでのんびりとなでてもらってるのが最高やワ』
 
そして2日目、水曜日
『ハーイそこのイグさん あなたどこのプロダクション?』
『ハーイ、ベイビー、僕のことかい、僕は自由なイグアナさ。きみたちの名前はなんていうんだい』
『わたし、ナ・オ・ミ、イグアナモデルプロよ。そして彼女が・・・』
『わたしは 小夜子 同じくモ・デ・ル。よくグラビア写真で出てるから知ってるでしょ。ウフ』
『私はりヴ、ハリウッドにも出たことあるわ』
『僕はハリーさ。今日は黄金のイグアナもかすんでいるんじゃないかな。みんな豪華な宝石のようだよ。』
『ねえ、ハリー お仕事終わったら 六本木のディスコいかへん?』
『いいねえ、それじゃその前に麻布、マミアナあたりででイタ飯食ってからいくかい?』
外のガードマンが同僚にそとささやいた。
「なんか 今日のイグアナみてると、いらいらしねえか?」

そして3日目 木曜日 

[4272] ナスカ地上絵 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/16(Fri) 16:47 [返信]

そして3日目 木曜日 
『ハリーさん、ハリーさんてば・・』
『・・・zzzz』
『起きてくださいよ』
『なんや、うりゅりゅか・・ア〜ア ファ〜・・』
『ハリーは 今朝 朝帰りなんよ。』
『カレンさん・・。昨日はマットの店で待ってたのに。どこいったんやろ』
『モデルの子つれて、六本木のディスコ行ったらしいわ』
『えっ!そんな、うらや・・やや、その後どこいったんですか、ハリーさん・・』
『どこだってええやないか。子供には関係あらへん・・ねむいんや・・zzz』
『わい、子供やないで。』
『うりゅりゅ、ハリーは 外見派手やけど意外とまじめやとおもうわ。脊椎動物心理学科卒業らしいし、ようわからんけど』
『でも、女性心理専攻らしいっすよ』
『ねえ、それよりも、北海道の話して。この前エゾカンゾウとかいってたでしょ。どんな花なん?』
『北海道は今頃が最高なんです。いっせいに花が咲いて、短い夏がはじまるんです・・・・・』

そして4日目 金曜日
『ふーん、けっこう快適じゃん。あの木に登ってもいいん?』
『ねえ、ねえ、泉もあるやん。凝ってるぅ。今は朝の照明なん?!!あれかー!あゆ、あゆ、すっご!純金やわ!』
『うわぁー、キラキラまぶしい思うてたら、ダイヤ付いとるんやないの。見て奈々子!ごっつい真珠。』
『ほんまですね。小豆というよりソラマメや』
『ケラケラケラ・・・、ワサビらしい例えや』
『この台もええね。ちょっとでええからさ、あのイグアナの代わりにうちがのって マイクで歌いたいわ。』
『台といえば 奈々子さん、あゆみさん、この台の中って人が一人ぐらい隠れることできるんやないでっしゃろか』
『ワサビったら、探偵やな。そうかな?どう思う?あゆ』
『ちょっと、探検してみよか』
・・・・・・・・・
『だめや、なんや黒いケースが入っっとるから狭くなってるで。イグやったら隠れられるんやけど』
『ああ、そのケースは イグアナ像のいれもんやそうです。像が立派なら ケースも皮ばりでりっぱなもんや』
『しかし、インカ帝国では、いろんなもん食べられていたんでんな。研究材料にはことかかないわ。今、ヤーコン料理を研究してるんです。アンデスの食べモンでっせ。今度大将の店でだすさかい、来てください。』
『ワサビ、研究熱心やな。』
『なあ、よくUFOなんかの番組で、ナスカの地上絵ってあるやん、あれってインカ文明?』
『詳しくは神谷はんにきけばええと思いますがあれは 前インカ文明らしいですよ。インカより前に12000年前から古代文明があったてゆうてましたで。』
『へー あっ、ねえ、神谷のにいちゃんあそこおるで。』
『睦美はんとエラリーも見てるやないの。神やはーん。エーラリー!』

『おかん、あゆと奈々子手ぇふっとる』
「睦ちゃん、あの子たちよく動くね」

そして5日目 土曜日

[4288] ダイアモンド鉱床 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/20(Tue) 16:55 [返信]

そして5日目 土曜日

開店前の時間、神谷はイザベラと話をしていた。
「イザベラ先生は、Q大学のご出身なのですか?」
「いいえ、私はアメリカの大学をでて1年ほど前までは
フランスの考古学アカデミーにいました。ちょうど1年ほど前ご存知のように Q国の軍事政権が倒れて民主化したおりにQ大学のほうに 移ったんですよ。」
「それじゃ、それから黄金のイグアナのご研究を・・」
「そうですね。Q国インカ文明はまだわからないことだらけで、黄金のイグアナもそのひとつなんです」
「質問していいでしょうか。」
「どうぞ」
イザベラはこの熱心な日本人の研究者にむかってほほえんだ。傍目には なにか特別の間柄のような感じである。イザベラ・山本30歳代前半か、日本人とスペインの混血らしくエキゾチックな雰囲気を持った理知的な美人である。

「イグアナ像にはダイヤモンドが使われていますが、現在のダイアモンドは南アフリカ諸国とロシア、オーストラリアしか産出されてないと思うのですが、どこの産なのでしょうか」
「神谷さん、ちょっと中に入って実際に見てお話しましょう」イザベラは警備員に頼み、瀬島を呼んできてもらうと訳を話し、神谷と円筒の中に入れてもらった。

「ダイアモンドは1500〜2000℃という温度と 6万気圧という圧力で地下200〜300kmで地球内部で形成され、今から1億5千万年前前、ゴンドワナ大陸が南アメリカとアフリカ、オーストラリアに分かれるころ地殻変動でキンバリーライト(ダイアモンド母岩)という形で地表近くに現れたことはご存知ですね」
「あっ、そうするとアフリカと南米、オーストリアは陸続きだったから同じ鉱床が存在する・・・」
「そう考えられます。世界で最初のダイアモンド鉱山はインドで2000年前から産出されていましたが、1725年にブラジルで鉱床が発見されました。その後1867年にアフリカのキンバリーで大鉱脈が発見されてからダイアの産出が大きく伸び、今ではオーストラリア、ロシア、アフリカが主要産出国になって、ブラジル産は年間10万〜20万カラットしか生産してません。」
「でも イグアナには使われている」
「そう、ポルトガル人がダイアの鉱床を発見する以前にインカの人々がそれを発見していてもおかしくない。ダイアはキンバリーライトから剥がれ落ち、水辺にたまることがあるのです。そして未開のブラジルあたりのダイアが、インカ帝国の一員のQ国まで運ばれてきたとなる証拠が この黄金のイグアナなのです。見てください。このイグアナの鱗についているダイヤの美しさ。大粒ではありませんが それが鉱床から採掘したというより自然に川から発見されたという根拠になっていますが、上質のダイヤですよ。」
イザベラは目を細めてイグアナ像を見た。

神谷も初めてしげしげ 見たが見れば見るほど魂を奪われるような像であった。これなら ヒョウモントカゲがどうしても欲しくなるわけだ。

神谷とイザベラが円筒から出ようとしたとき エラリーを抱いた睦美がやってきた。
「あっ!」イザベラがつまずいた。そばにいた神谷は思わずイザベラを抱きとめた。イザベラの美しい顔と神谷の顔が
触れ合うばかりだった。

「・・・・・・」睦美は神谷と目をあわさず、エラリーを円筒の中に入れると、きびすを返して走り去った。

4289] カレンも出勤 投稿者:TOMO 投稿日:2004/07/20(Tue) 20:34 [返信]

走り去る睦美とすれ違いで、由衣に抱かれたカレンが
やってきた。
『あれ、今睦美さん走っていかはったけどどないしたん』
『わからん。あの外人のねえちゃんがこけかかって、なまこのにいちゃんが支えた時にちょうどわいらが来たんだけど、そしたらおかん、さっさとわいをここに入れて行きよったんや』
エラリーは何がなんだかよくわかってないので、自分が見たそのままをカレンに話して聞かせた。
『もうっ!エラリーのにぶちんっ。睦美さん、誤解してまったんやわ。神谷はん、睦美さんのことはよ追っかけて誤解解き!』
あわててカレンは神谷にメールを飛ばした。
神谷はイザベラにちょっとすいません、とあやまると
「むっちゃーん!」
と睦美を追いかけていった。

[4297] 故障 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/21(Wed) 10:40 [返信]

「睦ちゃん、待てよ、待ってくれ・・・」
睦美は神谷の声を聞くと、ホッとして立ち止まった。
しかし、神谷の言葉は睦美が期待したものとは 違っていた。
「睦ちゃん、イザベラ先生に失礼だろ。挨拶ぐらいしていけよ。先生はQ国インカ文明の権威なんだぞ。君も考古学教室員なら・・・」
「もう、結構!どうせ私はできの悪い学生です。神谷先輩なんて、なまこみたいに土器の中にもぐりこんでいればいいんだわ!」
「ど、土器の中って、それじゃ蛸壺じゃないか。なに言ってんだかわかんないよ。」
「イザベラ先生の弟子になって Q国にでも留学したら。今日は私帰ります。夕方また来ますから」
神谷はちょうど来たエレベーターに乗った睦美を唖然とした表情で見送った。

そのころエラリーは
『エラリーのにぶちんって、にぶちんって何やねん。おかんも、ワイのこと 放り出してからに、おまけにやけに寒いで、寒い??カレンちゃん・・』
『まったく、神谷さんて1万年前の人がどうだとか、こうだとか想像してるのに、目の前の女の子の心を想像できないのかしら。神谷さんもにぶちんやわ、えっ何エラリー?』
『なんや寒くないか?』
『そういえば、さっきから体がしびれてきてるみたいに感じてたの。興奮してたから気にしてなかったんやけど・・どうしたんやろ』
『カレンちゃん、大変や。温度がさがってる。ヒーターが切れてるんや。いや冷気が入ってるで』
『由衣ママ!ママ気づいて!』カレンは由衣にメールをとばしたが、由衣は一旦父親のいる重役室へ行って不在だった。

外の警備員たちは
「イグアナが壁をがりがりやってるな」
「えさは、はいってるんだろ」
とわからないようだ。
イザベラは イグアナの様子をニコニコ楽しそうに見ている。何しろエラリーがなんとか知らせようと、ボビボビしたり、尻尾をぶん回したりしているのを元気な様子と勘違いしているようだ。

そこへ、神谷がもどってきた。
「イザベラ先生すみません。あれっどうなさったんですか?」
「イグアナが元気なんですよ。ほらさっきの 学生さんが連れていらした子、いろいろ芸をやってくれます」
「ああ、エラリーですか。彼は頭がいいから。多分信じてもらえないと思いますけど、彼が人間の言葉話せたら、僕は彼を尊敬するし、友人になりたいと思いますね」

『なまこの兄ちゃん、友人でもなんでもなってやるさけ、おやつのバナナもわけてやるさけ、なんとかしてくれ!』
神谷はカレンを見つけた。
「あれ、カレンちゃん元気ないな。どうしたんだろ。」
睦美がこの場にいないのが残念であった。神谷は睦美と行動を共にするうちに、イグアナについてずいぶんわかるようになってきていたのである。
「だれか、だれか、あけてください。この中変だ」
警察官が近寄ってきた。
「むやみにあけるわけには、行かないんです。責任者を呼んできますから、お待ちください。」

すぐに 瀬島と由衣が駆けつけ鍵をあけた。
由衣が入り、カレンたちを救い出した。
エラリーは神谷が抱き、自分の体温でエラリーを暖めた。
「エラリー、大事にならなくてよかった。君になんかあったら、僕は睦美さんに・・・」
『なんや?なんや?聞こえへん。しかしなまこの兄ちゃん進化やで』

「電気系統の故障ですね。どうしたんだろう。今すぐビル管理を呼びますから。」
と会場の電話をとると デパートの地下の部屋に待機しているビル管理を呼び出して、電気系統の故障を伝えた。
チーフの男がすぐに部員を向かわせると告げた。

[4298] ビル管理 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/21(Wed) 18:08 [返信]

「ビル管理からきました。故障箇所はどこですか」
 作業坊をかぶった男が、ガードマンに聞いた。
ガードマンは
「なんか、あの円筒の温度管理がいかれたって言ってましたよ」と教えたあと、瀬島を呼んだ。
しかし、瀬島は助け出されたイグアナをどうするか、プロダクションの人と話している最中で、すぐには来られず、大声で
「直してくれ」とさけんだ。
作業員は工具を持って、早速作業を始めた。
1〜2分して 
「直りました。ただのサーモの設定が低かっただけですよ」
と言い置いて、足早に去っていった。

そのころ ビル管理の部屋へ、また電話がかかった。
「瀬島ですが、問題は解決しましたので、出向されなくても
結構です。」
「あっそうすか。わかりました。今から行くところだったんです。それじゃなんかあったら、また連絡してください。」

「瀬島さーん、直りましたよ。だれかサーモいじったんじゃないですか。」
「何、だれかサーモいじった?」
大和田警部がそれを聞きつけた。
瀬島が皆の顔を見回した。
「だれか触ったものいるか?」
「いえ、もしかしてイグアナが 偶然さわったのかも知れません。だれも触ってないと思います。」
大和田が警備に向かって行った。
「各人、どんな些細なことでも見逃さないように。集中して
警備してくれ。一応この円筒には強い力がかかると、サイレンが鳴るようになってるが、今日 明日と挙動不信のものがいたら、脇につれていって職務質問をしてくれ。しかし、デパートだから、あくまでもソフトにな・・・。本当にここが
難しいとこなんだ・・・」

「エラリー、大丈夫か?動物プロの人はたいしたことないし、温度が直ったからとイグアナ入れてるけど・・」
『平気や、カレンちゃんは休ませてやってくれるか。少し中で考えたいんや』
「エラリーが入るといってますので、エラリーは入れますけど、カレンちゃんは休ませたほうがいいと・・・」
「エラリーがいってるんですか?」
イザベラがびっくりしたように言った。
「神谷先輩、睦美が聞いたら喜ぶでしょうね」
と由衣も 驚いたように言った。

そしてその日は無事に終了した。
運命の6日目、日曜日。最終日である。

[4301] 真打ち(?)登場! 投稿者:TOMO 投稿日:2004/07/21(Wed) 22:30 [返信]

運命の最終日、1日休んで元気を取り戻したカレン、そしてエラリー、マトリックスがそれぞれ由衣、睦美、冬彦に抱かれてやってきた。
『カレンちゃん、大丈夫か?今日はマットの大将とわいが入ってるけん、大事とって休んだ方がええんとちゃうか?』
『ううん、大丈夫や。今日が正念場なんや、それにうちのおじいさまが企画したことで皆さんにご迷惑かけてうちだけのうのうと休んどるわけにはいかへん』
『エラリー、カレンちゃん、昨日何かあったんか』
『電気系統が故障して円筒の中に冷気が出たんや。なんとか開店前に復旧したんやけど、あのは虫類苦手ななまこのにいちゃんがな、わいを抱いてあっためてくれたんや』
『神谷はん、やっぱりやさしいなあ。けど、睦美はんはおらんかったんか』
『なんや知らんけど、おかんはブチ切れてわいを置いて帰ってもうたわ。夕方にはちゃんと迎えに来てくれたけどな』
その時、エラリーは前の日神谷が自分にささやいていたことを思い浮かべていた。
カレンちゃんはなまこのにいちゃんのことをにぶちんゆうとったけど、にいちゃんはわいのことをあっためてくれた。わいのこと、心から心配してくれた。そのことをおかんに知らせてやれたら、おかんは喜んでくれるやろうか。
それに引き換えあの外人のねえちゃんはっ。何が芸や。もうちょっとでわいら死ぬとこだったんやで。
『…リー。エラリー。どないしたん。さっきから黙りこんで。もう入る時間やで』
カレンに呼ばれて我にかえったエラリーは、カレンとマトリックスと円筒に入っていった。

[4304] イグサ失踪 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/22(Thu) 09:18 [返信]

「皆さん、おはようございます」
汗をふきふき ジュラがやってきた。手には犬用のキャリーバッグを持っている。
「ジュラさん、暑そうですね」と冬彦が笑った。
「ええ、もういつも筑波ではジーパンとTシャツなんですがね、イグサが東京にいくんだから、スーツを着ていけとかこのネックレスをつけろとかうるさいんですよ。
参観日ファッションじゃぁあるまいし、いやだって言ったらね、そしたら絶対トイレのしつけなんか無視して、あちこちウンチ撒き散らすって脅迫するの」
「イグサくん来てるんだ」と睦美もいった。
「ええ、ここに。開店前に連れて行けって・・・と言ってるような気がして」
ジュラがキャリーからイグサをだすと、イグサはチョロチョロと肩に登った。
「イグサ、そこでおとなしくしてるのよ。
みなさん今日はおそろいですか?Haitamanさんもいらっしゃるとか、まさよしさんとかNOBUさんは?・・ほんとに東京は暑いですねぇ・・」

イグサは肩から首筋に行くと、ニヤッと笑ってあることを始めた。それは、安物のネックレスの糸に爪を当ててほぐす行為だった。1週間前からひそかに準備していたのだ。

「あっ、ハリーが着いたわ。入れてあげて。」
由衣が言って、鍵を持った瀬島がドアを開けたその時だった。
「あっ!、わわゎわわーー!!」すごい声に皆いっせいに声の方を振り向いた。
ジュラのネックレスの糸が切れて、真珠が床にばら撒かれたのだ。
「あーーすみません!いいんです。自分で拾いますから、えっや、安物ですから、ほんと、にせものなんです・・・・(汗、汗・・なんで こーなるの)」
ジュラが大慌てで、拾い集めているすきにイグサが走り出し
消えた。

『なんや、ジュラのおばちゃん這いつくばっとる。どないしたんや』
『ねえ、エラリー、イグサがジュラさんの肩に乗ってたはずやけどどこにいったのやろ』
『ここにおるよ』
『イグサ!、おまえ 入っちゃいけないって言われてたやろ!』
『ヤダー、僕は少年探偵団なんや。エラリー兄ちゃんの助手をするんや。あっいけない。おかんがさがしとる。ちょっと隠れよ』
『あの年の少年は夢をみる年頃なんだねぇ。僕にも覚えがあるよ。あのころ僕は白馬の王子になる夢を見ていたんや』
『あきれて、ものもいえんわ。今もそやないか』

「あれっ!?あれっ!? イグサがいない。イグサ!、イグサー。困っちゃったなー。」
「えーっ、イグサがいないの」
「冬彦君見なかった?」
「なんか、我々の足元を緑色のトカゲみたいのが走って行きましたが」とガードマンの一人が言った。
「どこいったかわかりませんか?」と由衣と睦美が一緒にきいた。
その時開店のベルがなり、客が押し寄せてきた。

[4307] イグサ発見 投稿者:TOMO 投稿日:2004/07/22(Thu) 23:46 [返信]

どうやら、このインカ展には黄金のイグアナのみならず、エラリーたち生イグアナを見たくて来てる人も結構いるようである。その生イグたち目当てに来た人の中から歓声があがった。
「あっ、今日は小さいイグアナもいる!」
「かわいいねー」
それを小耳にはさんだジュラさん、
「えっ、小さいイグアナ!?」
あわてて円筒をのぞき込むと、イグサが入っている。
「イグサ、あんた何やってんのよ!」
『お、おかん!?』
あわてて隠れようとするイグサだったが、時すでに遅く…
「あんた、いつの間に…って、あーっ!あの時でしょ!」
ジュラさんはさっきネックレスの糸が切れた時のことを思い出した。そして、ジュラさん自身もキレた。円筒に顔
をくっつけんばかりにして
「イグサ!あれだけダメだって言ったのに!すぐ出てきなさい!」
としかりつけた。
それを見たエラリーたちも、
「イグサ…、ジュラのおばちゃんめっちゃ怒ってるで?早いとこ出た方が良くないか?」
と勧めたが、逆にイグサは恐がって木の陰に隠れてしまった。

[4309] Haitamanさん登場 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/23(Fri) 09:06 [返信]

「イグサ!、あっまた隠れた。もう!」
とジュラは思わず円筒をこぶしでたたいてしまった。
そのとたん ピ〜ピ〜ピ〜ピ〜と大きな警報音が鳴り響いた。観客も警備もはっとして警報音の原因を見つめた。
「おばちゃん、ちょっと来てくれる。」と私服の目の鋭い男たちがジュラを取り囲むと 会場の隅へつれてった。
「おばちゃん、さっきからわざとネックレス壊したり、円筒ちかくで床をみたり、ずいぶん怪しい行動をしてるじゃない
なにしてんのかな。身分証明するもんある?」
「えっ、別に怪しくないですよ。ちょっとその円筒のドア開けてくれません。うちの子がはいってるんです。」
「おばちゃん、なにいってんの。あけられるわけないでしょ。ちょっと事務所まできてくれる」
由衣や睦美、神谷まで怪しい人間ではないと弁明してくれたが、変装ということも考えられるとジュラは事務所へ行くことになった。
ガードマンの耳につけてる、レシーバーに指示がはいった。

[各人、敵は注意をそらす行動にでるおそれあり。なにか不審行動をとるものがいた場合でも、警察が対処するので黄金のイグアナから目を離さないように]
さらに警備が厳重になった。

その時Haitamanさんがエレベーターをおり、引っ張られるジュラを見つけた。そして会場で心配そうな顔をしている神谷たちに言った。
「なんや知らんけど、さっきジュラはん両腕に男たちぶら下げて引きずって歩いとったで。」
「Haitamanさん、反対ですよ。ジュラさんの腕をとって引っ張っていったんですよ。」
「ほーか、わしにはそう見えんかったが」
「お父様、今 車でこちらに向かってるところなの。電話で一応伝えといたから、警備のほうにも連絡入ってると思うけど」
よ由衣が言ったが、冬彦が
「でも、あの人が本当のジュラさんだとわからないじゃないですか。僕たちはそんな相手を敵にしてるわけだし」
というと、みな一様にだまってしまった。
「まっ、えやないか、すぐにわかる。どや みな元気か?」
一同は人なみにもまれながら、円筒の前に来た。
「おう、エラリーごくろうやな。ハリー、モデルにええ子いたか、でもカレンちゃんみたいにかわいい子はそういないやろ。まあうちのバジルも器量よしやがな。ハハハ、よっマットの大将 そうやってると普通のイグアナやな。またあしたうまいもんくわしてくれや。」
『Haitamanのおっちゃん、今日は午後からテニスか?脱水でひっくり返んないでくれや』
『今日はバジちゃん お留守番?うちら今度の日曜日さりゃりゃちゃんちに行く約束してるんやで。TOMOさんのおみまいや』
『Haitamanはん、またおいしい酒がはいりましたで』
イグアナにむかって独り言をいってるようなおっちゃんの様子に見ていた人々は気味悪そうに後ずさりした。

4310] インカの2進法 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/23(Fri) 14:54 [返信]

「・・・なになに、エクアドルのサンタエレナ半島を中心に発達したバルディビア文明は、数々の女性の土偶が作られ、木製の家と貝殻を敷き詰めた広場をもち、当時としてはその地域で一番発達した文明を持ち、その建築様式からすでに 海岸地方、高山地方、ジャングルを結ぶ流通があったものと思われる。Q国文明はその流れをくみ、インカ帝国に支配されるまで、モチーカ、ナスカ、チムーなど文明が発達した、高山地域の諸都市と交易を通じて繁栄した。
そやったか。」とHaitamanさんは説明書きを読んだり、展示物を見たりして いちいち感心したようにうなづいていた。

「僕がインカ文明ってすごいなと思うのは、文字もないのに
よくあれだけの広大な大陸を収めたなということなんです。」と冬彦が言った。
「私は、インカの人々が大量輸送に欠かせない車輪というものを発明せず よく巨大な建造物をつくれたり、物流ができたなということですね」
と後からやってきた由衣の婚約者平田が言った。
「文字に関しては、文字の変わりにキープという毛製の紐に結び目を規則的に編みこむことによって情報を伝達したと言われてますね。巨大な石などはテコと牛馬や人力ではこんだと考えられています。」と神谷が説明した。

「もっと別の力かも知れませんよ。半重力を使ったとか・・」
とんでもない発言にみな振り返ると、Q国博物館員のホセがたっていた。
「ナスカの地上絵は宇宙人か空を飛べるものしかわからないとか、古代核爆発があったとか 不思議いっぱいですからね
。まあそれは不確実としても 先ほどのキープですが最近の研究によるとどうやら2進法ではないかと言われる説があるんです。」
「えっ2進法というと、電算機に使われる?」
「そうその2進法で情報のやり取りをしていたんです。現代のPCのように・・・」

『おかんたち何してんのや、あそこで腕組みしてるで。』
『おっ!』
『どうしたマットのおっちゃん』
『メールが来た見たいや。ひとつはワサビ、もうひとつは稚内のチャーミーはんや』
『読んどくれ』
『大将、こちらは順調です。今日は祇園祭りのころなので、はもを中心とした料理にするつもりです。でもおとんが開店のときからずっと店にいて心配してくれてます。うれしいけどちょっと煙たいですて、ハハハ、まさよしさん我が子の仕事振りが心配なんやな。もうひとつは・・・マット様のお仕事のご無事と事件のすばやい解決を遠い稚内の地より心から応援いたします、フレーフレー イ・グ・ア・ナ、フレーフレー、マット』
『・・・フフフ』カレンちゃんが笑い出した。
『紅白歌合戦の南極からの電報みたいや』
『いやー、わいらの年になるとメールってものにはあまりなじみがないでっしゃろ。チャーミーはんもこの前メールをあゆみさんや奈々子さんから教えてもろうたばかりなんです』

お昼の時間となり一部の警備員が入れ替わった。
ジュラがもどってきた。
「イグサは終わるまで、戻せないそうです。ドアが終わるまであけられないそうなので」
「みなさん、お父様がお昼をご馳走したいと言ってます。どうぞいらしてください」
由衣が皆を誘った。

[4323] ちょっと休憩 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/25(Sun) 12:20 [返信]

「いえ、僕は残ります。マットのそばにいてやりたいし、だれもいなくなってその間に やつがきたら天下の大捕り物見逃しちゃうもん」と冬彦がいった。
「でも、腹が減っては戦はできぬっていうじゃない。ここは交代でいきませんか。ガードマンの人もそうしてるみたいだし」とジュラが言い、遠慮するHaitamanさんにも由衣がさそい 前半組 haitaman 由衣、平田、ジュラ、イザベラ、ホセが特別食堂へ行った。
「わーすげ!幕の内弁当っていうから、いつも食ってる500円くらいの想像してたけど、こりゃ3000円だな」とジュラは心の中で歓声をあげた。
その席で由衣と平田の結婚式が9月に行われるので、みなさんに出席していただきたいと保阪氏から要請された。
「南米には水晶の髑髏とか、飛行士のレリーフとか、計り知れないものがありまんなぁ。ミステリーサークルとネッシーは、インチキだったらしいですが。」
「ああ、Oパーツというのですね。確かに宇宙船のなかで操縦している飛行士にしかみえませんよね。」
「あんさんは、日系人なんですか?」
haitamanさんはとなりのイザベラ助教授と話が弾んでいる。「ええ、そうですやん。うち生まれはペルーやけど、父が日系2世で母がスペイン系なんですわ」とイザベラさんがhaitamanさんに合わせて関西弁で受け答えしたので座がわいた。
博物館員のホセは隣のジュラに 由衣さんがうらやましい
ぼくは何度もイザベラに結婚をもうしこんでも断られると
ラテン系のオーバーな身振りで愚痴をこぼしたので、皆に
励まされたり、冷やかされたり初対面が多いわりに ずいぶん楽しい昼食会になった。
ころあいを見て後半組、冬彦、神谷、睦美、そして先ほど会場に到着したTOMOさんと交代した。
この組は若者ばかりなので、また話がはずんでるようだ。

「今のところ異常ないですよ。本当にやつはくるのかなぁ」
「冬彦くん、怪盗が来るの待ってるみたい」と睦美に冷やかされ
「だって、みてみたいじゃん、ねぇTOMOさん。世界的な怪盗
ですよ。でもあれじゃぁ、円筒に近寄っただけで御用だな。
どんなやつなんだろう。ルパンみたいのかな。ねぇTOMOさん
TOMOさんのレッドドラゴンでカーチェイスやったりして・・すっげー やってみてー」
「ハハハ・・TOMOさん困ってるよ。うりゅりゅ君とさりゃりゃちゃんは?」
「さりゃりゃは、チビちゃんとマットのお店に言って待ってるって。あの子人ごみ好きじゃないし、人見知りしやすいたちだから。うりゅりゅはさっきジュラさんにあずけてきたわ
ジュラさんイグサ君にしてやられたんだって?」

[4327] 続・ちょっと休憩 投稿者:TOMO 投稿日:2004/07/25(Sun) 21:48 [返信]

「そうなのよ」
TOMOの問いに睦美が答えた。
「イグサ君、あの時も最後までエラリーたちと一緒に入るって騒いでジュラさんに怒られてたじゃない。でもやっぱりあきらめられなかったんだろうね。ジュラさんのネックレスをばらして、ジュラさんが大慌てで拾ってる間に円筒に駆け込んだのよ」
「そうそう」
それに神谷と冬彦が続けた。
「それで、気づいたジュラさんがつい円筒を叩いちゃって。大変だったんですよ」
「そうそう。あそこまでセキュリティが厳重だとはね。びっくりしちゃった」
「えっ、なになに??」
野次馬根性旺盛なTOMOはたまらず話に乗ってきた。
「ジュラさんが叩いた途端、警報が鳴り出して、警備の人に連れてかれちゃったんですよ。あれはイグサ君、あとが恐いな」
「だね」
みんながうんうん、とうなずいた。
「そういや、NOBUさんとGONちゃんは?まだ来てないよね。あの時、GONちゃんもイグサ君と入りたいって騒いでたような…」

[4330] 天王寺動物園 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/26(Mon) 09:47 [返信]

「ほーらGON、キリンさんやでー、キリンさん首が長いなー。あっこんどはゾウさんや、長い鼻やなー。見てみあれでな、えさ食べるんやで。GON楽しいか」
「うん、おとん楽しいで。」
NOBUさんとGON君は今 天王寺動物園にいる。GON君はNOBUさんの言いつけを守って デパートには行かないことにしたが
今日になるとあまりにしょげているので、かわいそうになったNOBUさんが動物園に連れてきたのである。GON君はNOBUさんのシャツの中にうまく隠れている。
「でもな、おとん、動物園でゾウさん見てるイグアナも珍しいんとちゃうか?おとんの発想もかわってるなぁ」
「まあ、ええやないか。帰りにたこ焼きでもこうてかえろな」
2人は今後のとんでもない成り行きなど知るはずもなく、家族づれでにぎわう動物園の休日を楽しんでいた。

そのころ会場のイグサは
『わぁー、ねえ、ねえ、もうお昼でしょ。このご飯たべてもええの?すっげぇーうまそー。おかんはこんなの作ってくれたことないで。うめー。ヴァフヴァフ、ムサムサ』
終わるまで あけられないと知ったイグサはうれしくてあちこち冒険している。
『なあ、エラリーもうそろそろ3時や、まだ現れんな。さすがの怪盗もこの警備を見てあきらめたんとちゃうか』とハリーが言った。
『そうでんな。今日無事に終わったら、うちで打ち上げといきまひょ。お代はええでっから飲み放題ということで』
『フフフ・・、Haitamanさんおおよろこびやない?テニスからのどカラカラで来るんとちゃう』
『あっ悪いな、わいはパスやで。今日の夜はリヴちゃんナオミちゃん小夜子ちゃんとお台場のデックス東京ビーチで東京湾大華火祭をみながらお別れパーティーやろって約束してんのや』
『勝手に行きや・・・』
『ねえ、エラリー、あの人ちょっと変やない?、顔から油汗流しとる』
カレンが指差した方を見ると、円筒のドア付近で警備しているガードマンの一人の様子がおかしそうである。

「あっの・・ウ、ウ、主任・・」
無線で主任を呼んだガードマン 名前は宮田といった。
「どっどうも、腹の具合が悪くて、ト、トイレに・・行かしてください」
「なんだ、どうしたんだ。オーイ、須田、ちょっと持ち場変わってくれ。早く言って来い」
「すっすんません!」宮田はあわてて走っていった。

『なんやトイレや。昼に悪いもんでも食ったんとちゃうか』
しかし宮田は30分たってももどってこなかった。
私服の大和田警部が警備主任の今野のそばにきてささやいた。
「そこにいた、ガードマンはどうなってるんだ?」
「さぁ、腹の具合が悪いとトイレにいったんですが・・」
その時会場の雑踏の中で悲鳴が上がった。
「なんだ!どうした!」
「スリだ!、スリ!」人ごみにまぎれていた警察官が一斉に動きスリを取り押さえにいった
「だめだ!、イグアナから目を離すな!」神谷が叫んだ。
『陽動作戦やな。これじゃどこに警察官がおるか、丸見えや。』
そのドサクサにまぎれて
「須田、悪かったな」
「宮田、もういいのか。じゃあおれは持ち場に戻るからな」
ガードマンの帽子を目深にかぶった宮田が 以前と同じように警備配置に着いた。

[4338] FIRE!! 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/27(Tue) 09:12 [返信]

「いよいよですね。」会場には2人のQ国博物館員のホセ、アルバート、そしてイザベラが顔をそろえた。
デパートは7時の閉店だが、最終日の催場の閉館は4時半、
あと30分であった。
「ドキドキするわ。でも 来ないかも知れないわね」とイザベラが神谷に話しかけた。
「いや、絶対きますよ。ヒョウモントカゲは約束は必ずまもるやつだって大和田警部が言ってました。ところで イザベラ先生は関西となにかご関係があるんですか?」
「ああ、」イザベラは笑って答えた。
「Haitamanさんから聞かはった?うち3世でっしゃろ。うちのおじいさん、堺の出身なんです。それよりも、神谷さんQ国の非常勤国立博物館員になりませんか。私が文化省に推薦しますよ」
その言葉を小耳に挟んだ睦美は全身が熱くなるような焦燥感を覚えた。
「あっあの、イザベラ先生・・・」
「なに?」イザベラは深い茶色の目で睦美をじっと見つめた
口元は にこやかに笑っていたが、目は笑っていなかった。
その複雑な表情はとても小娘の睦美がたちうちできるものでなかった。

その時助け舟のように アルバートが睦美に話しかけた。
それでなくても、皆ぴりぴりしてきてこれでは 怪盗の思う壺である。
「私たちの国にぜひ遊びに来てください。あなたの大好きなイグアナの住む森もありますし、古代史の研究の対象としても面白いですよ。」
「あっはい、機会があればぜひ・・。そうそう、黄金のイグアナっていつもはどんなところにあるんですか」
「いつも?いつもはね、博物館地下の大金庫の中なんですよ。ほらちょうど1年前、軍事政権が倒れて国中がざわついてたでしょ。本当は展示して国民に国の宝を見てもらいたいのだけど、本当に落ちつくまで文化財はすべて地下の大金庫に納めてあるんです。」
「それじゃ、研究の時は?」
「ああ、イザベラ先生などの人でも博物館に来て、特別室での閲覧ですね。そこに入るのも博物館員のパスワードが必要なんですね。ホセと私ともう一人の指紋がそろわないと、大金庫は 開けられないのね。」
「すごーい!。それじゃそこにはいったら、もう盗めないのね」
「そうそう、無理ね。私が目の前の美しいお嬢さんの心を盗むくらいむずかしいかな。それとも僕のために お嬢さんの清らかな心をあけて待っててくれる?」
冗談とわかっていても、若い外国人の男からの饒舌に睦美はちょっとにっこりした。
「ふふふ、神谷さん耳がダンボになってるよ。睦ちゃん」
TOMOさんが睦美の腕を軽く突っついた。

『あと、もう少しね。あれっイグサくんは?』
『あれだけ騒いだから、どこかでねむっとるんやないか。あと10分で閉館や。でも・・・なんか・・・おかしくないか』
『エラリー、おかしいで。徐々に温度が上がっとる。もう38
℃になる。さっきまでは、えらく体調が順調やと思うて油断したわ。』
『ねえ、みんな人間はもう少しで終わりとかで、誰も温度気にしてないわ』
『皆、口あけろ。外に知らせや!どんどん急上昇や!!尻尾振れ!』
バーン!!なにかはじけるような音がして、円筒の中に煙が充満した。

「わー!!か、火事だー、だれかー!!」
「火事だー!、火事だー!!!。逃げろ!」
今まで、人ごみの後ろから円筒を見守っていた神谷たちは 一斉に円筒に向かって人を掻き分け突進した。
会場は逃げ惑う人で大混乱になった。

[4340] イグサ起床 投稿者:TOMO 投稿日:2004/07/27(Tue) 18:43 [返信]

ハリーたちの言ったとおり、遊び疲れて本当に寝ていたイグサだったが、円筒の中の熱さと煙たさに目を覚ました。
「エラリー兄ちゃん、何やの?煙たいよ」
「火事や、イグサ。おまえも口開けてしっぽ振り。外のおかん方に知らせるんや」
「う、うん。おかーん、みんなーっ、火事やーっっ!助けてー!」
小さなイグサも声を限りに叫んでしっぽを振りまくった。
TOMOの肩に乗っていたうりゅりゅがそれに気づき、
『おかん、円筒の中が大変や。はよみんなを助けな』
とメールを飛ばした。
「早く円筒を開けて!いや、自分で開けた方が早い!」
するとジュラさんも、
「私もやるわ!」
と進み出た。
「警報機が恐くてイグ飼いがやれるかってのよ!イグサ!今おかんが助けてあげるからね!」
ジュラさんはさっき一度鳴らしてしまっているので余計大胆になれるのかもしれない。イグサにはそんなおかんが頼もしく見えた。
『えーん。おかーん』
泣き出してしまったイグサをカレンがなだめる。
そして表ではイザベラが
「ジュラさん、TOMOさん、無理よ。あの円筒はちょっと衝撃を与えただけでも警報が鳴るのよ」
と二人の暴走を思いとどまらせようとしたが、わが子かわいさの一念のジュラさんと、さっき彼女が神谷にちょっかいを出そうとしてるのを見て、
「こいつ、気にいらねーな(-_-メ)」
と思っていたTOMOが簡単に止まるわけがなかった。

[4344] 混乱の中 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/28(Wed) 09:39 [返信]

「瀬田はどこにいるんだー!!」大和田警部がさけんだ。
「瀬田しか、ここの鍵をもってないんだ。どこ行ったー!!。こんなときに、どうしたんじゃ〜!!」
「そんなのまってられない。イグサが死んじゃう。エイヤーっ!!」ドッシーン
「エラリー!」ドッシーン。ジュラとTOMOさんはドアに体当たりをした。そのとたんビ〜ビ〜ビ〜ビ〜とすさまじい警報
音が鳴り響いた。それが、さらに混乱をひこおこした。
「ジュラさん、TOMOさんどいて!」振り向くと冬彦だった。
「マット!今助けるからな」冬彦と平田が突進した。
ラガーマンの冬彦は渾身の力をドアにぶつけた。

『みんな、いるか、よっしゃ。泉で体をぬらすんや。順番に・・落ち着いて』
『マット・・・』
『大丈夫や。それから、下は土や。顔が入る大きさの穴を掘って、その中に顔を入れるんや。そや、ええで。煙は上にいきよる。あと少しの我慢や。冬彦はんがきっと助けてくれる。あわてるんやない。信じろ!』
『イグサはできた?あれ、イグサ!イグサがおらん!、ゴホッ、ゴホッ』
『カレンちゃん、頭下げて』
『イグサー、!!』カレンは大声で泣き出した。

「この階以外の客は避難させろ!。会場の中に残っていた客は避難後一箇所に集めておけ。逃がすんじゃないぞ!」
大和田警部は混乱の中、大声で指揮をとっている。
ガードマンは消火器で火元と見られる電気系統の消化にあたった。
「ソレッ!」ドッシーン! 
「セイヤッ!」ドッシーン
冬彦、平田、ガードマンいっせいにドアにぶつかっていった。
「ソレッ!!」ドッシーンッ、メリメリ、バキ、バキーッンドアが破れて、冬彦たちが弾き飛ばされ中の煙がモクモクと外に出た。
それと同時に照明が消えた。
「エラリー!!」真っ暗な中、真っ先に睦美が叫びながら飛び込んだ。
「待て!」神谷が叫び彼も中に睦美を追っていった。
入ろうとする、由衣を押しとどめ平田と冬彦が入った。
「まだ、たくさんいるんでしょ。早く助けなくては!」
体当たりをハラハラしながら見ていたイザベラが叫び、そばのガードマンやイザベラも中に入り、イグアナ救出に当たった。
その時
「警部!!、屋上に熱気球が近づいています!!」という報告がなされた
「何!!、屋上に来たら取り押さえろ!今応援をやる!」
大和田警部が言い終わったとたん、先ほどまで円筒のドアの前を警備していた宮田とかいうガードマンが突然入り口に向かって走り出し階段のほうへむかった。彼は先ほどイグアナ救出の際もそこにいたようだ。
「ヤツを捕まえろー、やつがヒョウモントカゲだー!!
早く!、ヒョウモントカゲが逃げるぞ〜!!」
警察官がいっせいにガードマンの後を追った。
警官の持つライトが交錯する。
「こっちだ〜!、ヤツはおとりだ!だまされるな!」
という声がして、警察と警備が出口のほうに逃げていく包みを持った男を追いかけた。

「エラリー!ゴホッ、エラリーどこ?!、ゴホッゴホッ、今たす・・け」
『お、おかーん』
「エラ・・よかっ・・ゴホゴホ・・あー助けて!」
「睦美!!」神谷が煙に巻かれてしゃがみこんでしまった睦美を抱き起こし、睦美がしっかり抱いているエラリーとともに外に出た。
「もう大丈夫、睦っちゃん!エラリーも」ほっとして思わず泣いてしまった睦美の肩を神谷がしっかり抱いた。
『ちょっと、きついがな』エラリーが文句を言った。

「いいか!入り口、出口を押さえろ。誰も入れるな!出すな!」大和田警部の号令に応援の機動隊が入り口、出口を固めた。電源が働いて照明がつき火事も大事にならず消し止められた。中に入れないでいた保阪氏が真っ青な顔をして
駆けつけた。入り口、出口をジュラルミンの楯を持った機動隊にがっちりガードされている中に皆そろった。
マットは冬彦がいとしそうに抱いていた。由衣と平田はカレンの体をなでていた。
イザベラさえもすすけた顔でハリーを抱いていた。ハリーは美人に救出され、まんざらでもない顔をしていた。
他の イグアナもガードマンに救助された。
そして、「ねえ、イグサ知らない??見つからなかったの」ジュラが放心状態でつぶやいた。

[4345] ヒョウモントカゲ参上 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/28(Wed) 16:33 [返信]

『今頃、イグサたちなにしてるんやろ』
「気になるんやら、メールしたらどや?」
『イグサに通じへんのや』
「そうか、いそがしいんやろか」NOBUさんはGONが気にしていながらも、我慢していたと知った。
「GON、バナナこうて帰ろな」
『バナナやったら、家のちかくでも買えるやろ』
「天王寺にはなぁ、バナナの叩き売りがあるんやで。おもろいから見ていこな」

「えっ!、イグサくんいないの!」皆ジュラのほうを、こわばった表情で見つめた。
『ここにいるで』
煙の収まった円筒から のっそりとうりゅりゅが出てきた。
背中にイグサを乗せている。イグサはボーっとした顔をしながらも必死でうりゅりゅにつかまっていた。
「うりゅりゅ、どうしたの」TOMOさんがきいた。
『元いたずら小僧はいたずら小僧の心理がよくわかるんや。イグサはあの金ぴかのやつの下の遺跡の中におったで。』
「イグサー!!」ジュラはイグサに顔を寄せるとオンオン泣いた。
『おかーん』イグサはかわいいあくびをした。
『あの下にはいったら、煙こなかったんや』

「みなさん」と大和田警部が大声をだした。
「ご無事で何よりでした。黄金のイグアナもほらあのようにまだ、台の上にあります。先ほどのガードマンは取り押さえました。おい」
ガードマンの宮田が引きずられてきた。
「3時ごろ宮田の腹の具合が悪くトイレに行ったのはご存知ですな。それから30分もなにをしていたか。
そもそも腹を下したのも、昼にデパートの制服を着たかわいい女子職員からもらった、デザートが原因らしい。きっとそいつはヒョウモントカゲの仲間だったのでしょう。
宮田がトイレに行ったのを狙い、どこかで拉致して宮田に成りすまして、盗む機会を狙っていた。ドサクサにまぎれて盗もうとしたが、警備が厳しくて、つい逃げ出したのですな。それはそうと、瀬田さんは縛られてロッカールームにいるのが見つかりました。きっと本物の宮田もどこかに縛られているにちがいない。」
「さすが警視庁の大和田警部でいらっしゃる」
保坂氏が感心したようにうなづいた。
「さあ、ヒョウモントカゲ、白状せい。宮田はどこへやった」
「警部さん、さっきから言ってるじゃないですか。私が宮田です。」
「あの警部さん、」と警備主任の今野が恐る恐る言った。
「宮田に間違いないんですが。本人も逃げたんじゃなく、また腹が下ってきたので、あわててトイレにかけていったらしいのですが、それに何も持ってませんし・・」
「それは、本庁でまた調べる。で、もう一人の不届きなヤツはどうした。」
「はっ!」警官が答えた。
「取り押さえましたところ、住所不定の自称フーテンの熊さんというもので、今日ぶらぶらしてたらデパートで面白いものがある。7階にいって騒ぎが起こって電気が消えたら、
こっちだーと叫んで、逃げ出せと言われて金をもらったといってるんですが。」
「それで熱気球のほうは」
「デパートのそばを掠めてどこかへ行ってしまいました」
そこまで聞いて神谷がはっとして、
「黄金のイグアナは!!みんな、陽動作戦だ!」
みなギョッとして、イグアナを見たがイグアナはそこにあった。しかしイザベラ、ホセ、アルバートが悲鳴を上げた。

「にせものだ!、にせものにすり替わっている・・あ〜〜」
「ヒョウモントカゲにやられた。あー神よ!盗まれました・・・」
ほぼ同じ大きさのブリキのイグアナが同じ場所で天を仰いで立っていた。

[4346] マットの店集合 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/28(Wed) 17:18 [返信]

派手な陽動作戦を行い、警備を分散させ人々の注意をそらす中、ヒョウモントカゲはまんまと黄金のイグアナを盗み出した。それもにせものとすり替え、人々の混乱の中注意をひきつけないような細工まで、行った。

「それじゃ、イザベラさん警視庁で指紋採取などの証拠品調べをやりますので、お持ちいただけますか」
大和田警部は、放心状態で何もできないでいるイザベラを促した。
彼女はうなずくと、イグアナを持ってきたケースにしまった。そのケースの内側は滑らかな深紅のビロードでイグアナの雌型になっていた。1週間前ここから出された黄金のイグアナは今ブリキのイグアナに変わっていた。
イザベラのスタッフルームの前で彼女はちょっと部屋に入ると自分の旅行バッグを取ってきた。
「今日無事に終わったら、大阪の祖父の実家に行くはずだったんです。」とさびしく笑った。
デパートの前で神谷たちが待っていた。イザベラは黒いケースを警察官に渡すと神谷に言った。
「これ、警視庁にもっていってください。私、少しホテルで休みたいんです。神谷さん食事でもいっしょにいかがですか」
神谷はきっぱり言った。
「先生、私はこちらの責任者の一人としてやらなければならないことが残ってますので、今日はご遠慮いたします。」
「イザベラ先生。パトカーでホテルまでお送りします」
「ありがとうございます。東京駅近くのホテルです。」
一行が去ると神谷が言った。
「みんな、一旦マットの店に集合だ」

[4352] マトリックスで 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/29(Thu) 09:21 [返信]

夏の大阪の日没はおそい。
バナナの叩き売りを見ていたGONが空をあおいだ。
『あっおとん、でかい鳥や!速えー』NOBUさんも見上げ、笑いながら言った。
「GONあれは飛行機だよ。GONは飛行機見たことないんやな。
すごいぞ。あれに乗れば世界中に行けるんやで。」
『ふーん、ええなー、乗ってみたいなー』
「そや、GONこれから見に行くか。ここからやったら30分で関西国際空港につくで」
NOBUさんとGONは南海電鉄の特急にのって関空に向かった。

「らっしゃい、あっ皆さん、お仕事は終了したんでっか?」
今日1日店を切り盛りしていたワサビが、入ってきた一行に向かっていった。
「どないした、疲れた顔しよって。事件は無事解決したんやないのんかいな」テニスが終わって 一足先にマットの店に来て 生ビールでのどを潤していたHaitamanさんが聞いた。
「完敗や」
とエラリーが言ったのを「乾杯や」と聞き違えたさりゃりゃとあゆみと奈々子がグラスを持ったが、みなの様子を見て眉をひそめた。
「まっ、皆さん何か作りまひょ。ワサビとりあえずビールを出してくれ。飲めない方には冷たいほうじ茶がええな。」マットは早速前掛けを締めた。
「今日はマットの大将のおかげで命拾いしたわ」とハリーが
店で待っていた面々に今日の次第を語った。
「イグサ、この前NOBUさんがイグ生を積んで、自分の身を守るっていったのは、こういうことなのよ」と諭したがイグサがネックレスの紐を切ったことは、イグサが無事だったことと引き換えに忘れ去られた。
「でも、うりゅりゅありがとう、火が消えてもあの中に長いこといたらどうなっていたか・・・」
「さすが、元腕白坊主のことあるな、あれ?今も現役か?」とまさよしさんにもほめられ、うりゅりゅも照れていた。
みな、のどを潤した後エラリーが言った。
「なまこの兄ちゃん、問題点を絞ってくれ」
「あの火事は時限発火装置からで、調べによると昨日の電気工事の際つけられたらしい。ビル管理は出向しなかったが、
工事人は来た。」
「多分ヤツの仲間やな」
「今日、ドアが破られるまでは確かに、黄金のイグアナは存在した。大騒ぎになっても会場の出入り口は固められており
逃げ出した2人宮田とフーテンの熊は像は持っていなかった。
ドアが破られて中に入った人間は我々を含めその場にいた。もちろん本物のイグアナはもってはいたが、黄金のイグアナを持ち出したものはいない。」
「本物のイグアナに見せかけて、黄金のイグアナをもってるヤツはいなかったか?」
「その後で大和田警部がその場の人間をすべて調べた。
あの会場の中どこにも黄金のイグアナはなかった。」
「ブリキのイグアナはその後、ケースにしまわれ警察に渡されたんやな」
「そうだね。入り口まではイザベラ先生が持っていたけど、あの焦燥しきった時重い荷物を持たせてしまった。デパートの出口で、カバンを渡し終えてホットして食事に誘ってくれたんだけど・・・慰めに一緒にいけばよかっただろうか」
と神谷が言った。睦美が複雑な表情で見つめた。
「神谷さん、行く必要なんかないわ。あの人ホセって言う人からも求婚されてたんじゃないの」とTOMOが叫んだ。
「あの・・、イザベラさんてアルバートさんも誘惑したらしいわ。アルバートさん結婚してるのに」
「2人とも 博物館の大金庫の鍵を握ってる人物だな。」と神谷が昼にアルバートが言った言葉を思い出していった。

「・・・・・わかったで。すぐ大和田警部に連絡や!!」
エラリーが叫んだ。
「東京駅のホテルのイザベラの身柄を確保しろと!!」

[4355] 関西国際空港 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/29(Thu) 18:30 [返信]

「ちょっと待っとくれ、エラリー。あのおばはんやったら、いつでも盗むことできたんとちゃうか」とHaitamanさんが言った。スペイン系美人のイザベラもHaitamanさんにかかってはおばはんであるらしい。
「そうや、エラリー。あの円筒からうちらを助け出したあと
イザベラさんは、ハリーしか抱いてなかったわ。ふふ、ハリーの皮をかぶった黄金のイグアナだったりして?」カレンちゃんが珍しく冗談を言った。
「説明は後や。なまこの兄ちゃん、戻るで!敵は東京や」
二人はまた東京への横道に戻り、警視庁の大和田警部を呼び出した。
しかし、それより1時間ほど前、東京発のぞみのグリーン席に重そうな荷物を持った一人のビジネスマンが座ったが、そのような光景は日常であるため、誰一人注意を払うものはなかった。

「やられたわ!」
エラリーがまた、マトリックスにもどってきた。
「すぐ、ホテルに言ったんだけどすでにチェックアウトしたあとだったんだ。警察はすぐ成田に連絡して警備を強化したけど。しかし、エラリーの推理よくわかった。たしかにそうだ」と神谷が感心したように言った。
「黄金のイグアナを持って成田に行ったんか?うちも1度ぐらい見てみたかったなぁ。おとんもうちのひともここにおったからな」とチビがちょっと残念そうに言った。

「・・・・んん、ちがうねん。成田やない。関空や!」
「えっ関空?、どうしてや。」
「ええか、成田は内陸や。囲まれたら逃げ場ない。けど関空なら周りは海や。それに神戸から和歌山までずっと埠頭や港が続いとる。その途中で仲間が用意したレジャーボートに
イグアナを乗せるんや。黄金のイグアナ持ってたら税関通らへんやろ。」
「それじゃ、ヒョウモントカゲも船で逃げるの」と奈々子が聞いた。
「いや、あいつはそんな悠長なまね、せえへん。さっさと飛行機でにげるわ。だから地の利がいい関空なんや」
「でも、今から関空なんて間に合わないわ・・・」と由衣がため息をついた。
「そや、もうそろそろ新大阪に着くころや」とハリーが時計を探したが、マットの店には時計はなかった。

「そや、さっきGONからメールがきてたん。NOBUさんとGONちゃん関空にいるらしいで。読むで。
[さりゃりゃねえちゃん
ぼくは、今飛行機みてるよ。おとんがつれてきてくれたよ。
トンボがいっぱいいるみたいだよ。ここ、海の上に作ったんだって。すごくりっぱだからびっくりしました。]」
「夏休みの絵日記やな」あゆみがほほえんだ。
「よっしゃ、なまこのにいちゃん、警部に連絡してくれ。」
「だけどエラリー、ヤツは変装の名人だ。偽造旅券だってちょっとのことではばれないような物持ってると思う。
どうやって見分けるんだい」
「そうや!そやった!」エラリーが悔しそうに言った。
「大和田警部も外国人の女性とかで、似顔絵手配したけど、
考えて見れば、どうしようもない」

「あのな、エラリーのにいちゃん。見分ける方法あるで」
ジュラのひざでメロンジュースを飲みながら話を聞いていたイグサが言ったので皆イグサに注目した。
「僕ね、あいつの親指の付け根にかみついたんや」
「ええっ?!」
イグサが言うには、火事になったドサクサに黄金のイグアナの台の遺跡の中に隠れていた。そこには黒いバッグがあったが、いきなりそこに手を入れたものがいたので、びっくりして思いっきり噛み付いたらしいのだ。
「なんで、早く言わないの」とジュラに攻められ
「だって、おかん人に噛み付いたらいけんといつもゆうとるやろ。怒られるかと思ってんや」
「顔見なかったけど、においから多分、あの女の人や」
「わかった。よくやったイグサ。」
「僕少年探偵団やから」イグサは胸を張った。

[4362] 岸和田 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/30(Fri) 09:29 [返信]

神谷がまた東京に戻り・・・といってもマットの店の横丁を出ると東京なのだが・・・大和田警部に事の次第を報告した。
「くそっ!、成田じゃなくて関空か。神谷さん少し時間がかかるかもしれないぞ」
大和田警部は大急ぎで大阪府警に連絡を入れた。

すぐさまNOBUさんにメールがとんだ。そしてGONにもイグサからメールが送られた。
「NOBUさん、エラリーや。関空にヒョウモントカゲと思われるヤツが向かってる。悪いがわれわれが到着するまで、ヤツを搭乗ゲートに入れないようにしてくれ。」
それを受け取ったNOBUさん
「What??、GONなんのことやろな」
『ん?おとん、イグサからメールが届いた。[GON元気?こっちは大変やったんだよ。GONはええな。夏休みの宿題の作文関空のこと書くんか?ぼくはイグアナ大冒険って・・・]なんやおわっとる』
そのころマットの店では
「イグサなにくだらないこと 送ってんの。早く肝心なこと送りなさい」とジュラにしかられていた。

「マットの大将、関空近くに横丁あるか?」
「ないなぁ、一番近くて大阪の北新地か曽根崎、天王寺やな。ああ、岸和田にもあるな。だんじり祭りのときお客がようきよる。」

『あっまたイグサからだ。[ぼくがトカゲに噛み付いたから、GONは噛み付いたあとがあるトカゲをつかまえてくれ。少年探偵団のGONくん、成功を祈る。なおこのテープは自動的に消滅する]・・・??おとん、なんのことかわからへん。トカゲつかまえるんかな。こんなりっぱなビルにトカゲいるんか?』

「あー」ジュラがため息をついた。
「先生が夏休みにもっと作文の練習をしようって通信簿に書いたわけが 身にしみてわかるわ」
「とにかく岸和田に行くで。詳しいメールは出てからや」
神谷、睦美、平田、由衣、まさよし、冬彦、TOMO、ジュラ
エラリー、うりゅりゅ、ハリーが飛び出した。イグサはすばやくジュラにしがみついた。
「あれっ、haitamanさん行かないんですか?」ジュラがのんびりしているHaitamanさんを振り返ってたずねた。
「わいはここに連絡役でのこっとる。もうビールでけっこう酔ってしもたわ。ここで、マットやワサビのうまいもん食いながら待ってるで。ジュラはんも若いもんに任せてまってればええがな」
「ええ、そうしたいとこなんですが、結末を見ないことには
これを書けないもんで」と訳わかんないこといって出て行った。

[4363] 搭乗手続き 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/30(Fri) 12:00 [返信]

岸和田の横丁からJRの駅までの途中、神谷がNOBUさんに電話をかけた。
「NOBUさん、関空にヒョウモントカゲが来ると思うんです。ええ、でもどんなヤツに変装してるかわからないんです。ゆいつ右手親指の付け根にイグサの噛み傷が残ってると思うんですが・・。
それでそれをGONくんに見つけてもらいたいんですよ。この季節ですから手袋はつけてないでしょう。
ヤツもわれわれがここまで追ってきてるとは考えてないから
きっと油断してると思うんですよ。
方法ですか・・・さあ、それは・・・
あっ例えば NOBUさんがバッグかなんか手の位置で移動させてGON君がバッグに乗ってみるとか・・あっそうか
便名ですね。そうかそれはわからないな。今エラリーのほうからメールします。今エラリーは普通のイグアナですから
直接われわれと話ができないから。はい、そして もしわかったら何とかして我々や警察がつくまで、釘づけにしておいてください。われわれの意図がわかったら逃げられますから」
続いてエラリーから、
『NOBUはん、もう夜やから便数もそう多くないやろ。グアムとかハワイ行きはええ。アメリカ、ヨーロッパも乗らんやろ。アジア、香港かなんかあるかいな?なにある!香港行き最終便!それや!NOBUさんGONたのむで。わいらもすぐ行くよってに!』

「GONそういうわけや。たのむで」
『わかったで!僕も少年探偵団や!』
NOBUさんはたこ焼きが入った袋しか持ってないので、そこにGONが入りちょこんと首を出した。
『おとん、たこ焼きええにおいやな』
アナウンスが告げた。
「ただいまより22時45分関西空港発、香港行き最終便の搭乗手続きを開始いたします・・・・」

搭乗入り口に並んだ人々の右側をNOBUさんがブラブラと何気ない様子でゆっくり歩いた。
『おとんもう一度、前から30人目ぐらいから歩いてくれるか』
NOBUさんは「あーもう、おかんはどこにいったんやろ、また売店かいな」などとつぶやき顔はそっぽを向きながら
さりげなくたこ焼きの袋を列に沿うように振りながら歩いた。
『おとん、おとんわかったで、あの縞々の派手なシャツ着てるやつや!』
「あの、縞々って・・・あれ、まるっきりその筋の人やで。本当にイグサの噛み付きあとあったんか」
『そや、イグサなこの前、子供の歯がぬけたゆうてたんや。僕も見せられたから、どこが抜けたか覚えておったんよ。』
「おまえな、そこまで落ち着いて見とるんか。エライ!大物やで。
おとんもがんばらな、といってもなぁ、どうやって引止めたらええんや」

JRの電車に乗ってハリーがエラリーにいった。
『エラリー聞こえとるか? ちょっとスポーツバッグの中きついな。あのイザベラってやつ、女じゃないで』
『なに!本当か、』
『わい円筒からあいつに助け出されたやろ。その時なんとのう違和感ていうか、本当に女かという気したんや』
『脊椎動物心理学科、女性心理専攻のおまえが言うんやから本当かもしれん。だから自分から誘っといて ホセとの結婚は拒んだんやな』

NOBUさんはポケットから、大切にしまってあったGONの写真をとりだした。
「GONちょっとかんにんやで。これやないと真剣になれへんからな」
と列の男のほうへ歩いていった。

[4365] RX-8 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/07/30(Fri) 16:51 [返信]

NOBUさんはGONの写真を男の足元に落とした。そして男がそれを踏むと、大声を出した。
「あっあっー。ちょっと、あ、あんた、どどどないしてくれるんや」
「なんやー」男がどすの利いた声でNOBUさんをねめつけた。
NOBUさんは 内心ビビリまくりである。
「ああああんた、わいのだ、だいじなせがれのしゃしゃしん
ふふふみおったで。ちょ、ちょっとここっち きてください」
『おとん、がんばれ』
「わいが なにふんだゆーとるんや、あん、わいは急いでるンやで」
「っそ、そういってもあんさん、わいのだだいじな むむすこの顔に土足で上がるってことはわいの顔をふふんずけたも
同じ ことでんねん」
『すげーいちゃもんや。ええぞ おとん!』
「このやろー、因縁つけてるんか!!どこの組やえーっ」
「どこの組って・・」
『1年2組・・』
「1年2組・・あっいや、こここのままじゃすまないで。す、すみまへんごめんなさい・・」
『おとん!』
「ああっ、ちょっと、こっちきてこれみ、み見とくれ」
「バ、バカヤロー!!、オンドレおとなしくしとりゃ、いい気になりおって、なにが息子のしゃしんや、おい!」
『わー、エラリー、神谷はん早くきてくれや・・・』

JRの電車は関空の一駅手前のりんくうタウン駅に着いた。
「あっちょっと私おりるわ。思いついたことあるから。先にいてて!」
TOMOがそういうと、冬彦とまさよしさんをさそって降りた。
「TOMOさんどこいくの?」うりゅりゅがいるスポーツバッグを抱えた冬彦が急ぎ足のTOMOさんを追ってきいた。
「あそこにマツダのレンタカーの店あるでしょ」
「まさか、まさか、TOMO様・・・」
店には なんとRX86速マニュアルタイプSがあった。
TOMOさんはにんまり笑うと早速レンタルした。
「悪い!まさよしさんお金貸してください」
まさよしさんは1日店長だったワサビの売り上げに貢献しようと給料をそっくり持ってきていたのである。

まさよしさんがうりゅりゅと狭い後部座席に入って、TOMOさんと冬彦が前に座った。
「いい!いくわよ!シートベルトちゃんとしめてね!」
グィ−ン、ロータリーエンジンは軽快なうなりを上げてスピードを上げた。
関空まで、3.75km海上の光のスカイゲートブリッジを赤のRX-8が疾走する。

[4388] 人質 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/02(Mon) 09:21 [返信]

グィ−ン、ロータリーエンジンは軽快なうなりを上げてスピードを上げた。
関空まで、3.75km海上の光のスカイゲートブリッジを赤のRX-8が疾走する。

のころNOBUさんの状況は・・・
「なーにが、息子や、このぼんくら!」組員風の男は肩をゆすりながらNOBUさんに近寄ってきたが、もう搭乗入り口に人が並んでないのを見てあわてて中に入ろうとした。
『おとん!』GONもあわてた。
「ここの、ぼぼぼんくらはお前のことやで・・だってえーと
とにかく、あやまってもらうまでここ通さへんで」
NOBUさんは男のいくてをさえぎった。

「こんにゃろ!、どけっ!ぼけぇ!」
男はNOBUさんの胸元をつかむとこぶしを振り上げた。
殴られる!とNOBUさんが目をつぶったところ、袋の中にいた
GONがチョロチョロと肩にのぼって男をにらんだ。
『おとんになにするんや!!』
それは 男に衝撃をあたえたようだ。
「あっ!イグアナ、仲間か・・・・『なぜだ?、なぜやつらの仲間がおれを追ってここまで来られるんだ。誰が盗ったかさえわかるはずないのに・・・』」
男は急にこぶしを下におろすと あわてて搭乗ゲートのほうへ行きかけた。
「いかせないぞ、マツカサトカゲ!」
『おとん、ヒョウモントカゲ』
「そや、ヒョウモントカゲ!」
男は視線をさまよわせ 逃げ道を探した。そして携帯で何か話すと、くだりのエスカレーターの方へ向かってダッシュした。関空国際線出発ロビーはビルの4階である。
その時エスカレータを駆け上ってきた一団があった。
「神谷はん!そいつだ!」NOBUさんが叫ぶ。
「ヒョウモン!もう逃げ場ないぞ!」
平田が叫んだ。あわてて、もう一方のエスカレーターの方に向かうと、そこには大阪府警の警察官が続々と登ってきた。

さらに男はきびすを返すと一団の中にいた睦美をいきなり
羽交い絞めにした。
「きゃー!」
「どけ!、道をあけろ!」男は巧妙に隠し持っていたかみそりを睦美ののど元に当てた。
「睦美!!」神谷が絶叫した。
睦美は脚がガクガク震え気を失いそうになっていた。
皆ジリジリと後退し男に道を明けた。しかし3階にいて、エラリーとハリーのスポーツバッグを預かっていた由衣が、エラリーからの指示でバッグを開けた。
2匹のイグアナはエスカレーターの横の柱によじ登り陰に隠れた。

『おかんを人質にするやなんて、絶対に許せん!』
『そうや、エラリー!』とハリーがエラリーの心意気に感じるようにいった。
『これから、誰が飯食わしてくれるんや!』
『お前の心意気はその程度なんか・・』

男は周りを見回しながら3階から2階に下りようとしていた。警察官も遠巻きにしている。
その時2匹のイグアナが一緒にジャンプして男の肩に飛び乗ると、両耳に思いっきり噛み付きながら、鋭い爪で顔を引っかいた。
「ぎゃぁぁぁーー!」悲鳴とともに サングラスやかつらがとんだ。
中から 美しい栗色の髪が現れた。
イザベラだった。

[4396] ちょこっと飛び入りさせてください。 投稿者:TOMO 投稿日:2004/08/03(Tue) 10:54 [返信]

その頃まさよしさん、冬彦、TOMO、うりゅりゅを乗せたRX-8は関空への道をひた走っていた。
遅い車をパイロンのごとくかわしていく。
「ひえ〜TOMO様!」
まさよしさんが悲鳴をあげた。普段は運転中TOMOの肩に乗るうりゅりゅも今回だけはやめといてまさよしさんに抱かれていた。冬彦は絶叫マシン好きらしく、
「すげーすげー!」
と歓声をあげている。
その時…
『あ、イグサからメールや』
「うりゅりゅ、イグサ君何だって?」
『[エラリー兄ちゃんとハリー兄ちゃんがトカゲを捕ま
えたら、頭がとれてあの外人のおばちゃんになったよ。トカゲは睦美姉ちゃんを連れてこうとしてたよ]やて。頭が取れたって何のこっちゃ。ズラかいな』
「何!むっちゃんが人質にされたって!?急ぐぞ!」
TOMOは6速から一度4速までシフトダウンし、アクセルを踏む足に力を込めた。
ビィーン!ロータリーエンジンが鋭く吠える。

[4402] 30億円保険金 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/03(Tue) 23:10 [返信]

TOMOさんたちが空港前に到着したとき、警察官の集団が周りの野次馬を掻き分け、1階ロビーを進んできた。
その中に手錠でつながれた 栗色の髪の女性がいた。
警察の後ろから、神谷たちの姿が見える。睦美と由衣の姿は見えない。
「TOMOさん、こんなとこに車止めてていいかな」と冬彦が聞いた。
「警察の車もいっぱい止まってるから、駐車違反にはならないんじゃない」
「そそ、そういう理屈でよろしいのでしょうか」
「じゃあ、うりゅりゅ残ってなさい。だれかに聞かれたら
運転手はすぐ戻りますって言うのよ」
『・・・・・・うん?!』
3人は、人垣に近寄った。
「やっぱ、イザベラよ。私前から、胡散臭いって思ってたのよ」
「あっ顔すげーみみずばれ。あれだったら半年は消えないな。」
「あっジュラ様、むっちゃんは大丈夫でしょうか」
「一応、空港の医務室に行ったけど、どこもけがしてないから大丈夫だと思うな。それよりさ、ね、ね神谷さんさ、睦美〜〜って、すごい形相で叫んだんだよ。」
「えっ本当!、聞かせて、聞かせて」
ジュラとTOMOさんがワイドショー的話題に入りかけたとき、イザベラが自分を捕縛している警察官に何か言ったようだ。

「神谷さん、容疑者がなにか話しをしたいようです。」手錠をかけて回りを取り囲んでるので安心しているのか、警察は神谷をイザベラのそばに呼んだ。

「神谷さん・・・・」服装は暴力団風であるが、声は低く良く通るイザベラの声である。
「あなたは、私に勝ったと思ってるかも知れないが、それは大きなまちがえだ。あなたは社会的な過ちを犯し、個人的な損失をしたのだ!」
神谷はイザベラの言葉を待った。
イザベラは続けた。
「日本政府は黄金のイグアナに英国ほか複数の保険会社に30億円の保険金をかけた。
黄金のイグアナが盗まれたとなれば、その保険金はQ国の国庫に入る。国宝というだけで金を生まない像より、現金のほうがどんなに 開発途上のQ国の役にたったか考えれば この結果をきっと後悔するだろう。」

「な、なるほど これは困ったぞ」ジュラはついイザベラの言葉にうなづいてしまって、あわてて辺りを見回した。
「それから・・・・」イザベラは周りを見回し、かすかに笑うと言葉を続けた。
そのとき、道路の反対側に黒いスポーツタイプの車が静かに止まった。しかし皆イザベラに集中して 誰も気づいた者がいない。うりゅりゅを除いては・・・・
「もし君たちがくだらない動きをせず私が捕まらなければ、犯人はわからず私はそのままQ国の大学にとどまることは可能だった。私はQ国の文化省に君を推薦しただろう。
Q国のインか文明はまだ未解明の部分が多い。君がわが国で研究をすれば、すばらしい成果をあげることが可能だった

その結果君は日本考古学会での名誉や地位は約束されたはずだ。
そのチャンスを君は自らつぶした。バカとしか言いようがないな」
「イザベラさん、いやヒョウモントカゲ、言うことはそれだけか。では私からそれに対する答えを送ろう。」
神谷は、イザベラを正面から見据え口を開いた。

[4403] Re:[4400] [4396] ちょこっと飛び入りさせてください。 投稿者:まさよし 投稿日:2004/08/03(Tue) 23:22 [返信]

> > ビィーン!ロータリーエンジンが鋭く吠える。
> 8,000rpm?

まさよしは薄れてゆく意識の中、尋常ではないスピードの中を、軽やかなシフト操作をして、まるで近所にでも買い物にでも行くかのように落ち着いた様子に見えるTOMO様の後ろ姿から、鼻唄が聞こえた様な気がした・・・・。
そして6速トップエンド、いままで体験した事のない領域の中にいる まさよしであったが、もはや彼の意識はそこには存在していなかった・・・・・。てか

[4408] 睦美がいれば良かったのに 投稿者:TOMO 投稿日:2004/08/04(Wed) 23:00 [返信]

「どんな名声が得られたところで、睦美がいなければ何の意味がある。彼女と一緒じゃないなら、そんなものいらない。それよりもさっきはよくも彼女を危険な目に遭わせてくれたな」
「キャ〜ッ!言っちゃった〜!TOMOさん聞いた!?」
「うん、聞いちゃった聞いちゃった!後でむっちゃんに教えてあげなきゃ!」
ジュラさんとTOMOがワイドショーモードに入ってる横で、神谷がイザベラに向かって拳を振りあげた。その表情はいつもの神谷とはうって変わって氷のように冷たい。
その神谷をまさよしさんが後ろから羽交い締めにした。
「だめです、神谷様!気持ちはわかりますが、むっちゃんは無事だったんですから!」

[4410] 雪辱戦 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/05(Thu) 09:24 [返信]

「ありがとう、まさよしさん。」
神谷は気持ちを静めるように言うと、さらに続けた。
「おまえの言う通り 一時的に30億円という金がQ国の国庫に入れば、すべてのQ国に人々が平等に幸せになれるのか。
ある一部の人間に独占されてしまうことや、ましてまた軍事政権になれば、ミサイルや砲弾であっという間に消費されてしまうこともあるかもしれない。
しかし、日本に法隆寺や桂離宮その他の文化遺産があるように、Q国に偉大な歴史的遺産である黄金のイグアナがあるということは、すべての人々に誇りと希望を与えることになるのではないだろうか。
君の同僚だったアルバート君は、日本での展示が成功したら、Q国でも公開しわれわれの文化に誇りを持てるようにしたいと言っていた。僕はそのためだったら、骨身を惜しまず協力するつもりだ。
だから、黄金のイグアナを返してもらいたい」

「かぁこいぃ〜〜」冬彦が感激したように言った。
「僕、来年の入試M大に決めた!。神谷さんの後輩になろう!ラグビー部もあるし。」

皆が神谷の言葉の意味をかみ締めているとき、うりゅりゅは
窓の外の車が気になって仕様なかった。
『なんやろ、どうも気にいらへんな。あの車エンジンかけたまま、あそこにずっといる。
おかん、何しとるんやろ。あれは・・・そや、一度おかんが勝負したけど、負けた車や。えーとスカイライン何とかとかいったな。
しまった!おかんにメールや。あとエラリーにもや!!』

『おかん、おかん!はよもどって来!』
「ふふふ、それでさ、やっぱさ・・・」とジュラとワイドショーねたで盛り上がっていたTOMOさんのもとにうりゅりゅからの至急メールが届いた。
「あれ?まさよしさん、うりゅりゅがもどってこいだって。
駐車違反の取締りでも来たかな。」
「はあ、しかしこんなときにも取り締まりするんでしょうか。私も一緒にいって事情を説明しましょう」
「あっ、僕も。車に財布置いてきちゃった。帰りに関空グッズ買ってかえるから・・」
3人はまだのんびりと車の方へもどった。

さてイグサとGON君は神谷がどんなに熱いせりふをはこうと
関係ない感じで、ジュラの肩に乗って夏休みの話をしている。
『ぼくな、絵は飛行機の絵かくんや』
『ええな、ぼくは・・・あのおばちゃんに僕がとびかかってるとこかこうかな』
『でも飛び掛ったのは、エラリーにいちゃんとハリーにいちゃんやろ』
『そやけど、おまけしてもろて』
『イグサは黄金のイグアナ描けばええやんか』
『そや、そうするわ』
(後日談、先生評、GONくんはトンボがいっぱいかけましたね。イグサくんの黄色いネズミかわいいね)

その時、突然閃光と爆発音が響いた。
GONとイグサはあわててジュラの首筋にしがみつきジュラは爆発と首筋に食い込んだ爪の痛さに悲鳴を上げた。
イザベラの隠し持っていた閃光弾が炸裂し周りの警察官が目を押さえてしゃがみこんでしまった。
「ははは、手錠で私を縛れると思ったバカな警察諸君!
ここでお別れだ!」
イザベラは天才的な手品使いであり、手錠をぬけることなど
朝飯前なのである。神谷に話しかけその機会を狙っていたのだった。
閃光とともにあの黒い車がサーッと近づき、運転席の男がすばやく助手席に移動した。
「あっ〜TOMO様!!」
車に行きかけたTOMOさんたちが爆発に振り返ると、イザベラが車に飛び乗るところだった。
「早く!乗って!!」
3人は猛ダッシュで宙を飛ぶように RX-8に飛び込んだ。
「R34スカイラインGT-X、相手にとって不足はないわ。
ふふ、雪辱戦や〜!!」TOMOさんは思わず関西弁になってしまうとアクセルを全開にして前の車を追った。

[4412] ホイールスピン 投稿者:TOMO 投稿日:2004/08/05(Thu) 16:22 [返信]

キャキャキャキャキャーッッ!
イザベラのR34スカイラインGT-Rに続いてTOMOのRX-8も派手なスキール音をたててその場を飛び出した。
「あ〜、くそっ!しくじった!」
TOMOが心から悔しそうに言った。
「どうしたの、TOMOさん?」
「ホイールスピンさせたらその分タイムロスするんだよ」
「TOMO様、追い付けそうですか?」
「向こうもホイールスピンしてるし、追われるより追う方が速いとよく言いますよ。そして何より、イザベラにGT-Rときちゃあ、ここで会ったが100年目、ぜってー逃がすもんか!」 普通に雑談してるようだが、その間にもTOMOはレッドゾーンギリギリまで回してシフトチェンジ、を繰り返している。
『そや、今の状況をエラリーに知らせな』
「ああ、うりゅりゅ、頼む」

[4415] カーチェイサー 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/06(Fri) 09:32 [返信]

空港でも一時の混乱が収まるとすぐパトカーが出動した。
神谷、平田はその1台に乗っている。
エラリーとハリーはスポーツバッグにもどりジュラがかかえて医務室からもどった睦美、由衣やNOBUさんと電車で岸和田へもどることにしていた。
イグサとGON君はNOBUさんに抱かれてまだ夏休みの楽しい計画について話している。
『おとん、イグサと海につれてってや。イグサ、瀬戸内海はええで』
『じゃあ、僕たち海イグアナになるんやな』
『そうや、もぐって海草食べよ』
『GON、じゃあソレが終わったらうちでバーべキューやろうな。かぶと虫もぎょうさんとれるで』
「おまえたちはええなぁ、遊ぶ話ばかりや」

エラリーのもとにうりゅりゅからのメールが入った。
『エラリー、今おかんがワオー、猛スピードでヒャヒャヒャイエー! やつのくるまウワーィ!を 追いかけてるキャキャーヒャヒャヒエーィ キェー・・・・』
『誰からや・・』ハリーが聞いた。
『うりゅりゅからやが 隣に猿がおるんか?雑音でよく聞き取れん。まあええ、神谷のにいちゃんにTOMOさんが追ってると伝えとくわ』

「わかった。エラリー、こちらもその後を追っている。まさよしさんに電話するよ・・」
「まさよしさん、電話にでないな」
まさよしは薄れてゆく意識の中、尋常ではないスピードの中を、軽やかなシフト操作をして、まるで近所にでも買い物にでも行くかのように落ち着いた様子に見えるTOMO様の後ろ姿から、鼻唄が聞こえた様な気がした・・・・。
そして6速トップエンド、いままで体験した事のない領域の中にいる まさよしであったが、もはや彼の意識はそこには存在していなかった・・・・・。
「まさよしさん、まさよしさん、携帯なってますよ」
「・・・う、うーん師匠様、やはりバックアップをとったほうが・・・・」

ファンファンファンファンファン・・高速パトカーがサイレンをならしてTOMOさんの後からついてきた。
ミッドナイトのスカイゲートブリッジは1本の光の帯となり暗い大阪港を幻想的に照らしている。
今まさに 世紀のカーチェイスがくりひろげられていた。
そのサイレンに振り返った冬彦
「ねえ、TOMOさん後ろからパトカーが、がんがん来るよ。何台かな、7 〜8台は来る!すげー!!西部警察みてー」
一方何とか意識を取り戻し 携帯にでたまさよしさんであったが
「・・は、はぁ・・神谷はん、ひょーうわーおーー」
TOMOの目は200mほど先を行くGT-Rを射程圏内に収めアクセルを踏み込んだ。
前から大型のトレーラーが疾走してきた。
GT-Rをやり過ごしたとたん、トレーラーは反対車線にカーブを切った。
「ウワーーー ぶつかる!!」さすがの冬彦も悲鳴をあげた
キャキャキキィキィキーーーTOMOは急ブレーキをかけ車体を浮かせると同時にドリフト気味の車体を傾け
間一髪トレーラーの後部が完全に道路をふさぐ瞬間にすり抜けることに成功!!
「キャイーン、グォォォーーー・・・」後部座席のまさよしさんはまたしてもぶんまわされ引き倒され うりゅりゅにしがみついたまま悶絶した。
『く、苦しいでまさよしはん』
「ヤツの一味ね。パトが追ってこられない。冬彦くん神谷さんに電話して」
「わかった。でももうすこしでちびりそうだったよ、TOMOさん。
・・・神谷さん、こちらはTOMOさんが間一髪すりぬけた。うん大丈夫。まさよしさん? 大物だね。こんなときにすやすや眠ってるよ。仕事つかれたのかな。わかった、場所を連絡するよ、あっ神谷さんヤツは湾岸線にはいったぞ」
りんくうタウンジャンクションを左にきり大阪、神戸へと向かう湾岸線へ黒い車体が吸い込まれていった。

[4417] 巨大迷路 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/06(Fri) 15:40 [返信]

RX-8もその後を追い、阪神高速湾岸線へシフトした。
真夜中とはいえ、まだ交通量のある高速となり、どちらの車も一般車をかわしての走行となる。前をいくGT-Rはクラクションを派手にならし遅い車には後方にぴったり追走し脅しをかけながら右、左と車線を頻繁にかえ逃げ切りをはかる。
後を追うRX-8もヒラリ、ヒラリと一般車をかわし次第に距離を縮めていった。
「しつこいやつだ!」
イザベラは一般車のかげに見え隠れする赤い車体をバックミラー越しに憎憎しげににらんだ。

GT-Rはウインカーも出さず石津出口へハンドルをきった。「あっTOMOさん降りる!」冬彦がさけぶ。
右車線を走行中だったTOMOはスピードを落とし左車線に車線変更し横滑りするように出口へ向かった。
「ねえ、まさよしさんお疲れのところ、悪いんだけど一般道に出たら道わかんないんですよ。
まさよしさんなら、わかるんじゃないですか。おきてくださいよう・・」

「あっ、TOMOさんあっちだ!」
GT-Rが向かった先は堺市築港新町、火力発電所、鉄鋼、石油
造船などの工場が立ち並ぶ埋立地である。
約4km四方の広大な敷地の中に工場を行き来する、道路が網の目のように張り巡らされ、海岸線は無数の埠頭が海にむかって突き出ている。
深夜で人も車もなくひっそり静まり返り、巨大な迷路の中に迷い込んだようであった。

[4419] 女同士(?) 投稿者:TOMO 投稿日:2004/08/06(Fri) 18:56 [返信]

女同士(今回の場合は?がつくが…)のバトルは恐い。
TOMOの元知り合いでそう言った人がいた。とにかく白黒つけなきゃ気がすまないんじゃないか、ってぐらいねちっこく、長期化するのだ。
今回のTOMOとイザベラもまさにそんな感じだ。イザベラは普段車で逃げる時はそうそうに肩をつけてしまうことが多いので、
「しつこい奴め!」
と舌打ちしていたが、それで赤のRX-8が消えるわけがなく、RX-8のコクピットではTOMOが三白眼を細め、楽しそうにくすくす笑っていた。
「なあ、冬彦くん、きっとあいつ今ごろあせってるぞ?」
「それはいいんだけどTOMOさん、僕もこの辺は土地勘ないよ。やっぱまさよしさんに教えてもらわなきゃ…」
「そうだなー、うりゅりゅ、まさよしさんを起こしてくんない?あと、冬彦くんは神谷さんに連絡してヘリの手配を頼んでもらえないかな?」
「うん、わかった。…もしもし、神谷さん、僕、冬彦だけど、今、高速下りて堺の築港新町まで来たんだ。TOMOさんがヘリ手配してくれって言ってるんだけど…」
『まさよしさん、起きてや。こっから先、あんさんしか
道わかんないんや』
言いながらうりゅりゅはまさよしさんの腕を軽くひっかいた。

[4422] 埋め立て地 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/07(Sat) 11:55 [返信]

うりゅりゅのつめがかかったとき、
『おとん!おとん!がんばって!』というメールがまさよしさんの頭に響いた。
「あ〜チビ〜〜、ワサビ〜〜」ガバッと起き上がった、まさよしさん
「なにか私にできることとか ありますでしょうか」
「まさよしさん、ここどこだかわかりますか?」
「私もあまり土地勘はないのですが、多分大阪湾に飛び出した埋立地の工場地帯だと思います。あっこのマークはコスモ石油ですね。あれは火力発電所です」
「OK、神谷さん車は火力発電所の角をコスモ石油のほうに
曲がった・・」
「TOMO様、GT-Rは時速300kmはでますから、直線では無理があると思いますが、やつもバーーーーカ、ウキャーーなやつです。このような迷路のようなとこに迷い込んだら、スピードは出ません。むしろ追いかけるわれわれのほうが心理的に有利でーーーすううわーっと・・・」TOMOさんがドリフト気味に角を曲がったGT-Rの後を同じように曲がるたびにまさよしさんも合いの手をいれてくれる。

遠くから、パトカーのサイレンとヘリコプターの音が聞こえてきた。
工場地帯に入ったGT-Rは狂ったように 縦横直角に何本も走る道路を錯綜し、追尾するRX-8を振り切ろうとした。
「これは、宇部興産です。」
「神谷さん、宇部興産の南側の道を右!」
「ねえ、やつがここに来たのは何でだろう?」と冬彦が行った。
「そうですね。およーーーっ、きっとボートでもあるんとちゃいますやろか」
「そうよ、きっとあーーー」
「どうしました。TOMO様」
「見失ってしまった!」
視線の先には工場のフェンスがあるばかりで車のかげも形もなかった。
「ここは、落ちつきましょう。先ほど考えましたとおり、やつはきっと海に向かってます。先ほど海岸沿いを走りましたから、こちらが海でしょう。」
「えっこっちが海だと思うよ。だってさっき角を曲がったじゃない」
「埋立地だったらどこも海ジャン」
バリバリバリバリ ヘリのプロペラ音が響いた。
「冬彦くん聞こえる?ぼくは今、関空から海上保安庁のヘリで君たちの上空にいる。GT-Rは君たちがいる道の2本先の道路を北に走行中。海上に不審なボートがある。至急向かってくれ。パトカーもすぐやってくる!近道はその角に工場の敷地を通れるところがある。うまくすればやつの進路をさえぎることができる。」
上空のヘリが道案内するように旋回した。
TOMOさんはアクセルを勢い欲踏み込んだ。慣性の法則から前に乗り出していたまさよしさんは後部シートにたたきつけられた。
「グヒャ!キューイーーン!」
『まさよしはんは、多彩な効果音を出す天才やな』うりゅりゅはまさよしさんを尊敬した。なぜならうりゅりゅは なべをひっくり返したりして音を出すのが好きだったからである

TOMOのRX-8が最高速で工場をぬけ、広い道路にぶち当たったそのとき、黒い車体が通り抜けあわや衝突しそうになった。
まさかそんなところから来ると思わなかったイザベラはあわてて反転しようとするが、遠くから何台もの赤色灯がサイレンとともに迫ってくるのを見ると、道路を斜めにさえぎっていたRX-8の車体に体当たりをかけた。
RXの車体がきしむ。まさよしさんは思わず懐の給料袋を握り締めた。

[4423] レッドドラゴン、キレる 投稿者:TOMO 投稿日:2004/08/07(Sat) 18:36 [返信]

「ぶつかる!!」
まさよしさん、冬彦、うりゅりゅがそう思ったギリギリのところでTOMOはボディがきしむほどの勢いでアクセルを踏み込み、GT-Rをかわした。一方、GT-Rは思いきりぶつかるつもりで突っ込んだので急に止まれず、そのまま惰性で飛び出してしまった。
「こいつ許せない!わざとぶつけようとしやがったな!どこまで根性の腐った奴!走り屋の隅にもおけねー!」
「TOMO様、やつは走り屋じゃありませんよ!」
「そうだけどー!でも、こいつは、完膚なきまでにたたきのめさなきゃ気がすまない!」
パトカーに鼻先を向けた状態になっているTOMOはいっぱいにハンドルを切り、RX-8をGT-Rに向かってダッシュさせた。
「TOMOさん、どうするつもり?」

[4433] ギリギリのSTAGE 投稿者:TOMO 投稿日:2004/08/09(Mon) 01:32 [返信]

TOMOはつぶやくように答えた。
「ここまででGT-Rのブレーキやタイヤはもうだいぶタレてきてるはず。見たところ、相当無理な走りを続けてきたみたいだしな。それに、GT-Rは二人しか乗ってなくて280馬力あるとはいえ、重い!でもコーナーではこっちに分があるし、3人乗ってるとはいえ人が乗ってないGT-Rよりも軽いし、ブレーキにはまだ余力がある…!止めるなら今が最初で最後のチャンスだ!」
「えっ、止めるってまさか…!」
まさよしさんが耳を疑うように言った。もっとも、自分の耳を疑ってるのは、冬彦もうりゅりゅも同じことなのだが。
その間にRX-8はGT-Rの横をすり抜けた。
その瞬間、イザベラは運転しているのがプロドライバーでもなんでもないTOMOだということに初めて気づき、がく然とする。
そしてパトカーはRX-8とGT-Rの後を追ってきている。今度は交通機動隊も駆り出されてきたらしく、RX-7のパトカーも1台混ざっている。
「ここだっ!」
3車身ほど前に出たところで、TOMOはブレーキを踏み、思いきりハンドルを切った。
GT-RはRX-8にぶつかるギリギリのところで止まり、その2台を囲むようにパトカーがやってきた。

[4437] エラリーの帰還 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/09(Mon) 09:48 [返信]

「ヒョウモントカゲ、君たちは包囲されている。速やかに車から降りなさい!」
警察車両からの呼びかけに先ず助手席からよろよろと男がおりてきた。腰が抜けてすぐに立ち上がれないようだ。
海上には海上保安庁の巡視船が不審船を取り囲んでもうすでに捜査員が乗り移っているようだ。
空には神谷や平田が乗る海上保安庁のヘリをはじめ、大阪府警のヘリやどこからか情報を得たか、新聞社のヘリまでやってきていて、プロペラ音で話ができないほどである。

「かーこいい!テレビのシーンそっくりじゃん!あっイザベラが降りるよ」
イザベラは観念したように車を降りると、何人もの捜査員が
取り囲み手錠をかけ、その上腰に捕縄をかけられ警察車両の方へ引っ張られていった。
その時イザベラは鋭い敵意にみちた視線をTOMOさんに投げてよこしたが、その中にはかすかな驚きと尊敬も含まれているように見えた。

「TOMOさん、まさよしさん、冬彦君ごくろうさん!、黄金のイグアナも無事 船の中から発見されたよ!」
空き地に着陸したヘリから降りた神谷と平田がうれしそうに3人に駆け寄り握手を求めてきた。
事件に伴う処理は後のこととして、一行は先に戻ったエラリーたちの後を追って 居酒屋マトリックスへ向かうことにした。

・・・もちろん翌日RX-8はレンタカー店に返したのであるが、傷等を調べた店員は
「問題はございません。快適なドライブをお楽しみになれましたか?」と笑顔で聞いてきた。
「ええ、まあ、すごく快適で天国と地獄を何度も往復したみたいでした。」とまさよしさんは懐の給料をなでながら答えたと言う。レンタル料金は保阪氏が払ってくれた・・・・

さて岸和田から一足先に戻ったエラリーたちがマットの店に入るとマットは椅子に座ってイグアナ新聞を読んでいた。
ワサビとチビはカウンターに突っ伏している。カレンちゃんは冷たい桑の葉茶を飲んでいた。
「あっ お帰りやす。ご無事で!NOBUはん、GONくんえらい大活躍やったそうでんな。」
「まあ、話はぼちぼちしますが、いぐさくんとGONがもうぐっすり寝ているんですよ。どこかに寝かすとこありませんか?」
「それなら、奥へどうぞ。Haitamanさんも仮眠をとってらっしゃいますよって」
「なんや、Haitamanのおっちゃん寝てんのかいな」と
エラリーとハリーが奥の座敷を見ると
Haitamanさんのそばにバジルちゃんが寄り添うように寝ていて、その他のメスイグたち さりゃりゃちゃん、あゆみ、奈々子が横になっていた。
「何やこれ・・」ハリーが情けない声で言った。
「ハーレムやないか。」
「落ち着けハリー。Haitamanのおっちゃんは人間や。」
「でもこの人時々自分のことイグアナやゆうから、油断でけへん」
その声にさりゃりゃが目をさました。
「おかんとおにいちゃんは?」
「もうすぐ戻ってくるよ。さりゃりゃちゃんのおかんとうりゅりゅくんは大活躍だったんだから」
途中経過を平田からの携帯で聞いていたジュラがさりゃりゃに告げた。
それが聞こえたのか、バジルちゃん、あゆみ、奈々子がむくむく起き上がり、ジュラから話を聞くと手を取り合って喜んだ。
「Haitamanさんはお疲れみたいね」
由衣がhaitamanさんにタオルケットをかけなおしながら言った。
「Haitamanさんは皆が戻ったら起こしてくれゆうとりまし。みなさんが出て行かれてからも、絶好調で盛り上げてくれとよったんですが、酔いが回りはってバジちゃんとあゆちゃんに抱えられて座敷に上がって寝てしまわれました」
「そう、で、うちらもな、お肌が荒れるから、少しでもねとこうってみんなで寝たの」と奈々子が言った。

「あっ、うりゅりゅからメールや。もうすぐ戻るって」と
カレンがうれしそうに言った。
マットとワサビは前掛けを締めなおし、カウンターの向こうにたって乾杯の準備を始めた。

[4438] 第2陣、帰還 投稿者:TOMO 投稿日:2004/08/09(Mon) 19:11 [返信]

まさよしさん、神谷、平田、冬彦、TOMO、そしてうりゅりゅは岸和田の横丁までパトカーで送ってもらい、居酒屋マトリックスに戻ってきた。
「お疲れさまでしたー!」
「た…ただいま帰りました〜」
まさよしさんが心までへばったような声を出して入ってくると、
「おとん、おかえりー!」
チビがねぎらいの言葉をかけた。
「おー、チビ〜、ワサビ〜、ただいま〜」
「おとん、お疲れさん。ビールでええか?」
「ワサビが出してくれるんなら何でもええで」
すると、ワサビは
「何でもええちゅうのが一番困るんや」
と言いつつまさよしさんにビールと枝豆を勧めた。
冬彦とTOMOは至って元気だ。
「いや〜、やっとGT-Rにリベンジできた!」
「最後のアレ、すごかったよね。僕、ぶつかるかと思っちゃった」
マットが
「最後のアレ、って何しはったんですか?」
と聞くと、冬彦は興奮気味に
「ヒョウモントカゲのGT-Rがね、突っ込んでこようとしたんだ。そしたらそれをギリギリでかわして、先回りして、くるーん、ってターン決めたんだよ!で、そのあとパトカーがたくさん来てさ、GT-Rを取り囲んだんだ。
『君たちは包囲されている!』
なーんてね。んで、神谷さんと平田さんはヘリで飛んできちゃうし。とにかくすごかったよ。警察と海上保安庁のだけじゃなく、どっかの新聞社とかのヘリも来てたし!」
最後の方になると少しマットの問いからはずれてるような気がするが、冬彦はヒョウモントカゲ一味逮捕の様子を熱っぽく語った。
TOMOはGT-Rに勝ったことだけでもう満足らしい。
「祝杯だ、祝杯!やー、のど渇いた!ワサビくん、モロヘイヤ茶ちょうだい!」
「へい、TOMOはん、えらいご機嫌でんな」
「だあってー!今までどうしても勝てなかったんだもの!こんな大舞台で倒せるなんて、もう最高!」
TOMOは、イェーイ!と叫びながら拳を天に突き上げ、ジュラさんとNOBUさんにしーっ、とされた。
「GONくんとイグサが寝てるのよ」
「あっ、すいません、気がつきませんで」
そのTOMOの声のでかさに、
「…ん、何かあったんか?」
と言いながらHaitamanさんが目を覚ました。

[4444] マジシャン・イザベラ 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/10(Tue) 11:31 [返信]

Haitamanさんは大きな伸びとあくびをすると言った。
「おう、エラリーもどったか。おまえの謎解きを待っとったんや。考えれば考えるほど 眠れなくなる」
「うそや、おっちゃんよく眠っとたで!」
「でも、早く聞きたいわ。なんでイザベラがヒョウモントカゲだと見破ったの?」
とカレンちゃんがかわいい顔をかしげながらきいたので、とたんにエラリーはデレデレになった。
「実はカレンちゃんの言葉がヒントになったんや・・・」
エラリーは冷たい ビールを一気にのどに流し込むと話始めた。
「先ず、土曜日の事故や。それまではなんともなかった空調が急に壊れた。実は壊れたのではなくて温度設定のサーモを下げただけやったんだが、それはヤツの一味に後に作動する時限発火装置をつけさせるための 口実だった・・・」
「・・それじゃ、誰がサーモをさげたか。警戒厳重で誰も入れなかった円筒に堂々と入れたのは、神谷はんとイザベラだけやった。
あの時イザベラは、神谷はんにダイヤのことなど説明しながら黄金のイグアナのそばにいた。神谷のにいちゃんはイザベラにデレデレになってたさかい、イザベラがサーモの設定を下げたことに気付かなかったんや」
「別にデレデレになってやしないよ。学問的興味で真剣だったんだよ」
と神谷はチラッと睦美のほうをみて言った。
睦美は知らん顔している。

「まあ、ヤツはマジシャンらしいから、すばやい手の動きは見破れなくてもおかしないけどな。
ワイもその時はイザベラを疑ってなかったで。
なんと言っても主催者側の人間やし、Haitamanのおっちゃんが言ったようにいつでも盗めたやろ。」
皆、いっせいにうなずいた。そこが一番わからないところだ。
「そして日曜日、あの混乱の中で黄金のイグアナは消えた。
あの時イザベラは中に入ったが、出てきたときは助け出したハリーを抱いていたが、もちろん黄金のイグアナは持っていなかったし その後も皆が見てる中で盗ることは
でけん・・・」
「しかしその後、カレンちゃんが黄金のイグアナがハリーの皮をかぶっとるとか、冗談を言ったの覚えとるか?・・・
そこで、ピンときたんや。
おかしいと思わんか?贋モンのブリキのイグアナを黒いカバンに入れた時や。なんで贋モンがすっきりとカバンに収まるんや!・・・あのカバンは内側が雌型になっていてビロードが貼られていた。もちろん本モンがきちんと納まるように特別に作られたカバンや!その中に贋モンが納まるということは、本モンのイグアナを事前にじっくりサイズとか形とか調べられる者以外おらんやないか?」
そうだ、そうだったと皆 目が覚めたような驚きを感じた。
「あのブリキのイグアナの中はロシアの人形のマトリョーシュカのように本モンの黄金のイグアナが入ってたんや。
最初カバンを開けて本モンを出したときのカバンの雌型はビロードが貼ってあった贋モンの内側やったんや・・・」
誰も息を呑み咳払いさえもなく エラリーの言葉を待った。

「あのドサクサにまぎれて イザベラは贋モンの型をかぶせ
台に置いた。そして贋モン騒ぎになると、すぐにあれをカバンにしまった。そして外に持ち出した。」
「ああ、その時、入れ替えようとしてカバンに手を差し込んだときイグサにかまれたのね。」
とジュラが言った。
「あっでも、待ってください。イザベラは黒いカバンをデパートの出口で警察官に渡しましたよね」
と平田が疑問を出した。
「そや、一度ほんの少しイザベラは控え室に入ったやろ。
わずかな時間やし、自分のバッグを持ってきただけとおもっとったが、そこで自分のカバンに入れとったホンマの贋モンと黒いバッグの中の贋モンの型をかぶった本モン・・ややこしいわい・・と交換したんや。何度もゆうとるがイザベラはマジシャンだ。こういうことにかけてはお手のモンや!」

「エラリー、すばらしいで、手口はわかった・・だけど何でイザベラが・・ヤツはQ国の大学の助教授やなかったんかいな??」
Haitamanさんが酔い覚ましの煎茶を飲みながら聞いた。
今日は月曜日、皆このまま仕事へ向かうことになる。
「それについては、僕が話します。」
と神谷が立ち上がった。

[4454] 博物館大金庫 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/11(Wed) 16:48 [返信]

「これから話すことは、警視庁の大和田警部が入手した情報とか、大阪府警の方から聞いたことと、僕のほうの大学からの情報を元に組み立てたんですが・・・
今から1年前、Q国の軍事政権が倒れまだ国中が混乱の中、新しい大学を目指して教員の募集が行われ、そこでフランス考古学アカデミーからの推薦状を持ったイザベラが助教授として採用されたそうです。推薦状が巧妙に偽造されたものかも知れませんが 何しろ国が混乱している時ですしあの聡明さから難なく採用されたようです。」
「それに顔が南米系だしな・・情熱的な顔しとった。」
とHaitamanさんがうなづいた。
「生まれがペルーとか言ってましたが、あんがいそれは本当のことかもしれませんね。」と平田が言った。

「もちろんイザベラがQ国の大学に籍を置いたのは黄金のイグアナが目的だったのですが、ここに大きな誤算が生じました。思ったより警戒が厳重なのです。
内戦のさなか多くの文化財が盗難にあい、国宝を守ろうとした結果かもしれませんが、博物館の大金庫に納められ、その鍵も3人の人間が握って同時に鍵を作用しなければ開かないシステムになっていたのです。
もちろん、イザベラはその容色を使ってホセを篭絡し、アルバートにも接近しましたが、そううまく事が運ばない。
研究と称して持ち出そうとしても、博物館の奥の一室でしか
運び出すのは認められず、ノート類しか中に入れられなかったぐらいの警戒でした。」

「そこでイザベラはQ国に多額のODA予算をつぎ込んでいた日本での公開を提唱したのです。海外に持ち出せば警備にすきが出ます。Q国政府が乗り気になって日本での初公開が実現したのです。」
ここで由衣がちょっと手を挙げて 口を開いた。
「そう、それでこれは父から事件後聞いたのですが、今回のディスプレイはイザベラが考えたらしいわ。
Q国側から言ってきたことでもあるので、父も凝ったことするなと思ったけど、その通りにしたのですって。
でも、さすがのイザベラも中に入ったイグアナがエラリーたちだったって事が誤算だったわね」
「僕がアルバートに聞いたのですが、Q国ではイグアナは大変人気のある動物で、その飼い主はイグアナを家族同様かわいがっているそうです。日本でもイグ飼いは同じと思いイグアナが危険になれば、大混乱になるとふんだのではないでしょうか。」
と平田が由衣の後を次いで 話した。
平田はイグ好きの由衣と付き合うようになってから、由衣以上にカレンをかわいがっているように見える。

「そんなわけで、うまく盗み出せたなら知らん顔して Q国で助教授に収まってられたわけや。」
とエラリーが言った。
「おい、エラリー ところであいつは女なんか?男なんか?」とハリーが聞いた。
「やだ ハリー、男のわけないじゃん。すごい美人やない」
と奈々子が言った。
「そうですよ。ハリーさん、私が見る限り男が女装しているようには見えませんでしたよ。もっとも触ったわけではありませんが」
「やだ!!おとん」
チビが尻尾でびしびし しばいたので皆大笑いになった。

[4455] 夜明け 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/11(Wed) 18:12 [返信]

「けどな、脊椎動物心理学科、女性心理専攻のワイがおかしい感じたんや。ワイが助けられた時、こいつ男やって」
「ハリーが言うなら そうかしら。あっでも チャコちゃんをメスと間違えたけど・・・」とさりゃりゃが言うと
「ソレをいわんと・・あれはうわさを勘違いしただけや。
あっ!あーー!!」
「どうしたハリー?」
「お台場の約束忘れとった。あーー、リヴちゃーん、小夜子ー、ナオミーー!!」
「勝手に、やっとれ!」

「僕もイザベラと話をしていて男性を感じるときあったんですよ」と神谷が言った。
「そういえば、やつがやくざの格好のとき おいらが絡んだじゃないですか。とても女が化けたと思えないような迫力ありましたよ」
とNOBUさんが あの大活躍を思い出したように言った。

ジュラが、おずおず手をあげた。
「性染色体異常ではないと思います。
性染色体異常にはターナー症候群とかクラインフェルター症候群とかありますが、違うみたいです。
これは想像なんですが、もしかして性同一性障害ではないでしょうか。これで苦しんでいる人は多いのですが、イザベラはこれを利用した。
軟らかく美しい女性の体を支配していたのは、邪悪で狡猾で天才的な男性の脳なんじゃないでしょうか。」
「そうですね!、そうかもしれない。だからホセやアルバートにも冷静に近づけたんだ」
と平田が感激したように言った。
「へー、私、男の運転するGT-Rに勝ったというわけ?ヒャッホー」とTOMOさんがまたこぶしを突き上げた。
「さっ、とにかく無事に終わってよかった。皆大活躍やったな。もう夜明けも近いやろ。何時やといってもマットの店には時計はないな」とhaitamanさんがあたりを見回しながら言った。
「へえ、マア皆さんの時間やったら大体朝の4時ごろやおまへんか」
「それじゃ、ここはお開きにするか。また集まって祝い酒やらな あかんが」
Haitamanさんの言葉にみなうなづき、帰り支度を始めた。
GONくんとイグサは夏休みなので、マットの店にこのまま置いていくことになった。冬彦もすでに子イグと一緒に寝ていた。
Haitamanさんはバジルちゃんと、まさよしさんはチビを抱いてマットの店を出た。ワサビはまだ残って片付けをするという。ジュラ、NOBUさんはマットに礼をいいつつ帰路に着いた。平田と由衣もカレンを真ん中に楽しそうに帰っていった。あゆみ、奈々子、ハリーも挨拶を交わすと出て行った。TOMOさんはマットに呼び止められた。(番外編へ)

「送るよ・・・」横丁をでると神谷が睦美に言った。
睦美は 普通のイグアナにもどっってぐっすり眠り込んでしまったエラリーを大事に抱え、神谷に並んでまだ暗い夜明けの道を歩いた。
言いたいこと、聞きたいことたくさんあるのに、何か話したら、またいつもの先輩、後輩の日々に戻ってしまうような気がして神谷の顔を見ることもできなかった。
「あの・・」
「ん?」
「いえ・・」
睦美のアパートへの曲がり角に来た。すぐにアパートである
「じゃあ、ここで・・・」
睦美はそう言うと、神谷を見つめた。
「むつみ・・・」
「えっ・・・」
「いや・・・今日、ゼミあるから・・」
「はい、それじゃ・・」
睦美は後ろを振り返らないように角を曲がりアパートの前に来た。しかし・・・
「エラリー、ごめん、すぐ戻るから、まってて」
『うーん、むにゃむにゃ、モロヘイヤもっと・・・』

睦美はエラリーを地面に置くと、小走りでさっきの分かれ道に戻った。
そこにはまだ、睦美が消えた道を見つめ立ち止まっている神谷がいた。
やがて2つの影はそっと近づきひとつになった。
・・・・・・・・・・・・・・
『おっ、おか、おかん!ど、どこいったんやー ここここ地べたやデー、おかーん はよもどってこー、ワイを見捨てないでくれー、おかーーーん』
エラリーの情けない泣き声が夜明けの町にこだました。

    The END

[4465] 番外編、ペンション緑の風 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/12(Thu) 09:45 [返信]

「TOMOはん、だいぶご活躍やったが 体大丈夫でっか?」
マットが、帰り際疲れた顔をしていたTOMOに声をかけた。
「久しぶりに燃えましたからね。寝不足になると発作がおきるから、今日は年休を取ろうと思ってますよ。」
といい、大きなあくびをした。
「TOMOはん、ワイの知り合いでペンションやってるイグがおってな、今のTOMOはんはそこに行くのが一番ええと思いますがな。」
「はぁ?ペンションですか??北海道にもたくさんペンションありますけど、今日そこに行くんですか??」
TOMOは突然のマットの言葉に戸惑った顔をした。
「まあ、だまされた思って 行ってみてください。うちの店でて左の道行くと2本目の角曲がったところに、バス停があります。すぐにバスが来よりますから乗って、緑の森ゆうところで降りてください。すぐに小さなペンションが見えます。
ワイぐらいのおばちゃんイグと娘夫婦イグでやっとりますんや。ワイからも連絡入れときます。これ、バスの切符です」
マットから切符を渡され、何もわからぬままTOMOは店を出た。

しかし、うりゅりゅとさりゃりゃは何も疑問を持たずついてきた。
「前に友達に聞いたことあるで。へーそこにいくんか。」
バス停に着くとすぐ イグアナ交通のオレンジ色のバスが来た。TOMOたちが乗り込むと、バスの運転手は 首をふって挨拶した。トンネルを抜け橋をわたり、ずいぶん行ったようで
それは一瞬のうちの出来事のように感じられた。
「緑の森に着きましたよ」

夜明けの薄明かりの中バスを降りると丘の上に小さいかわいいペンションがたっていた。
「ふーん、{ペンション 緑の風}・・か」
TOMOがペンションの中に入ると、カウンターにめがねをかけたおばちゃんイグがいて、笑顔で迎えてくれた。
「TOMOさんですね。マットはんから連絡受けました。今お部屋にご案内しますね。」
若いオスイグがちょうど階段を下りてきた。
「かあさん、部屋の準備できましたよ。あっ、いらっしゃい
お荷物はありますか?どうぞこちらへ・・・」
TOMOたちはイグの後をついて2階の奥の部屋へいった。
部屋の中に案内されると、若いきれいなメスイグがちょうど
ベッドサイドの飲み物を用意しているところだった。
「あっいらっしゃいませ。どうぞ、ごゆっくりお休みください。イグさんたちは隣の部屋を用意してあります」
そういうと、丁寧に挨拶して部屋を出て行った。

その部屋は不思議な暖かさに満ち溢れていた。窓にはレースとグリーンのギンガムチェックのカーテンがかかり家具は
白木の素朴なものだったが 手づくりの風味が懐かしかった
ベッドもカーテンと同柄のベッドカバーがかけられ、枕には清潔な真っ白なカバーがかけられていた。
TOMOはとにかく横になりたかった。早速横になるとベッドはからだを包み込むようにささえた。
あっという間に とろけるような眠りに入っていった。

夢を見た。緑の夢だった。
草原の風のなか、美しい花畑の中、幼い子供ように遊び回ったり、ルソーの絵のようなジャングルを蝶々にのってひらひらと飛びながら、うりゅりゅやさりゃりゃと鬼ごっこをしていた。

どのくらいたったのだろう、TOMOはパンの焼けるバターとイーストの香ばしい匂いで目が覚めた。
飛び起きて、窓をあけるとそこは高原の朝だった。
さわやかな風が 吹き込んでTOMOの髪を揺らした。
不思議なことに、夜明けまえあんなに疲れていた体の疲れは完全に回復して、それどころか体が軽い感じだった。
「あーしまった。丸1日ぐらい寝てしまったかな?年休出さなかったけど・・・」
早速服に着替えると、匂いに誘われるようにダイニングに降りていった。 

「あっ おはようございます。よくお眠りになりました?」
テーブルに 朝食の皿を置いていた 若いメスイグがにっこり微笑みながら、聞いた。
「ええ、時間を忘れるぐらい。こんなに気持ちの良い眠りは
初めて」TOMOもにっこりして答えた。
キッチンではあのオスイグが朝食を作っているようである。
進められるまま、TOMOがテーブルに座るとうりゅりゅやさりゃりゃも降りてきた。
朝食はとびっきりおいしかった。焼きたてのクロワッサンと
ブルーベリージャム、届けられたばかりという高原のミルク
ハーブサラダ、ハムエッグ、いつもなら朝あまり食欲のない
TOMOであったが(ちがったらゴメン)今日は不思議なくらい
食べられた。

おばさんイグが薫りの良いコーヒーを運んできた。
TOMOは、さっきから気になっていたことを・・・聞いた
「あの、今何時・・・ていうか今日何曜日なんでしょうか」
おばさんイグはニコニコしながら答えた。
「そちらの月曜日の朝7時ごろかしら。お食事食べ終わったらお仕事いけますよ」
「ウッ ウソーッ!」TOMOは思わずさけんだ。
どう考えても10時間以上眠っている感じである。疲れはまったくなく気分爽快である。
「おかん、イグ郷は不思議なこと多いんやで」
うりゅりゅは、物知り顔で言った。

その後TOMOさんはまたバスで町に戻り、横丁をぬけると
そこはいつもの稚内の午前8時であった。

[4466] 後日談、朝のワイドショー 投稿者:TOMO 投稿日:2004/08/12(Thu) 17:12 [返信]

あわててうりゅりゅとさりゃりゃを家に帰し、着替えてて仕事に出たTOMOだったが、身仕度をしてる間に少しワイドショーをチェックしていたら、大々的に「怪盗ヒョウモントカゲ逮捕」のニュースをやっていた。
ワイドショーでやるニュースと言ったら、芸能人の冠婚葬祭、殺人事件、時事ネタがメインだと思っていたTOMOだが、ヒョウモントカゲは今まで世界中の警察が捕まえようとしていても捕まえられなかった怪盗である。それを捕まえた、ということで「日本警察久々の快挙!」とばかりに取り上げられていたのである。
空から映したカーチェイスの影像のあと、まさよしさん、神谷、平田、冬彦、そしてうりゅりゅを肩に乗せたTOMOのインタビューもあったりして、TOMOはそれを他人事のように見て、あとはうりゅりゅとさりゃりゃに任せて仕事に出かけた。

一方、つくばのジュラさんの所では…
「ねえ、知ってる?怪盗なんとかトカゲっていうのが捕まったんだよ」
朝のワイドショーをばっちりチェックしてきたらしくちょっと興奮気味の上司がジュラさんの部屋に入ってきた。
「ええ、知ってますよ。だって私、途中まで現場にいたし」
何事もなく答えると、ワイドショー上司さんはびっくりして「えっ、そうなの!?もっと詳しく教えて!」
と話に乗ってきた。

[4468] 後日談、朝のワイドショー その2 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/08/13(Fri) 09:15 [返信]

>何事もなく答えると、ワイドショー上司さんはびっくりし
>て「えっ、そうなの!?もっと詳しく教えて!」と話に乗ってきた
「ああ、あのエリマキトカゲのことですか?」
ジュラは上司がよく名前を覚えられないことを知ってて答えた。
「関西空港から始まったんですよ。逃げるのはトヨタカローラにのったゴリラみたいな男で、追いかけるのは日産マーチに乗ったオラウータンみたいな男で、マーチにはそれぞれ
チンパンジーみたいなヤツとテナガザルみたいなヤツが乗ってましたね。」
「・・・・・ニホンザルみたいの・・・い・た??・・」
「よくご存知で・・ええ、その前に空港の中でキツネザルみたいなヤツとかリスザルみたいのが大活躍で・・」
「ほんとなの??すごいことになってたんだね。猿の惑星みたい」
と首をかしげながらも、新しく得た情報を持って上司は早速秘書室へ向かった。秘書室は美人のお姉さんがたくさんいらっしゃるので 和井戸翔さんはよく意味もなく行くのである。
「ねえ、知ってる? すごい情報だよ・・・」と得意顔で話始めた。
「やだー和井戸さん、それジュラさんにだまされたのよ。
だって、深夜に関空にいて今ここにいられるわけないじゃないですか。ジュラさん8時には部屋に入ってましたよ。いくら関空から羽田へ朝一で直行したって絶対無理でしょ。」
「ふふふ・・・エリマキトカゲなんてねぇ、ヒョウモントカゲですよ」
「それに、猿ばっかり・・ホホホホ」
あとはクスクス笑いで包まれた。
和井戸さんは再びジュラの部屋に戻ってきた。
「ジュラさん、もう君はうそつきだから、嫌いだ!」
と言って、ぷんぷんしながら去っていってその後3日ほど部屋に来なかった。
ジュラは内心ヤッターと思ったが、そんなことよりTOMOさんが掲示板に書いてきた ペンション緑の風ってどんなところだろうと気になっていた。
温泉は付いているのだろうか、ペンションだから温泉はなくても近くに露天風呂がないだろうか等と仕事中ぼんやりと
考えるのだった。 

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