274 居酒屋マトリックス2 by ジュラ and TOMO


[3355] エラリー初給料 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/09(Fri) 21:01 [返信]
今日もエラリーは律儀にマットの店に出勤して開店前の通りを掃除している。
店の中では ワサビが心配そうに 親父マットに聞いていた。
「大将、エラリーさん そんなに付けがたまっているんですか」
マットが頭をかきながら 打ち明けた。
「イヤー、付けは3日ではろうてもろたで。4日目にもう来なくてええで、と言ったんやが あいつなにを勘違いしたか
付けがたまりすぎて、ワイから愛想づかしされて ここに来るなと言われたと思い込んだらしくてな、毎日きよる。」
「そりゃ、ここに来るなといわれたら、あせりますよ。エラリーはん 必死なんや」ワサビが笑った
「そやけど、ただ働きはかわいそうやさかい、その分給料はらうつもりや」鼻を鳴らしてマットも笑った。
「だいぶなれてきて、ずいぶん助かっとるが、今日あたり皆来そうやから、お客にもどってもらうか」
マットは帳場の引き出しから 封筒を取り出した。

そんなこととは知らないエラリー、掃除中の肩をぽんぽんとたたかれ
「エラリー君、がんばってるやんか」と声をかけられ
「えろー、おおきに、らっしゃい・・・」あわてて挨拶して
振り返ると そこにはランドセルを背負った 子イグが2匹
口をニーッとして笑ってた・
「このっ!ちびがき!イグサまて。われなここは居酒屋やで
子供の来るとこじゃない。まったく友達まで連れて来よって。だれじゃい」
「GONいいます。おとんから聞いて ここきたかったんや。
イグサくんが じょうれん やて言うから、つれてきてもろたんです」
「こら、イグサ なにがじょうれんや。家かえって宿題やって早よ寝。明日学校やろ」
「明日は土曜日やで。学校休みや。おかんは 職場から来る言うてたから 待ち合わせなんや。今日はマットのおっちゃんのおいしいもの たんと食べるゆうとったで」
「エラリー、外で何をごちゃごちゃやってんのや、おや
イグサくんとGONくんやないか。寒いからはよ中 はいり」

「ジュラのおばちゃん具合悪いて 聞いたが どうや?」
「食欲ないって言うとった。おかんは食欲がなくなる病気や」
マットは笑いながら
「そりゃ大変や。今日はおいしいもの食べてもらわな。
2人でそこに座ってまってな。今ブルーベリージュース
作って持ってくからな。それから エラリー」
「マットのおっちゃん、暖簾も出してきたで」
「エラリーご苦労やったな、もう付けはないで。それどころか給料はらわな。ほなこれ」
マットから給料をうけとり説明されたエラリー
鼻をブシュブシュさせながら
「そうか おおきに、おおきに、ほなら今日はこれで飲めるってことや、エー日やなー」
一気にハイになったエラリー
「調子にのるとまた 付け働きになるで」
とマットが 釘を刺した。

そんな時 「をっす!」と元気のよい声がして
いけめんイグアナ ハリーが入ってきた

[3356] 一番乗り 投稿者:TOMO 投稿日:2004/01/09(Fri) 22:27 [返信]

「おっ、今日はまだHaitamanのおっちゃんまだ来てへんのか。珍しいな。ほならわいが一番乗りか?」
いつもはHaitamanさんが一番乗りの時が圧倒的に多いのである。
「ハリーのおっちゃん、違うよー」
「一番乗りはぼくたちやー」
かわいくもちょっと生意気なことを言う声に目線を
ちょっと下げると、カウンターのいすに座った子イグが2匹。イグサとGONだ。ランドセルは小上がりに置いて、おいしそうにマット特製ブルーベリージュースを飲んでいる。
「誰がおっちゃんやねん、にいちゃんと呼び!それにここ居
酒屋やろ、子供の遊び場ちゃうで、寄り道せんとまっすぐ家帰り」
言われて2匹の子イグはほっぺたをふくらませる代わりにデューラップを広げた。そこにマットが助け舟(?)を出す。
「まあまあハリー、そんなエラリーみたいなこと言わんと。この子たちはおとんとおかんとここで待ち合わせしとるからええんや」

[3358] 娘心 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/10(Sat) 18:55 [返信]

「よう、ハリー 久しぶりやな。しっかしお前派手やな」
ハリーは若いオスイグアナの象徴のように体色がオレンジになりつつある。その上今日は、渋いグリーンと山吹色のマフラーを今風に首に巻いている。
「おう エラリー。お前がマットの店で働いている聞いとったから、励ましに行かなならん思ってたんや」
「そら えろうご苦労やな。どうせおちょくりに来たんやろうけど、わいは今日からもうお客やで。」
とエラリーは給料袋をヒラヒラさせて自慢した。
「なんや、遅かったか。まあええわ。ねえ、エラリーちゃん、仲良くしようぜ」
「気色わるいわ。もっと離れてや」口は悪いが この2匹結構気の会う友達なのである。

そのころ横丁を曲がったあたりでは
「ねえ、おとん、今日はカレンちゃんもさりゃりゃちゃんも来るんやろ。うちこの格好でええやろか。もうちょっと派手なほうがよかったやろか。それとももっと大人っぽいほうが
ええかな。ねえおとーん」
おとん呼ばれたHaitamanさん、
「それでええで。かわいいで。最高や」今日何回目かの同じせりふである。
Haitamanさんが珍しく一番のりでなかったのは、バジルちゃんのしたくに時間がかかったからである。
娘を持つ父親なら 必ず経験するような光景が繰り広げられたのである。
「バジルはな、ええ子や。何を着てても似合うで。」
イグの服といっても いつもは何も来ていないイグのこと
マットの居酒屋に来る時といっても簡単な布を1枚はおる
程度である。その布の結び方に個性がでる。
カレンちゃんなど、花のような結び目を作って巻いてくるのでかなり おしゃれのセンスがよいといえる。
オスイグは何もつけていない。ただマットや
ワサビは割烹の前掛けを締めているし、ハリーはマフラーと
腰にメタルのベルトをしている。
「おおきに」バジルはその言葉ににっこりした。

3364] バジルちゃん居酒屋デビュー 投稿者:TOMO 投稿日:2004/01/11(Sun) 00:08 [返信]

ガラッと店の戸が開き、Haitamanさんとバジルが現れた。
「らっしゃい!Haitamanさん、今日はバジルちゃんとお揃いでっか。イグサくんとGONくんとハリーに先越されましたな」 マットが言うと、Haitamanさんはちょっと照れながら
「そうみたいやな。今日はバジルの仕度に時間かかってしもて…。ほんま、女の子っていうのはとかく仕度に手間取るもんやな」
と、困ったような、でもバジルがかわいくてしょうがないような口調で言い、
「いややわ、おとーん!」
とバジルに手加減なしに背中をたたかれて、ちょっとむせ、ワサビ、エラリー、ハリーはその勢いに押されたのか、一瞬黙り込んだ。
しかしマットは動じず、Haitamanさんが落ち着くのを待って、
「Haitamanさんはいつものでよろしいでんな。バジルちゃはどうしまひょ?」
と注文を聞いた。
「じゃあうちにはあんず酒ください」
さっそくワサビがモロヘイヤ酒とあんず酒、お通しのなずなのおひたしを2つ運んできた。

[3365] 豆腐 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/11(Sun) 17:05 [返信]

赤みがかったセピア色の宝石のようなあんず酒にバジルが「きれいやわー」とうっとりしていると
「お嬢さん」とハリーが声をかけた。
「そのお酒の色よりも、今日のうす紅のグラデーションが華やかな バジルさんのほうが比べ物にならないくらい美しい
君の瞳に乾杯!」
と自分のブルーベリー酒のグラスを上げた。
バジルはこの歓迎にびっくりした様子だったが ちょっと恥ずかしそうにグラスを上げた。
「なんや こいつキザなやつやな」
「美しいお嬢さんに対する 礼儀やで。まあエラリーには
わからへんかな」
「ハリー 親の前で娘をくどくなや」
「なんやHaitamanのおっさんそんなところに くすぶってからに。居酒屋の背景かと思ったで」
「さっきから おるやないか。まあええ、エラリーもハリーもいっしょに飲も。」
「へい これいかがでひょ」
マットがひりょうずとくわいの煮びたしの小鉢を差し出した。
「大将が豆腐を手作りしたんですよ」とワサビが言った。
「自分の納得いくような豆腐をつくるのは むずかしいでんな。やっと こくのあるやつができましたんで、いろいろ使ってみました。」
「うん、このひりょうず 味がしっかりしていてうまい。枝豆といっしょにあげたんやな。」
「出しがうまいわ。それにくわいのしゃきしゃきした歯ごたえが ひりょうずとあってるで」
「GONちゃん 君は豆腐すきなんやろ。どや おっちゃんの豆腐 そのままで食べてみ」
と冷奴をすすめた。
2匹の子いぐは、まってましたとばかり 箸を恐ろしく不器用に扱いながら 豆腐を口に運んだ。同時に
「うーまい!、君の瞳に乾杯!」とジュースのグラスを
カチンとあわせて にやっと笑った。
「ハリーさん もう真似されてますよ」ワサビがニヤニヤしながら言うと
「もう 悪がきにはかなわんな」とお手上げのかっこをするハリー
「ワサビは何作ってんや」
ワサビはエラリーが手伝ってくれたおかげで いろいろマットから教えられ、料理の修業くをすることができたのだった
「料理ってほどでもないのですが、奥にたこ焼きの台があったんです。イグサくんたちに作ってあげようと思って」
「わいにもくれ」
「はい もちろん」

そんな時 暖簾がゆれて「こんばんわー」とかわいい声が響いて2匹のイグアナが飛び込んできた。
北海道からTOMOさんとうりゅりゅ、さりゃりゃの到着である。今日のTOMOさんは大荷物である。
「らっしゃい、TOMOさんどうしました、その荷物」
「あー疲れた。港からね カニを仕入れてきたの。マット カニすきできる?」
「オー 北海道のカニか。こりゃ豪華や。この前は明石の鯛やったな。えーなここは。」
Haitamanさんごきげんである。
「やーこりゃええタラバガニや。毛ガ二もあるやないですか
お疲れ様。早速つくりますわ」
「あーでも マット。私はカニは食べないから なにか代わりのもの入れてね。」
「へい。わかってま。肉団子でもいれましょう」
「さりゃりゃちゃん、うりゅりゅさん こんばんわ。」
「あっ バジルちゃん?掲示板でいつも会っとるから 初対面の気しないわ」
3匹はもう打ち解けている。
「どこの港で買ってきたの?」 

[3366] カニ 投稿者:TOMO 投稿日:2004/01/11(Sun) 18:35 [返信]

「稚内の港沿いの通りには新鮮なカニとか魚を売ってる店が何軒もあるからね。そこ行って。そういえばチビイグサくん、」
小上がりにどっかと腰を下ろしながら、TOMOはイグサに話を振ると、イグサが口の周りに豆腐をつけたまま振り返った。
「ぼく、チビちゃうもん」
一応デューラップを広げて、チビと言われたことへの抗議を示している。
「じゃあ、イグサくん」
「なに?」
「イグサくんのお母さん、今も体の調子悪いの?」
「うん、うちのおかんは食欲がなくなる病気や。でもここには後から来るよ。マットのおっちゃんのおいしいもんぎょうさん食べるんやて」
「そうかー、私が持ってきたカニも食べて元気になってくれればいいけどな」
そこにエラリーが、
「でも、はよ来んと、ジュラのおばちゃんの分なくなってまうで。Haitamanのおっさんに全部食べられてまうから」
と口をはさみ、Haitamanさんが
「わし一人でそんなに食べれへんて」
と突っ込み返す。
それを真剣に聞いていたイグサ、
「おかんの分がなくなったら大変や、早く来んとHaitamanのおっちゃんに全部食べられてまうっておかんに知らせんと」
とあせりだした。
「イグサくん、おかんにメール出すか?」
マットが言うと、
「うん、ぼく自分でできる」
と答え、かわいくくしゃみをした。

一方のジュラさんは、まだ職場にいたが、イグサに呼ばれた気がして、ちょうどひと段落した仕事の片付けをする手を早めた。

[3379] ベルサイユのバラ? 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/12(Mon) 21:59 [返信]

ちょうどそのとき ジュラの職場のワイドショー大好きの上司が近寄ってきた。
「ねえ 知ってる?」
「知りません!失礼します!」と職場を飛び出した。
「・・・?まだ 何も言ってないのに・・・」

「やあ さりゃりゃちゃん、しばらくぶりやね」
「あっ ハリーさん、こんばんは」
「やあ、今日は鮮やかなイエローのドレスだね。
フランスの王妃 マリーアントワネットが愛した黄色いバラも君の可憐さの前ではしおれてしまいそうやで」
「えっ そんな・・」さりゃりゃは恥ずかしそうに目をふせた。
「よくまあ、それだけ さらっと出てくるもんやな」
こけもも酒を飲みながらエラリーが言った。
「エラリーも カレンちゃんに言うてみたらどうや」
「わいにそんな 芸当できるかいな。でもハリー、カレンちゃんには 言うんやないで。」
「まあ、エラリー 男は口先だけじゃないで。仕事もできんとな。それに趣味も必要やな。」
「Haitamanのおっさんは テニスが趣味なんか?」
Haitamanさんは2杯目のモロヘイヤ酒を飲み干すといった。
「趣味というより伴侶やな。わが生涯のよき伴侶はおかんとテニスや。」
「うふっ」とバジルが笑った。
「おとん、おかんに頭が上がらないのや。そうやマットの
おっちゃん。今日はちゃんとお勘定払っていくで。
うち おかんからちゃんと預かってきたんや。いつもおとんが迷惑かけてんやないかって 心配してたわ」
「なんやもろてきてたんか・・・」
「まあ、Haitamanのおっちゃん 飲もうぜ。」
「大将 焼酎!サワーでおくれ」
「へい、ワサビがたこ焼き焼きましたよって どうぞ、ソースでええですか。マヨネーズつけますか」
「わーい たこやきや^O^ 大好きやねん」
「マット、私明石焼きみたいにしてくれる。マットのだし汁つけてたべたいの。それからお好み焼きもってきたんだけど・・・できたらそれも 皆さんで分けて」
「ええですよ。暖めましょう」
「わふっ、あふっ たこ焼きうまいな、おかん」
うりゅりゅがだし汁に浸した たこ焼きを大口開けてたべながら 感激したように言った。
なべがぐつぐつ煮えてきて たまらないにおいが 店の外へも流れ出した。
外は かなり寒くなってきた。

「ウォー、たまらないにおいですな。腹がなってます」
「こんちわ エラリーいる?」
とまさよしさんと 睦美が飛び込んできた。
「らっしゃい。まさよしさん ええタイミングですわ」
「エラリーいるっておかん、わいを見捨ててたくせに」
「見捨ててないって。毎日 モロヘイヤとか小松菜たくさん
おいといたでしょ。このごろレポートが忙しくてマットの店に来られなかったのよ。だいたいあんたが 付けためたのがいけないんでしょ」
「まあ、まあ、睦ちゃん、今日のエラリーは金持ちやから」
ハリーからわけをきいた睦美はマットにお礼を言った。
まさよしさんは かけつけの熱いお茶で 一息ついている。

「イグサ 遅くなってごめん。」
ジュラが頬を赤くして入ってきた。
「マット 雪が降りそうよ」 

[3383] 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/13(Tue) 18:03 [返信]

「さむなってきますな。今日みたいな日は常連さんしか
きまへんやろ。ワサビ そっちのテーブル寄せて1つにしてくれへんか。鍋もって皆でやりましょう」
マットがいうと エラリーたちも
「それがええな。手伝うで。あっHaitamanのおっちゃんは座っとき。よっぱろうてなにかひっくりかえすさけ」
なんだかんだ言いながら 小上がりの奥の少し広い場所に
テーブルを寄せて ガス台を2台置いた。
その上にマットが 鍋を2つおいて皆、食べ物や酒を持ってその周りに座った。
「おかーん、マットのおっちゃんの豆腐うまかったで。」
「そう よかったね。鍋の中にも豆腐入ってるね。」
イグサはすっかりジュラに甘えている。
TOMOさんが ちょっとうつむいてしまったGONに声をかけた
「GONくん おとん来るんでしょ。あれっ、たこ焼き嫌いなの」と皿に残ったたこ焼きを見て心配そうに 聞いた。
「うん。お仕事終わったら来るってゆうてた。忙しいのかな。たこ焼き好きやけど・・・でもおとんに残してるの。」
「GON、おとんがきたらまた明石焼き焼いてあげるから食べ」ワサビがGONの頭をなでながら言うと やっと少しにっこりした。
「カニが煮えてきたで。食べごろや」
鍋奉行のHaitamanさんが声をかけると、皆の箸やら指やらが一斉に伸びた。
「はふっはふっ ふまいはー」
「白菜にもあじがしみてるな」
「ぼきっ かしゅかしゅ しゅるっ うめ!」
「まさよしさん、今日チビちゃんは?」睦美が聞いた。
「なんや メスイグアナ連と買い物やていってましたがな
ほら この間もおったでしょ。買い物終わったら来る言ってましたが 遅いですね。まさかもう飲んで 電車をのりすごしたということは ないですね。私と違いますから。」

そのとき戸が遠慮がちに開かれた。
「あの、マットさんの店はこちらで ええんでしょうか。
うちのGONが お邪魔してると思うんですが」
その声に GONの顔がぱっと明るくなった。
「おとーん」
「やあ すまんなGON、ちょっと横丁間違えて ぼったくりバーにつかまりそうになったわ。」
「NOBUさんでっか。みなさんお待ちかねですよ。さあどうぞ」
マットが声をかけると さりゃりゃがGONとの間をあけて
座布団を進めた。ワサビがおしぼりとお通しをおく。

3397] イカナゴの釘煮 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/14(Wed) 18:18 [返信]

「NOBUさんは 飲み物なににしまひょ」
「うーん とりあえずビール。生あります?」
「へい。中ジョッキぐらいでええですか。」
「体が温まってくると ビールがほしくなるな。こっちにも
ビール頼むわ」
「ワイらも。ハリー うりゅうりゅ 飲むか? それじゃ
中ジョッキ ぜんぶで4杯!まさよしさんは?」
「それじゃ私もビールいただけますか」
まさよしさんは 薄いグレープフルーツ割り焼酎をのんでいたのだが 顔はもう赤くなってきている。
「マット NOBUさん まさよしさんいれて6杯や」
うりゅりゅはエラリー ハリーの若オスの仲間とだいぶ打ち解けて時々 こそこそニヤニヤして楽しそうである。
マットが生ビールを配った。
「それじゃ 改めて乾杯するか」
「居酒屋マトリックスにかんぱーい。Haitamanのイグアナ掲示板にかんぱーい」
「うー うまい。しみるなー。生もええけどうまい地ビール
なんかもええなー」
「そうですね。私は結構、いろいろ地方に行く機会があるんですけど、やっぱり仕事終わってその土地の物と地酒に地ビールというのが最高ですね。」
とジュラが言い出した。
「去年は富山に行きましたが、そこでは蛍烏賊 うまいですよ。秋田は はたはた、岡山ではめひかりが おいしかったな。熊本では ちょっと変わった わらすぼとかムツゴロウを食べましたよ」「ほらね」とイグサが口を挟んだ。
「おかんは くいしんぼなんや。仕事にいくゆうても食いにいってんのかも知れへん」
「だから いぐさくん。おかんの食欲がないから病気やっていってたんやね」とGONが感心したように言った。
「ちがう、病気だったから 食欲落ちたの。でももう全快よ。このカニおいしいし、このスープ最高。最後は雑炊にしてたべたいな」
「皆さん カニが好きみたいですけど 私は好きじゃないんですよ」とTOMOさんは鶏肉団子に舌鼓を打ちながら言った。
「へーTOMO様 北海道なのにもったいないですね。私はTOMO様感謝です!私にとってカニは年に数回口に出来るかどうかという代物です!頑張って食べたいと思います。明石焼きも私は食べた事がありませんでしたが、たしかにおいしいですね。」
「その土地のものといっても、苦手なのもありますよ。
私はイカナゴの釘煮が苦手で、春先は隣近所さらに自分の家の台所からもイカナゴを煮る醤油の匂いが・・・。自分自身が釘煮になったような錯覚を覚えますよ。」
「イカナゴ煮?これはよく解らない代物ですね。」
バジルが言った。
「うちは イカナゴ煮 S亭主はんからご馳走になったことあるから好きやけど、なんか不思議ね」
「なにが?バジちゃん。君こそが不思議の国のアリスちゃんだよ。僕はアリスちゃんを追いかける ウサギさ」
「チョと待て、アリスが時計ウサギをおいかけるんやないか」
「まったく この際どっちだってええやないか」
「ふふ ハリーたらっ、ええ、黒豆なんか煮る時にも釘いれるやない?だけど けして黒豆の釘煮いわへんやろ。
この場合、イカナゴという特産品と釘という物質が同等に出てくるんやねー。例えば、大根の味噌煮とか、レンコンの梅酢とかあるけど、どれも 食品と食品のたいおうやろ。これっておもろない?」
「わが娘ながら よく考えるノー。確かにあまりないのう」

[3404] 遅ればせながら… 投稿者:TOMO 投稿日:2004/01/14(Wed) 23:26 [返信]

「こんばんはー!」
にぎにぎしく、買い物に行っていたチビ、カレン、奈々子、あゆみのメスイグ連が手に手に買い物袋を下げてやって
きた。
「おお、チビ、やっと来たか。もうちょっと遅かったらなくなってたとこだぞ」
まさよしさんがチビに言うと、
「やーだ、おとん、もう赤くなってるー!でも、間に合って良かったわー」
と言いながらまさよしさんの横に座り、そこへワサビ
がわりばしと小鉢と桑の葉茶を出した。
カレンにはエラリーが自分の横を空け、奈々子とあゆみも場所を取って座った。
落ち着いたところでバジルがカレンたちにあいさつした。
「初めまして、バジルです。今日はみんなで買い物に行ってはったって聞いたんですけど、掘り出し物とかありました?今度うちも誘ってくださいね」
「ええ、後で買ってきたもの見せてあげる。今度は誘うから一緒に行きまひょ。後で虫の知らせメアド教えてね」
こっちでもメスイグ連が盛り上がっている。
「あ、そうそう、あんた」
チビがワサビに声をかけた。
「うちら、デパ地下でデザート買ってきたの。みんなで食べてもらおうと思って。冷蔵庫で冷やしておいてくれはる?」
ワサビはチビから大きな包みを受け取り、調理場にある大きな冷蔵庫にそれをしまった。

[3409] 姿盛 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/15(Thu) 16:21 [返信]

「よっ あゆみ」
「はーい ハリー 元気してた?」
「僕の元気の泉はあゆ、君さ。きょうは深い森の泉のようなエメラルドのドレスだね。僕がその深みにはまったら君、責任とってくれるかい。」
「出ましたね。今日何連発?」
奈々子が笑いながら言った。
「今日は調子ええようですよ。奈々子さんには 僕がゆうてもええやろか」うりゅりゅがテレながら言った。
キャー! メスイグの歓声が上がる。
「えー、本日は・・・」
「演説やないぞー」Haitamanさんのやじがとぶ。
「きれいなピンク色のドレスですね。さりゃりゃの鼻の穴も
桜色できれいやけど・・」
「なんでうちの鼻の穴の色でてくるん?」
「いや、なんか 鼻屋 いや(汗)花屋さんの バラの花
の中にも・・・」
「そや バラの花ええぞ」とハリー
「ピンクのバラの花や 赤いバラの花や 薄いピンクのバラの花や、ちょっと濃いピンクのバラの花や 黄色がかったピンクのバラ・・・」
「もうバラはええよ」と奈々子に言われてしまった。
うりゅりゅはちょっとしょげてしまったが、大きく息をすうと
「花屋のどんなバラの花よりも、北海道のサロベツ原野にさく はまなすの花が好きや。奈々子さんはオホーツクに向かって咲く はまなすの花みたいや。ハー」
「素敵、うりゅりゅくん」カレンちゃんが手をたたいた。
奈々子もほほを赤らめて うれしそうだ。
TOMOさんも うりゅりゅのこと見直したみたいに目を細めた。
「いいですね。私 北海道の網走の原生花園に行ったことあるんですけど、風の激しい砂浜に可憐な花を咲かせる はまなすって強さとやさしさを感じさせる花ですよね。
で そこで食べたばーべQがまた・・・ 」
「おかんはすぐ食べ物の話になる」
「へい、お待ち。食べ物紀行で言うと 冬の日本海料理になるんでしょうか。大根のぶり煮と、前にジュラさんが持ってきてくれはった、ジャガイモでチーズ焼きです。」
「わーい。ぼくチーズすき。ジャガイモもすき。」
とイグサとGONは大喜びである。
「マット、睦美さんがブルーベリー酒もう1杯。それからうちら こけもも酒と焼酎のオレンジ割り」
みな それぞれ酒が進む。
「GONの一発芸があるんですよ」
とNOBUさんがうれしそうに言った。
「なに?GONくん やって」
「それじゃ そのあいた大皿を・・・」
「GONの姿盛!」
GONくんが大皿の上で手足を広げて寝そべった。
それだけのことなのだが 大うけに受けた。
「キャー かわいい!!イカ飯みたい」
「ははは・・ええのう」Haitamanさんは大喜び。
「GONくんね、学校でも人気ものなんだよ」とイグサが言った。
「そうか?」NOBUさんうれしそうである。
「教室でも姿盛やるよ」
「そうか」NOBUさんニコニコしている。
「授業中でもやるよ」
「GON やめなさい。先生にしかられるやろ」
「ううん、先生がみせてって」
「・・・・・」
「そや、睦美はん、あの物知りの・・・」
「そや、おかん あの臆病な兄ちゃん、今日はどないした」
「神谷先輩?、今日当たりかえってくるはずなんだけど。
郷里に帰省してるみたい」
「ふるさとか、おとん、おかん、じじ、ばばがいて・・・
そや 見合いでもすすめられとるかな。」とエラリー
「そんなこと ないでしょ。同窓会があるっていってたわ」
「同窓会って言えば 昔好きやった子がくることもあるなー」
「そうだとしても 先輩もてそうもないし。ははは・・」
「エラリーは 女心わかってないみたいやな。」あゆみがカレンにささやいた。

[3417] 噂をすれば… 投稿者:TOMO 投稿日:2004/01/16(Fri) 01:08 [返信]

「睦美さん、あの物知りな人のこと好きなんでしょ?なのにエラリーったらあんなことばかり言って…」
「ホントやわ、デリカシーないわー」
そう言いながら、カレンはしっぽが踏めないのでエラリーのぽってりした脇腹をつねった。エラリーは
「いででででで、カレンちゃん何すんねん…」
と言いかけてカレンの方を見たが、カレンが細かくボビボビしていたので恐くなって口をつぐんだ。

「こんばんはー」
その時そっと戸を開けて、一升瓶を下げた神谷先輩がおずおず、またはびくびく、といった表現がぴったりな感じ
で入ってきた。
戸には背を向けて座っていた睦美だったが、このびく
びく加減で神谷先輩だと気づいたようで、顔がパッと明るくなった。
「らっしゃい!神谷はん、ふるさとに帰ってはったって睦美はんから聞いとりましたが、ええところに来はりましたな。TOMOはんがカニもって来てくれはったんで、みんなでカニすきしとったとこなんですよ」
睦美の次に気づいたマットが神谷先輩に声をかけると、
彼は手にした一升瓶をマットに差し出した。
「これ、私の故郷の地酒です。皆さんに飲んでもらおう
と思って買ってきました」
「おお、臆病な兄ちゃん、来たか。酒の差し入れとは気が利くやんか」
エラリーはやたら態度がでかくなっている。
「にわとりのにいちゃーん!」
イグサが喜んで、ジュラさんが止める間もなく飛びついた。「あっ、これ、イグサ、やめなさい!」
しかし、神谷先輩は少し顔を引き気味にしながらも、ちゃんとイグサを受け止めている。
「カレンちゃんちでわいを受けてくれた時とはえらい違いでんな」
マットが笑いながらお通しとおしぼりを運んできた。
「実はあれからむっちゃんから特訓を受けてね。一緒にペットショップに行ってイグアナを見たりとかしてたんだ。それに、みんなとここで飲むのは楽しいしね」
よいしょ、とイグサを小上がりに降ろして、神谷先輩
が睦美の横に座ると、自分の席に戻ってきたイグサにGONが
「あのにいちゃん、何でにわとりなん?ぼくには人間に見えるんやけど」
と尋ねた。
するとイグサは、
「でも、こないだマットのおっちゃんのおとんとエラリーにいちゃんのおかんとここ来た時にはこっこ がーがーって言ってたんや」
と答えて、また神谷先輩に、
「あのー、こっこ がーがーじゃなくて『こうこがく』なんだけどなー」
と訂正を入れられていたが、あまり聞いちゃいないかも
しれない。

[3419] 吟醸 山廃仕込 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/16(Fri) 22:43 [返信]

「神谷はん 郷里はどこかいな」とHaitamanさんがきいた。
「秋田県の鹿角市なんです。十和田湖の秋田県側の入り口ですね。大湯のストーンサイクルご存知ですか。東北最大の環状列石があるところです」
「だから先輩は考古学に興味をもったのですね」
「きりたんぽの発祥の地ですよね。」ジュラが思いつくのは
どうも食べ物に偏るようだ。
「おい、ところでその酒は何やねん」酒処秋田と聞いてHaitamanさんは舌なめずりをしながら聞いた。
「刈穂 純米吟醸 山廃仕込み ですわ。こりゃ幻の銘酒や。」とマットが感心したように言った。
「ええ、限定品でその土地でないと買えないものですね。
秋田の酒にしては珍しく端麗辛口で切れがいいけど濃い酒です。」
「兄ちゃんも好きやからなー。」
エラリーがこの前酔っ払った神谷と 小上がりで抱き合って
ぶっ倒れていたことを思い出していった。
「刈穂の大吟醸もうまい酒で 東京あたりまでぐらいは出回ってますけれど、これは出回ってないんですよ。
純米吟醸より大吟醸のほうがうまいかと言うとこれがなかなか 日本酒の複雑なとこで純米にこだわったこれは大吟醸より絶対上だと思いますね。」
「能書きはもうええ、はよ飲も。」
「おとんたら よだれふいてよ」
「冷でっか」
「冷や」
マットがヒノキの枡を持ってきた。皿にのせ なみなみと注ぐ。
「うっうっうっ」のどを鳴らして飲んだHaitamanさん。
「ええ、こりゃええ。」と感激の面持ちである。
「私にもいただけますか」とまさよしさんが言った。
「おとん大丈夫?」ちびが心配そうに聞いた。
「いやあ 師匠が感激していらはるのを見たら、飲んでみないと収まらないで」
「うちらものみたいわ」カレンちゃんが言い出した。
マットが希望者に枡を配り注いで回った。
「TOMOはんは のましまへんやろ?」
「うーん そんなおいしいのなら なめてみようかな。マット、小さな杯ある?」
マットが持ってきたさかずきを手に持ち
「2mlね。あっあっもういいわ」
「なんか 水薬飲む見たいやね。おかん」
「うーん、酒だわ。でもべとべとしてないで 飲みやすいかも」
「TOMOさんにほめられたんなら 僕も持ってきたかいがありました。」
そのときワサビが 生湯葉の巻揚げとふきのあんかけを持ってきた。マットの作った豆腐の豆乳から取った 湯葉である。とろみのある薄口しょうゆのあんが上品な一品である。

[3424] ワサビ 修業の成果 投稿者:TOMO 投稿日:2004/01/17(Sat) 20:49 [返信]

エラリーがつけばらいで働くようになってから今まで
の修業の成果を、まさよしさんとチビは他のみんなよりていねいにはしで切り、口に運んだ。
「ワサビ、こんなおいしいものを作れるようになったなんて…大将の日々の指導のおかげですー。ワサビ、がんばったなー、大将、ありがとう!」
まさよしさんは酔いの勢いも手伝い、今にも感涙を流さんばかりの勢いでワサビとマットに握手を求めた。
「お、おとん、おおきに」
「まさよしさん、わいはたいしたことしてへん、これはワサビの日々のがんばりの成果やで」
2匹ともちょっと引き気味になりながらも握手を受けた。
そこにエラリーが、
「わいのおかげもあるやんか」
とチャチャを入れて、睦美に
「それはただ単にあんたが飲みすぎてつけためたからでしょ」
とつぶされ、一言も返せなくなった。
チビもとてもおいしかったようで、
「あんた、最高!これ、うちでも作って!」
とワサビのほっぺにキスをした。
辺りはいい具合にできあがった酔っ払いばかりなので(?)やかましいぐらいに冷やかしの声が上がる。イグサとGONまでもが料理ともどもよほど気に入ったみたいで、
「うまーい!君の瞳にかんぱーい!」
とワサビに向けて乾杯した。

[3425] 水晶 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/17(Sat) 23:58 [返信]

「エラリー あとはお前だけやで」
とハリーに言われたエラリー
「なにがでっか」だいぶ酔いがまわってきた様子だ
「あほやな うりゅりゅかてがんばったんや。カレンちゃん
かわいそうやんか。」
きょうのカレンちゃんは 純白の布地に溶け込むように紫が入っている上品なドレスだ。
「白やで、白、白雪とか白銀とかうまいこと言うんや」
とハリーから耳打ちされて
「カレンちゃん・・・」と立ち上がったが どうもふらついている。
「なに?」とカレンちゃんに見つめられたエラリーとたんに
平常心が失われてしまった。
「カ、カレンちゃんのその服な、その、白くて、白、白熊みたいや、や、し白熊ゆうても、北極も白いやんか、雪なんかふってな、北極の白熊は目と鼻しか見えへんな。そこだけ黒いなんて、はははは」
「えっ?」
「やっ、ち ちがうねん、そう白いといえば 豆腐とか大根やな。そうや今日のその服な、おろし大根みたいに白くて
ええで」
「・・・・・」
「もうやめ、エラリーには無理や」とあゆみに言われてしまったエラリーはかなりしょげてしまった。
「まあ、ええやろ、エラリーのよいとこは かれんちゃんかてよう知ってるはずや」
Haitamanさんがとりなしてくれた。
「そうや、エラリーは迷探偵が看板やんか。そや、忘れるところやった。エラリー、ちょっと相談のってくれへん?」
と奈々子がエラリーの方を向き直った。
「なんや そうだんって」
エラリーはまだ立ち直れないでいた。
ちょうど カ二すきなべはほとんど食べつくされてきたので
マットが引き取り 雑炊に作り直してくれるようだ。
その間を繕うように うど、にんじん、インゲンなどを、丁寧にすり鉢ですった滑らかな豆腐であえた豆腐の白和えが出てきた。
「うちのおかん、知っとるやろ。」
奈々子のおかんはブティックを経営している北川春奈である。
「ああ、あのけっこうがめつそうな。」
「がめついは よけいや。でもな やっぱ商売やっとるから
縁起物とか、占いとか好きなんやけど・・・」
「この前、未来がわかるとか言われて 水晶の玉こうたんや」
「なにから 買うたんですか」とまさよしさんがきいた
「ほら、女性雑誌とかの通信販売です」
「ああ、ああいうのはインチキが多いで」
「そうですとも」とジュラが真っ赤な顔をさらに赤くして言った。
「やせる薬とか 3日で何キロやせるとかのってるのなんか
ちーとも ききませんよ」
「ジュラさん そんなの試したことあるんですか?」
「危ないなー、この前そんな漢方薬で劇症肝炎になって死んだ人いたでしょ。」
「話をもどしましょう」
「そのな 通販で送られてきた 水晶の玉っていうのぜんぜん未来なんて見えないんや」
「そなの当たり前やんか。」
「まあ、おかんもそこまで あほやないから、きれいな置物のつもりで買うたんやと思うけど、それでも水晶ゆうたから
買うたんやろ。それが水晶かどうか怪しいと思いはじめたんや」
「なんか そんな気配あるんか」
「わからないから 困るんや。本物かも知れんし」
「もしガラス玉やったら、クリーニングとか・・・」
「クーリングオフでしょ」
「さすが睦美はんや、おおきに。それに出して金かえして
もらうつもりや 言うてんのやが、エラリー水晶かガラスか
わからへん?」
「割って見たらどうや。水晶やったら6角形にわれるわ」
「返すかも知れないのよ。何も壊したり削ったり汚したりしないで調べたいのや。うまくわかったらな、おかんエラリーに 礼金出すゆうてたよ」
「ほんまか」
エラリーは身を乗り出した。

[3437] アルキメデスの原理 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/19(Mon) 00:23 [返信]

「エラリー できるのか?」
ハリーが心配そうに聞いた。
エラリーにしては珍しく答えがなく、考え込んでいる。
まさよしさんが身を乗り出して 言った。
「ガラスと水晶ですか? 比重でしょうか、ガラスは2.5で計算しておりますが水晶は違うのかな?」
Haitamanさんも酔っ払った 頭をふりながら考えを披露する。
「ガラスは2.6前後か。クリスタルガラスは3.0程。
比重では難しいんやないか。
「偏向グラスとかつかえないんですか」
と神谷が聞いた。
「直角にクロスさせた偏光板の間に玉を置いて、
偏光板の後ろから明るい方を見ると、同心円の模様が見えたら本物という話あるなあ。
ガラスは円の模様が見えないそうや。」
「ほんま?、なんかそれで未来とか見えへんの?水晶のほうだけが」
あゆみがなんだかわからないという顔をしている。
TOMOさんが酔い覚ましの冷たい プーアール茶を飲みながら
思いついたように言った。
「あの、ほらギリシアだかローマだか、その辺は定かではないですけど、金の冠が純金製かどうか調べるのに、冠と同じ重さの純金の塊を用意して、この二つを水をいっぱいに入れた水槽に沈め、あふれた水の残りで調べた、って話があったような。
これ、使えないでしょうか。」
NOBUさんも討論に加わった。
「アルキメデスの原理の発見裏話みたいなやつですね。王さんに依頼されたアルキメデスが風呂でその方法を発見して、町中をすっぽんぽんで走り回ったっていう。」
「アルキメデスの原理やな。人間を沈めると、真の体脂肪率が出るとか。」
「体脂肪率30%を超えると肥満なんですかね。皮下脂肪より内臓脂肪が問題だとか・・・それでわかるのか・・」
ジュラは今の問題より 微妙にずれたところに問題意識を持っているようである。
「アルキメデスってなんや?」とGONが聞いた。
「歩き目です。ヶヶヶ」イグサが答えた。
「それじゃ 鬼太郎の目玉の親父やんか」
「水晶にはちょっとしんどいかな。ガラスで全く同じ比重のものは、作れるな。
工業ダイアモンドとか合成水晶は盛んに作られてるやろ。
水晶玉は、本物の結晶で出来たものが多いとか。」
皆 けんけんがくがくである。しかし酔っ払っていながらも
これだけの話ができるのは驚異的だ。
「みなはん 熱くなってまんな。雑炊できましたで。」
なべの汁は きれいに濾されてうまみエキスだけを残し
透明な雑炊の汁になっていた。細かいカニの身が入った
カニ雑炊で 三つ葉が散らしてある。
「ありがたい。なんか頭使って 血糖値さがったみたいや
 こりゃ うまそうや」
とりあえず 議論はお預けで雑炊が 皆に配られた。
マットが漬けた 沢庵や白菜の漬物が添えられている。
「わー この漬物、マットのおっちゃんつけたんか。
熱い雑炊と ぱりぱりの冷たい漬物 おいしいわ」
ちびが 感激したように言った。

「それやな・・・Haitamanのおっちゃん、ちび サンキューや」
エラリーは こんなおいしい雑炊を手もつけずにつぶやいた
「エラリー 大丈夫?」
睦美は いつもはエラリーに突っ込みを入れるのだが、さすが 自慢のイグアナエラリーがかわいいので、心配顔である。
「おかん、わかったで。おかんにも手伝ってもらうで。
カレンちゃん、頼みがあるんや。」
「なに?」
カレンは内心エラリーが 奈々子の答えを出せるかどうか
どきどきしながら エラリーを見つめていたのだ。
「カレンちゃんのじいさん(保阪氏)宝石屋かなんかに知り合いおるやろ?」
「ええ、おばあさまが1ヶ月に1度くらいお屋敷に 宝石屋さん呼んでらっしゃるから」
「その宝石屋にたのんで、本当に本物の水晶の玉とガラスの水晶の玉を用意してもらえないやろか。ちょっと借りたいんや。できれば同じ大きさの」
「ええよ。すぐママにメール送っとくわ。あっそれよりも
睦美はん、直接ママに話してくれはる?」
「わかったわ、ちょっと出てくる」
睦美がコートをつかんで、店を出た。
「わるいな、ここは人間の携帯は圏外やねん」マットがすまなそうに言った。
睦美は 横丁まで走ったのだ。しばらくして息をはずませて帰ってきた。
「OKよ、ちょうど保阪氏がそばにいてすぐ話がついたわ。
この前お世話になった御礼とかで、保阪氏の友達にちょうどぴったりの持ってる人がいるらしく借りてくれるって」
「睦美はん、さむかったやろ。雑炊温めたから食べへん」
ちびが すすめてくれた。
「ほなら 奈々子のうちにあさってごろでええか」
「ええで。クリーニングの期間内や」
「クーリング オフ」
「奈々子んちに集合やな」
「ねえ そろそろデザートえやろ?」
「わー そうやわ、ワサビさん出してください」
さりゃりゃが子供のように手をたたいて言った。

[3444] デパ地下ケーキ 投稿者:TOMO 投稿日:2004/01/20(Tue) 18:28 [返信]

ワサビが冷蔵庫からケーキの箱を持ってきて、みんなの前で開けると、ベーシックないちごショートやモンブランに始まり、抹茶や紅茶のシフォン、ブルーベリーソースのかかっレアチーズケーキ、チョコレートケーキなど色とりどりのケーキが並んでいた。
「どーお?おいしそうでしょ!」
買ってきたメスイグ連を代表して(?)あゆみが胸を張った。
「君たちみたいにかわいいケーキだね。食べるのがもったいないよ」
ハリーが言うと、イグサとGONが
「ハリーにいちゃん食べないのか?もったいなーい!」
「それならぼくたちが2個食べちゃうぞ!」
と騒ぎだし、ジュラさんとNOBUさんに
「おとなしくしなきゃケーキあたらないんだからね!」
「こらGON、ひとり1個ずつだぞ!」
としかられて、ちょっとシュンとしていた。

[3460] デパ地下ケーキ 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/23(Fri) 16:02 [返信]

> ハリーが言うと、イグサとGONが
> 「ハリーにいちゃん食べないのか?もったいなーい!」
> 「それならぼくたちが2個食べちゃうぞ!」
> と騒ぎだし、ジュラさんとNOBUさんに
> 「おとなしくしなきゃケーキあたらないんだからね!」
> 「こらGON、ひとり1個ずつだぞ!」
> としかられて、ちょっとシュンとしていた。

「食べてええよ。まず小ちゃい子からえらんで」とチビがニコニコしながらいった。
真っ先にイグサがイチゴショートをとろうとしたとき、
「あっ それワイの好物やなー、あっ悪い、悪い、とってもええよ」とエラリーが言ったのでイグサは手を引っ込めてしまった。
今度はGONがブルーベリーケーキを取ろうとしたら
「まあ、ブルーベリーはええなー、Haitamanのおっちゃん
それ好きやで」と横槍がはいったので、GONも手をひっこめてもじもじしている。またイグサが今度はチョコレートケーキを取ろうとしたら
「おおおお、わいなチョコケーキも好みやなー・・・」
とエラリーがまたいうと、
「ええ加減にせいよ、その1人と1匹、あんたら1番あとや」と奈々子に怒鳴られてしまった。

やっと イグサもGONも自分の好きなケーキをとり めいめい自分好みのケーキを取ると最後に4個残った。
「ほら、Haitamanのおっちゃん、残り物には福ですねん。
わいら2個たべられるってことや。」
とエラリーはホクホクして言うと
「ええ歳して、さっきGONがNOBUさんにしかられたやんか、
2個とるなって、それはマットのおっちゃんとワサビの分や。大将、ワサビ選んでや」とあゆみが言った
「えっわたしらの分まで気を使っていただいたんですか。えろうすんまへんな。」
「すんまへん、ほな いただかせてもらいます」
と皆の分のお茶を配りながら言った。
「よっしゃ、今度こそワイらや、なにが残ってんのや。」
残ってたのは 洋酒がたっぷり使ってある洋梨のケーキと・・・これはHaitamanさんがとった。
「なんやこれ」
「ああ、おもろそうやから選んだんや」という
イチゴ大福の抹茶ロールケーキモンブランという代物で、抹茶のロールケーキの中にクリームとイチゴ大福が巻き込んであって上にモンブランのクリームが乗っているものである。
「なんや、けったいやなー、でもまあええか・・」
とその時
ガラっとドアがあいた。
「マット!」
駆け込んできたのは冬彦くんである。
「今日もごくろうさん。一緒に帰ろう。それに頼みがあるんだ。あっケーキだ。」
「冬彦さん ケーキたべません?」
と睦美がいった。
「いいんですか。でもエラリーが・・・」
「おかーん、それワイのや」エラリーに泣きがはいった。
「エラリー、私の半分あげるから、泣かないの。それに最初にイグサくんとGONくんをからかった ばちよ。」
「エラリー、僕のも半分やるよ」と神谷もいった。
睦美が自分のフォークでフルーツケーキを半分にして、エラリーのさらに乗せると、神谷が
「むっちゃん 僕のも半分に切ってくれる。あっそのフォークでいいよ」と言った。それを聞いた睦美は赤くなってしまった。
「なんやおかん、急に酔いが回ったんか」
睦美が神谷のベークドチーズケーキを皿にとった。
「エラリー君、君は居酒屋のキューピットだねえ」と
ハリーが言ったのだが
「なにいってんのや、キューピーって、わいそんなに腹ふくれてないで」
と口をケーキでいっぱいにしながら食べているエラリーにはなんのことかさっぱりわかってないようである。
「冬彦はん、頼みってなんですやろ」
超特大のケーキを食べながら冬彦が言った。
「ラグビー部の新年会の会場引き受けてくれない?
マットも知ってるけど、うちの学校のラグビー部はまだ弱いけど、夢は花園出場なんだ。」
「花園?冬彦はんも ハリーみたいなこと言うんか」
「エラリーは黙ってたべてなさい」
「それで、今年もがんばるから新年会みたいのやろうという
話になって 僕マットのこと自慢したんだよ。」
「はあ、それでここで」
「うん、もちろんアルコール抜きで・・」
「それじゃ 詰まんないぞ」
「エラリー!、みんな高校生や。あんたとちがうで」
「ええですよ、冬彦はんのお役にたてるのなら、うれしいです」
「えっじゃあ、いいんだ。ありがとうマット。今度の金曜日練習終わったら くるから」
「何人なんです?」
「20人」
「・・・・」
「多かった?」
「ええです。大丈夫です。」
「大丈夫や、冬彦はん。マットエラリーが手伝うわ」
「なんでワイが手伝うんや」
「ええやろ、エラリーなれとるやないの。私も手伝いにくるわ」とカレンちゃんがいった。
「なんや、カレンちゃんも来るんか。ええで。マットてつだってやるわい」

[3465] クリーニング(By.奈々子) 投稿者:TOMO 投稿日:2004/01/25(Sun) 03:53 [返信]

マットとワサビが出してくれたおいしい煎茶を飲んで、今日は散会となった。
今日はイグサとGONも起きていて片付けに参加している。むしろ、酔い潰れている大人たちに比べて動きがいいくらいだ。
「エラリー、あさってうち来てくれるんよね?」
「おうよ」
「大丈夫なん?」
「この名探偵エラリー様にまかしときや。カレンちゃんも頼んだで」
「まかしとき」
するとそこへ皿を洗っていた冬彦が
「何かおもしろいことでもやるの?」
とささってきた。
マットが
「奈々子さんのおかんが買った水晶玉が本物かどうか、エラリーはんが調べるそうですよ」
と教えると、
「へえ、それおもしろそうだね。僕も行っていいかい?ねえ、マットも行こうよ」
と、冬彦も見に行くことにして、マットに話を振った。
「へえ、ならわいもついて行きまっか」
そんな感じで頭数がいるおかげでサクサクと片付けも進み、あさって奈々子の家に行くメンバーも決まった。
「今日もみなさんが手伝ってくれはったからはよう片付けが終わりましたわ」
そしてみんながめいめいの勘定を払った。バイト代をもらってホクホクしていたエラリーはというと、つけ働きはまぬがれたがほとんど飲んで使ってしまったのだった。

そして、二日後、奈々子との約束の日がやってきた。

[3469] 直感勝負 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/25(Sun) 16:58 [返信]

今日は日曜日、まだ午前中であるがマットの店にエラリーと
睦美そして神谷がいた。
「本来なら、わいが名探偵なんやで。けど横丁の向こうに行くと わいらの言葉通じへんやんか。
だから 臆病なにいちゃんのワトソン君に 話を通じさせてもらわなならんから、きてもらったんや。」
「わかった。多分いい助手になれると思うよ。それで・・」
「こうなって、ああなって ええか ここが肝心なとこやで
、でおかんがこうするんや」
「なるほど、すばらしい。見た目は胡散臭いけど、理論にあってる。僕好きだな、こういうの。
この実験がうまくゆくといいね」
「実験て言うほどやないけどな」
「だけど、私がやるんでしょ。できなかったらどうしよう。
神谷先輩じゃあだめなの?エラリー。」
「今日カレンちゃんと由衣はんもくるんやろ。なら2人でやってもらうで。男より女の直感のほうがええんや」
「それじゃこの偏向グラスはどうするんだい」
「そういうのは ワトソン君のほうが得意やろ。ワイはそういうのは苦手や。わいは直感勝負のイグアナなんや」
「ほんと?宝くじも当たらないし、テレビで競馬みたって
勝ち馬当てたことないし、この前あんたが イグアナカードが当たるって言ったチョコレートもはずれだったじゃない」
「あれは、おかんの欲がワイの勘を曇らせたんや」
「まあまあ、それじゃ行くか」
「じゃあエラリー、私のコートの中に入って。あったかいから」
「おっエラリーいいな」
「えっ!?」
「あったかそうで」
「そう・・・」
神谷とエラリーを抱いた 睦美が横丁をまがり大道りにでて
奈々子のうちへ急いだ。

[3473] 判定 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/27(Tue) 00:00 [返信]

「日曜日に集合ゆうてから、ほんの近所かと思ってましたら
東京でしたんか。私は新幹線で京都からきました。TOMOはんたちは稚内から飛行機で来られたんですか」
「えっ、マットの店に集合して、奈々子ちゃんと一緒に横丁まがったら東京でしたよ。それご存知なかったんですか」
『おとん、だからうちが言ったやないの。それなのにうちらをバックに押し込むんやもの。苦しかったで』
「そうだったんですか。だからチビがが嫌がったんやな。
チビ、ワサビ堪忍な。帰りはあんじょう帰るさかい」
「居酒屋で話があったとき、まさよしさんずいぶん酔ってましたからね。そういえばHaitamanさんも千鳥足で帰っていったけど、やっぱり集合時間に来なかったわ。来られるかな。
まあ、新幹線でも東名でも来られるけど時間とお金かかりますからね。」
ここは 東京青山の神宮通りの裏手にあるマンション、北川春奈のブティックの1室である。
「皆さん 遠いところようこそ。私変なのよ。私ね、水晶の玉を買ったんだけど、それが本物かどうか悩んでたら
この奈々子ちゃんがじっと見つめるの。そうしたらエラリーさんに相談してみたら わかるっていう気になってきたのよ変でしょ。イグアナに相談するなんて。」
『私がメール飛ばしたんよ』
「でも はたと思い当たったんですよ。これはあの ほら
あなた あのときの あの時は本当にこわかったわねえ。
私も殺されるとこだったのよ、あのぼさぼさ髪だけど事件なんか解決してくれた そうそう神谷さんて言うのね。
その人の相談することだなと思って。それなのにこんなに
たくさんイグアナさんが集まって、いえいえ 私イグアナ大好きでしょ、迷惑なんてことちっともありませんのよ・・」
春奈は放っておけば、何時間でも1人でしゃべりそうだったが、そのとき当の神谷、睦美、エラリー、そしてHaitamanさんとバジルが入ってきた。
「師匠、どのようにして来はりました?」
「新幹線の京都駅までいったんやけどのお、マットの店にまだ確か、あの秋田のうまい酒が残っとるんやないかと思って
行ってみたんや。そしたら神谷はんらの後ろ姿がみえたから後追いかけたら、東京やった。」
『おとん、おかんからもらった交通費、ちゃんとかえすんやで。銀座あたりで飲んだらあかんで』 
「あの酒は 私が最後飲んでしまいました。」
とNOBUさんが言った。
「なんや そうやったのか。記憶があやしかったが、確か飲みきらんうちにケーキが出てきたと思ったんや。そやエラリーがケーキ食べられへんかったんやなー」
『くだらんことばかり覚えておるな、あのおっちゃん。しかし飲み残しの酒のことだけは忘れへんなんて 酔っ払いの頭の構造は微妙や』

「さて皆さん、おそろいですか。由衣さんそれじゃ 出してください。」
由衣が 大事そうに抱えていたバッグの中のケースをあけると、2つの玉が出てきた。
どちらも透明で、曇りがなく美しい。
テーブルの上にはすでに 春奈が所有している水晶といわれる玉がビロードのクッションのようなものの上におかれている。皆はその3個の透明な玉を いろいろ覗き込んだが
肉眼的には わからなかった。
Haitamanさんや まさよしさんが手にもってみても重さは変わらない。
「わかりませんね。どのように見分けるのでしょうか。透明度でしょうか」
由衣が言った。
こちらの青いクッションに乗ってるのがクリスタルガラス製で 赤いクッションのほうが 本物の水晶です。
『ねえ、エラリーったら直感勝負だなんてゆうてたけど、勝手にきめるんやないやろな。あみだくじかなんかやって』
と あゆみが水晶をのぞきこむように言った。
『大丈夫よ、エラリー自信ありげだったから』とカレンがいうと
『でも エラリーさん 酒に酔うと気が大きくなるからなー』とうりゅりゅが心配げに言った。
『気がおおきくなるのは おにいちゃんもいっしょやねん
この前、おかんの留守にマットはんの店に1人で行って 酔って帰ってきてなべみんなひっくりかえしてたやないの。
どれもこれも宇宙船やないなんてゆうて。わいは アダムスキーうりゅりゅやなんてわけのわからんことゆうて』

「それでは皆さん、実験者に睦美さんになってもらいます。
彼女には目隠しをしてもらいます。いいですか。では最初はわかってる2つの玉で実験です。」
しっかり目隠しをしている睦美の前に2つの玉が置かれた。左右どちらが本物か睦美にはわからない。

「それじゃ 判定してください。」
睦美は玉を軽く触った。そしてこちらが本物です、と正しい方を指指した。
皆 一斉に声を上げた。
「当たってたんですね。よかった」睦美本人もうれしそうである。
2回目、玉の位置をかえた。精神統一をするように少し時間を置いてまた玉に手を触れた睦美が指差したのは やはり本物の水晶だった。

[3477] 本物 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/27(Tue) 15:55 [返信]

「それじゃ、3回目の実験いくよ。」と神谷は睦美に声をかけると、指を口にあて皆に静かにするように合図してから
今度は 春奈の持っている玉と ガラスの玉を並べた。
それを知らない睦美は まだ実験段階だと思っているので気楽な顔をしている。しかし両手をくんで祈るような格好をしている。
『睦美はん、なんか新興宗教にでもはいったんやろか。本物の水晶をぴたりとあてるとかいう』
とワサビがため息をついていうと
『ほんまや、ユリゲラーか、貞子やで』とハリーも言った。
GONといぐさは
『なんかトリックがあるんやないか。わいらがしっかり見てるで』とテーブルの上に乗っかってみていたが、
『ははは・・・いぐさ変な顔。鼻の穴がでっけー』と水晶の反対側からイグサの顔を見たGONが言った。
『GONこそ鼻の下ながいぞー目もデッケー』2人はレンズ状態になった球体で遊びはじめて NOBUさんとジュラにつまみ上げられ
「あんたら、寒いでしょ」と手の平に入れられてしまったので
『ここじゃ見えへーん』とさわいでいる。

「それじゃムッちゃん、今度は?」と神谷が声をかけた。
睦は手の平で玉を触ると
「こっちが水晶」と春奈の玉を指差した。
皆から、どよめきとも戸惑いともいえぬ声が上がった。
神谷はそれをせいし、
「それじゃムッちゃん最後の実験だ」
と今度は水晶と春奈の玉を並べた。
同じように聞くと 
「えっ、ちょっとわからない。こっちかな、いや、もう一度触っていい?」
「いいよ」
「あれ、ますますわからない。どうしよう。感が鈍ったのかな。もう1度・・・」
「もういいよ。終わりだ」と神谷がいって目隠しをとった睦美、
「あれ、春奈さんの玉だったの。じゃあわからなかったってこと」と心配そうに聞いた。
「いや、十分だ」
「念のために由衣さんにも やってもらおう」
「えろうすんまへん。私はできないんですか?」とまさよしさんがおずおず聞いてきた。
『できるはずやけど、まさよしのおっちゃん感がにぶいんとちゃうか』
「あれ、今なにかひどくばかにされたような・・・」
『おとんじゃなくて、うちはでけへんの?エラリー』とチビが聞いた。
『イグアナはちょっと無理やな。この部屋は今人間に快適な25度ぐらいにしておるやろ。ちょっときついな』
神谷からあらかじめ言われていて、イグ飼いは皆コートの中に自分のイグアナを抱いている。
「由衣さんが終わったら種明かししますから、そしたらやってください。それじゃ由衣さん 先ほど打ち合わせしたように」
由衣はうなずくと、目隠しをして、テーブルの前に座った。
「それじゃ実験を始めます」といって神谷ははじめから 春奈の玉とガラスを並べた。
「はい、どうぞ」という声に由衣が指さしたのは、やはり春奈の玉だった。その後実験と本番を繰り返したが、やはり
わからなくなるのは 水晶と春奈の玉を並べたときだった。

「まあ、何ででしょう。不思議だわ。それでどういう結果だったの。」春奈が狐につままれたような顔で聞いた。
「春奈さんの玉は 本物の可能性が高いですね。もちろん1100%とはいえませんが、あとで偏向レンズを使ってもう一度
試してみます。でもほんものと考えていいんじゃないんですか」
「ええ・・・、ありがたいことですけど・・・」春奈だけでなく みな浮かない顔をしている。
「あの・・説明してもらえます?TOMOさんが口を開いた。
『どや、みたか ワイのアイデアやで』

[3482] おいしい話 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/28(Wed) 18:53 [返信]

「皆さん、同じ室温の中においてある、金属と木などを触ったとき金属のほうが冷たく感じませんか。
あれは金属のほうが温度が低いのではなく、人体の熱をすばやく伝えてしまうので 冷たく感じるのです。」
「だから木のぬくもりっていうの?」
とさりゃりゃがあどけなく聞いた。
「そうかも、金属はなぜ熱伝道がよいかというと結晶構造を持ってるからです。熱というのは分子を振動させながら伝わるので、規則正しく並んでるほうが伝わりやすいのですね。さて水晶とガラスでは水晶は結晶構造を持っていますが、ガラスは非結晶です。」
『そうやだから水晶を割ると6角形の割面がでるんや。わいはだから ぶち割ればすぐわかるゆうたんや』
「それで、触ったとき熱をすばやく奪う、すなわち冷たく感じるほうが 水晶だという結果なのです。」
「そうなのだから、実験の間を空けて、手を組んだりして同じ温度になるようにしてたんです。」と睦美が言った。
「でも結構難しかったわ。一瞬の判断だから」
と由衣が言った。
「そうだね、長く触ってるとわからなくなるし、むっちゃんや由衣さんみたいに繊細な指先じゃないと」
「それでわかりました。私じゃむりかも知れませんね」
とまさよしさんが 残念そうに言った。
「そんなことありませんよ。実験してみます?」
「はい、この機会逃がしたら私の周りには水晶らしきものが
ありませんから」
まさよしさんは 自分から目隠しをすると実験を開始した・
「一瞬の判断ですよ。いいですか」
「・・・おお、わかりました。こちらです。ガラスは生ぬるい感じがするけど水晶は冷っとします。これが宝石の持つ魅力のひとつなんでしょうか」
『そやな、冷たく研ぎ澄まされた宝石、君のこころは宝石のようだ。僕の情熱をすべて奪い去ってしまう・・・』
『ハリーなにそこで ごちゃごちゃいってんの』とあゆみにいわれた。
『まあ、そやな 玉は冷たいほうがええんや』
とエラリーがボソっと言った。
「えっ何か言いました?先輩」
「いや、なにも」
「まあ、まあ、こんなかんたんなことでわかるのね。感激だわ。それでこれを考えたのがエラリーさんなの?奈々ちゃん
そうね、ちゃんとお礼しなければ。ちょっと待ててね」
と春奈は奥に消えた。
『悪いなー、探偵料、10万ほどでええで。』
『エラリーの兄ちゃん かっこええな。鶏の兄ちゃんが助手なんか?』イグサが尊敬したように言った
『そや、ワトソンくんや』
『じゃあ、僕 小林少年になってええ?』とイグサがいうと
『僕も少年探偵団に入りたい』とGONも言った。
『ええで、ええで、少年探偵団の諸君』とエラリーがふんぞり返ったところへ、春奈がダンボール箱を抱えて戻ってきた。
「はい、えらりーさん お礼ですよ」
その中には、モロヘイヤ、青梗菜、小松菜。かぼちゃ、その他のみずみずしい野菜がたくさん入っていた。
『何やて、10万円やないのか。奈々子おまえ おいしい話ゆうたやないか』
『だから、おいしい話やないの』

[3492] それでは! 投稿者:ジュラ 投稿日:2004/01/31(Sat) 14:54 [返信]

『だからおいしいはなし、ゆうたやないの』
睦美はそれを見て大喜び。
「わあ、春奈さんすみません。うれしいわ。エラリーにかわってお礼します。」
「まあ。これで めでたしめでたしや。さあ今日は 祝杯といくか!」
『なにが めでたしや。Haitamanのおっちゃん。何でもええから、かこつけて飲みたかっただけやないのか』
『なに、いじけてんのや エラリー、みんなエラリーのこと見直してるんやで、うちも同じやで、エラリーのこと改めてみなおしたで』とカレンに言われたとたんデレデレになったエラリー
『そおか?ほならその野菜皆でたべよか。マットの大将今日店ええか?』
『今日は店休みで 仕込みしてませんが、ええですで。ワサビ手伝どうてくれるか?』
『へい。大将』
「ほな、イグアナたちも話 まとまったようやな」
「へえ、Haitamanさんイグの話、わかりますの?」と春奈が目を丸くした。
「まあ。10年以上もいっしょに生活しとりゃ、なんとなくつうじますわ」
「春奈さんは居酒屋マトリックス初めてですか?あそこへ行けば 奈々ちゃんとおしゃべりできますよ」
とTOMOが教えた。
「まあ、まあ、まあ、まあ、なんということ。奈々ちゃんとおしゃべりできるんですって・・・」
『おかん、きっと春奈のおばちゃん1日中 しゃべりまくるで』とうりゅりゅが言った。

さて それから睦美のバッグから顔を出したエラリーを先頭に バジちゃんを抱えたHaitamanさんをはじめ、チビを懐にいれワサビをバッグにいれたまさよしさん、さりゃりゃちゃんを抱いたTOMOさん、毛皮のコートに包まれた奈々子と春奈ん、体のでかい冬彦とマット この組はあゆみもいっしょ、何度コートとシャツの間に入れようとしても、出てくるGONとNOBUさん、手作りイグキャリーに入ったカレンちゃんと由衣さん、ジュラにおぶさってケープをかぶせてもらっているイグサそしてジュラはうりゅりゅを抱いている(ごめんTOMOさん久しぶりに大きなイグ抱きたかったんです)、そしてそして、お互いにどうもしっくりいってない感じなのだが必死の面持ちのハリーと神谷の 妙な団体が 小躍りしながら
東京青山の大通りを進んで行った。

道行く人たちは「なに、あれ、新しいドッキリかしら。どっかにテレビカメラあるかも」などと一瞬は怪訝な顔をして立ち止まるのだが、奇異なことが日常の若者の街ファッション ストリート青山のこと、その一団が横丁を曲がると次々消えていくことなど誰も皆注意など払っていなかった。
      終わり


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