270 居酒屋マトリックス by ジュラ and TOMO


[3192] 居酒屋マトリックス 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/09(Tue) 14:00
木枯らしに枯葉がカラカラと音を立てて舞う、この季節
繁華街から少し離れた路地裏に 一軒の居酒屋があった。
街のネオンがきらめくころ、その居酒屋の赤提灯にも灯がともる。
「居酒屋マトリックス」
常連さんもふりの客も 人もイグアナもともに集う不思議な居酒屋である。
おやじ、マトリックスの年季を経たイグ柄が 疲れた体乾いた心を癒してくれる、そんな居酒屋でもある。

ガラガラと 戸が開き縄のれんをくぐって最初の客がやってきた。
「へい、らっしゃい!今日はえろーお早いでんな、Haitaman
さん。ワサビ、お通しと・・・いつものでええですかいな?」
タンポポの和え物と モロヘイヤ酒がカウンターに出された。
「新しい子 入れたんか?」
「ワサビいいます。かわいそうな身の上やったんですが、最近ええ人に養子にもろうてもろて、今はしあわせなんやな」
「ワサビです。よろしくお願いします。」
「よう働いて、親孝行せえよ」
「Haitamanさん 今日は栗かぼちゃの煮物と小松菜のおひたしが旬でおいしいでっせ。あと 活きのいい 豆腐の串焼きもできまっせ。何にしまひょ!」
「そやな、栗かぼちゃとあとは適当にみつくろうてくれ」
「へい」
そのとき また戸が開いて 1匹のイグアナが疲れた足取りで入ってきた。
「おっさん 水」
「なんや エラリーやんか。どないした。不景気な顔しよって」
と水を手渡すと、一息で飲むエラリー
「もう メスなんて信用できへんな。メスよりもあの臆病な兄ちゃんの方が、誠実ってもんや。
わいはもうオスの友情一筋でいくよってに。
でも その友情にもひびが入ったかもしれへんなー・・・」
「何かとおもうたら、エラリー メスを信用できへんなんて
ゆうたらあかんで。おかんもメスやないか。
まあ ゆっくりしてき。好物の枝豆でも食べて・・・」
そんな時 また暖簾がゆれた。

***こんな感じの物語でしょうか。TOMOさん 続きお願いします。マットは「つけやて!・・・」と口ではきついこと
言うけど、なんだかんだとHaitamanさんなんかにつけをさせているような気がします。Haitamanさんもつけをする口実うまかったりして(^,^***

[3193] エラリー、動揺 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/09(Tue) 17:35

のれんを揺らして入ってきたのは、カレン、あゆみ、菜々子のメス3イグ組だった。
「へいらっしゃい!カレンちゃん、エラリーがさっきから
水でくだ巻いとるで。メスなんか信用できんゆうて」
「わああ、おっさん余計なこと言うなー!」
大好物の枝豆をつまみに、背中を丸め、水でくだを巻いて
いたエラリーがカレンの名を聞いて、がばっと身を起こした。
「カカカレンちゃん、何でここにおるねん!?」
「何ででもええやないの。こないだハリーからマットのおっちゃんの店においしいブルーベリー酒が入ったって聞いて来てみたんよ」
「ハリーって、カレンちゃんハリーとつき合っとるんか?こないだだってカフェで仲ようしゃべっとったし」
事情を聞くと、カレンはエラリーとのことでエラリーと仲のいいハリーに相談していたらしい。それを聞いたエラリーの顔色がぱっと明るくなった。
「ほんま!?」
「ほんまよー」
照れくさそうにカレンが言うと、エラリーはさっきまでマトリックス相手にくどいてたのが嘘だったように明るくなり、
「おっさん、ブルーベリー酒4つ!」
途端に太っ腹になり、自分だけじゃなく、カレンたちメスイグの分もブルーベリー酒を注文した。それを見て
「大将、エラリーさんさっきまでと全然違う…」
とワサビがぼそっとつぶやき、マトリックスにしーっ、
とされた。

[3201] Re:[3199] [3193] エラリー、動揺 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/09(Tue) 22:39

> > 「おっさん、ブルーベリー酒4つ!」
> 5つや・・・Haitamanにもおごってくれよ。
>
その声にエラリーが振り向くと、常連のおっちゃんがモロヘイヤ酒のグラスを片手にもう片方の手を上げている。
「Haitamanのおっさん、おったんか」
「おったんかはごあいさつやな」
「すまんすまん、マトリックスのおっさん、Haitamanのおっさんにもブルーベリー酒、わいのおごりで」
なにせエラリーは
「おっさん、水」
と入ってきてからずっと周りが見えていない状況だったのだ。

[3203] そこの横丁曲がって・・・ 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/10(Wed) 16:15

「キャー Haitamanさんて あのHaitamanさん?」
とあゆみが言った。
「そや、あのアル中の・・・」とエラリーが言いかけカレンに尻尾をふまれた。
「うにゃ、あのイグアナ界の雄といわれてる」と言い直した「イグアナのオス?ソレにしては人間に似とるな。まあええわ。かっわいい!!」
「これこれ、まったく今の若い娘は だれでもかわいいで
済ましてしまうよって。」マットはH氏に軽く会釈した。
「ええんや、ええんや。みんなエラリーの友達か。ほな 乾杯や。」「かんぱーい」
「わっわいのおごりやで、かんぱーい」
「クッーー、うまいがな。大将ええ酒や。もう1杯!」
「おおきに、夏に茨城に行って摘んできた実で漬けたんですわ。」と言いながら酒をつぐ。
「どんどんついでや。エラリーのおごりや」
「えーー、Haitamanのおっちゃん、むちゃくちゃや・・・睦美おかんにつけたろ」

そんな時 勝手口のドアがそっと開いておばちゃんが 顔をのぞかせた。
「マットちゃん、白菜とジャガイモ持ってきたんだけど」
「なんや ジュラのおばちゃんやないか。入ってや」
「うちの近所は 白菜の産地でたくさんできたから・・使うかなと思って」
おばちゃんと一緒にチビがちょろちょろ付いて入ってきた。
「ジュラのおばちゃん、この子がイグサ君か?」
「そうなの、夜だから寝てなさいっていってもついてくるって聞かないから・・・」
「いつも 夜更かしさせてんのおかんじゃないかー」
いかにも 腕白坊主といった感じの子イグである。
「おかーん、ぼくもあんなん飲みたい」とみんなの飲んでる
ブルーベリー酒を指差した。
「これ、すみません。しつけができてなくて・・・」
「ははは、あれはお酒だから、ぼんには違うものあげるで、ま、おばちゃん中にはいって座ってや。」
「すみません。お邪魔します。」
「ジュラさんですか。Haitamanです。えろー遠いところから来はりましたな」
「あっHaitamanさんですか。いつも掲示板ではお世話になってます。こんなところでお目にかかれるとは!うれしいです。」
マトリックスがいった。
「この居酒屋は、日本のどこかにあるんですや。そして日本のどこからでもすぐ来られる。みんなそこの横丁をちょいと曲がってここに来るんや。そこの横丁はどこの街にもあるんやが見つけられる人は 多くはないな。」
「そなら、北海道や東北からも来られるんか?」
奈々子が聞いた。
「そや。稚内にも札幌にも仙台にも広島にも横丁あるで」

[3209] その頃 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/12(Fri) 01:43

横丁を曲がって居酒屋マトリックスへの道をたどる人とイグがもう一組いた。
「今日おかん給料日なんやろ、したらうりゅりゅ、モロヘイヤ酒いっぱい飲みたい!」
「酒もいいけど、ごはんもちゃんと食べるんだよ」
「お兄ちゃん、酒弱いんだもん!よっぱらってからんだりしないでね」
自分をうりゅりゅと言っていたオスイグがぶんぶん、と首を振った。

「ごめんくださーい」
「らっしゃい!TOMOさん、うりゅりゅとさりゃりゃとお揃いかい」
「うん、今日給料日だからふたりに腹一杯モロヘイヤ食べさせてあげたくて。最近近くにお手ごろ価格のモロヘイヤがなくてねー。この子たちもモロヘイヤは久しぶりなんだわ」
そこでTOMOは人間の先客に気づいた。
「あ、えーっと、Haitamanさんと、そっちはジュラさんとちびイグサくん?こんばんは、初めましてー」
「こんばんは、さっきからここにいるエラリーのおごりでここの大将お手製のブルーベリー酒を堪能させてもらっとるところや。TOMOさんもごちそうになったらええ」
「おっさん、誰がお代わりしてええってゆうたん!もう
3杯目やろ!しかも大ジョッキやないか」
いつの間にかエラリーとHaitamanさんはTOMOそっちの
けで酒を巡る不毛な争いを始めていた。
「TOMOさん、うりゅりゅくん、さりゃりゃちゃん、こんばんは。ジュラです。で、こっちがイグサ」
それをおいといて、子イグ連れの女性が自己紹介をす
る。
「こんばんは、お会いできて嬉しいです。夏はブルーベリーありがとうございました。うりゅりゅもさりゃりゃもとっても喜んでました」
「あのブルーベリー、ほんとにおいしかったです。さりゃりゃ、普段はお母さんの手からごはんもらわないんですけど、あれはもらって食べちゃいました」
「さりゃりゃちゃん、そんなに喜んでくれたんだ?」
「はい!」
「おかーん」
そこへ退屈になってきたらしいイグサが口を挟んだ。ちびイグサくんかわいい!とTOMOとさりゃりゃが言うとイグサがぷうっ、とほっぺたをふくらませる。
「ぼく、チビじゃないぞ!」

[3210] 鰊御殿 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/12(Fri) 12:57

精一杯デューラップを広げてアピールしてみたイグサ
「おっ イグサすごいやんか。だけど大将みたいになるのは
まだまだやな」
と ワサビがイカをあぶりながら イグサに声をかけた。
「ははは、マットのおっちゃんみたいになるんはワサビやて まだまだやで。イグサ たんと食べてはよ大きくなり」
マットはニコニコしながら、手早く「モロヘイヤのおからあえ」「かぶの葉っぱの煮びたし」「オオバコのから揚げ」
などを作ると、ワサビが小上がりに運んだ。 

「わー、おいしそう。おかん食べてええ?」
というより早く、もう口に入れているイグサ
「もごもご、うめー、おかんもここで修行したらええで、うぐっ」
「イグサ 落ち着いて食べなさい。もうチビのくせに くちばっかり生意気だから・・・」でもジュラはイグサを見る目がやさしい。
「でも、おいしいなー。和風と洋風とちがうけど、私たちにも参考になるね。おにいちゃん」

「そや、さりゃりゃちゃんたち、ハーブレストラン開くんやて?」
とカレンが聞いた。
「そうや、もう開くとこは きまっとるんや」とうりゅりゅが胸をはった。
「へーどこ?」あゆみも 奈々子も興味しんしんである。
「海岸通りなんです。遠くに街の明かりがキラキラ輝いて
駐車場にはパームツリーが生えていて、サンタフェみたいなおしゃれな感じにしたいなって」
「さりゃりゃは そういうけど にしん御殿みたいのもええでて言ったんや」
「やーん、にしん御殿なんて」
「豪華やんか。そこにおかん座らせてみ、網元のだんなみたいやで。」
「ちょっと、うりゅりゅ 網元のだんなは勘弁してよ」とTOMOが言ったので、みな大笑いになった。
「でも、できたらうちらみんなでいくよって、知らせてね」
「ええ、設計は平田さんに頼もうかと思って。カレンさん
連絡とってくれます?」
「ええで、今うちのママとあつあつやから、何でも注文聞いてくれると思うわ」とカレンはかわいい 片目をつぶって見せた。

[3211] 南帰行 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/12(Fri) 17:01

「へい、Haitamanさん、お待ち」とさっきワサビが焼いていたイカを裂いて、マヨネーズを添えた皿をHaitamanさんの前に置いた。
「ええ イカがはいったんですよ。ワイらは食べしませんが、人間のお客さんには出しとります。」
「堅い物もええなあ。
最近歯茎ぐらぐらせんように、
スルメみたいなもん噛んどりますのや。」
「そうでっしゃろ。これは青森の日本海側の深浦漁港で上がったイカを 日本海の潮風で一夜干しにしたイカでっせ。
五能線ていうてな、海沿いをローカルな単線が走ってますのや。その隣を国道が走ってますけど、それ沿いにイカが干してありますんや。」
マットは遠いところを見つめる目をした。
「こりゃ うまいわ。ええ塩味きいとる。」
「ここらで どうです。薩摩の焼酎は。」
「ええなー。エラリーもどや。体あったまるで。」
「ほなら、わいも もらうわ。」
「・・・このところ焼酎にシフトしたなあ。
何かしらんけど食卓テーブルに、
一粒の麦、さつま小鶴、千亀女、田苑、」
「鶴より亀がええな」
「そういえば、エラリーさん えらく縄文亀にこってましたな」とマットがからかった。
「いや、ワイは最初から犯人わかってたけど、あの臆病な兄ちゃんに花もたせただけや。」
とエラリーは クシュンとくしゃみをした。
「Haitamanさん これ飲んでください」とマットがだした
焼酎のお湯割りを一口のんで
「うまいなー。なんていう銘柄かいな。」
「長雲いいます。米と黒糖を使ったもんですが、黒糖焼酎のなかじゃぬきんでてるとおもいますよ。エラリーさんにはこっちがお勧めかな。」
「ええ香りやなー」
「そうでっしゃろ。宮崎の月の中ちゅうやつですが、ふっくらした芋の香りとは対照的にすっきりした柑橘系の香りがしますやろ。」
「おっちゃん、くわしいなー」
他のメンバーも マットに注目。
「わいも 一度捨てられ 冬彦さんに養子にしてもろたんや。最初の親にでかくなったから飼いきれんいわれ捨てられ
一時はグレて不良のまねしおったんです。
そんな時 グリオさんにあいましたんや。」
「グリオに・・・」突然でた懐かしい名前にH氏はびっくりしたようだ。
「はい、グリオ君も若気の至りで家出したはいいけれど どこにもいけずにいたから、そんじゃ2匹で暖かい南のほうへいってみるかと九州へ行ってきました。鹿児島の開門岳のほうまで行ったんですが、やっぱり家が恋しくなり京都にもどったら警察のご厄介になりました。」
「ああ、そんなこともあったな。」
「ですが、haitamanさんのご一家が血相変えて むかえに来てくれはりましたやろ。グリオくんよろこんでなー
もうどこへも行かんといってましたで。」
「マットのおっさんとグリオは知り合いやったのか。」
「弟分みたいでしたな。死ぬ少し前ですか、ここ来たんですわ。今Haitamanさんが座ってる席に座って、ワイはしあわせなイグアナやってやっぱり その酒飲みながら言ってました。そのときはワイも冬彦さんにラグビーボールみたいにかわいがられてましたから、お互いにいいイグ生やと言ってたんですが」
「そうか、そうか、グリオがそんなに、いい話や。
もういっぱいついでもらおか。エラリーのおごりで。」
「おっおっさん!・・・っまいいか。グリオに乾杯や」
「大将もそんなつらいときがあったんやな。」
ワサビも感激の様子だった。

[3215] 素晴らしきかなイグ生 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/12(Fri) 23:28

ワサビがしみじみしてるのを見て、Haitamanさんが焼酎のグラスを傾けながら、
「イグ生いろいろや。こうやって苦労してきたのが大将の年期の入ったイグ柄ににじみ出とるんやな。グリオも大将みたいないいイグと巡り合えていい人生、いや、イグ生を全うできたんやな。いや、素晴らしきかなイグ生や」
としみじみすると、エラリーが
「わいは子イグの頃からずっと睦美おかんのとこにおるけど、わいみたいのも、マットのおっさんやワサビみたく養子でええおとんにもらわれて幸せになるのもまたイグ生やな」
と言いながら、手元の枝豆をまたつまんだ。
「で、おっさんのマトリックスってえらいタイムリーな名前
は冬彦のにいちゃんがつけてくれたんか?」
「せや。最初はかなり照れくさくて呼ばれても自分じゃない気がしとったけど、今ではマトリックスじゃなきゃ自分じゃない気がしとる」
エラリーは前マトリックスがどんな名前だったか知りたい
気がしたが、今幸せならいいか、と思い直してやめた。

[3223] 奴が来た 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/14(Sun) 20:03

一同がしみじみしてるところへガラガラ、っと戸が開き、
次の客がやってきた。
「らっしゃい!」
マトリックスとワサビが威勢よく出迎えたのは、睦実と冬彦、そして…
「ぅわーっっっっ!!何でイグアナがこんなにいるんだ!?」
と大絶叫とともに睦美に手をひっぱられてきたのは、神谷先輩だった。一番この場所にふさわしくない客な気もするが…。
「神谷さん、こないだマットのこと助けてくれたからさ、お礼がてら連れてきたんだ」
とは冬彦の言だが、どうも恩を仇で返してるように見える。
「神谷さん、これはようこそおいでやしたな。ここは人もイグも集まる居酒屋なんですわ。今夜はわいがごちそうしますよって、たんと食べてください。命を助けていただいた恩返しですわ」
「そ、そお?」
声が上擦ってはいるが、だいぶ場になじんできたようだ。

[3224] 縄文グルメ紀行 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/14(Sun) 23:45

「まずは、これなんかいかがです」
とマットがすすめたものは素朴な形の陶器の皿に載せられた団子のようなものだった。一口食べた神谷の目が輝いた。
「アッ これは どんぐりだね。」
「それでは この酒はどうですやろ?」
ときれいな赤い酒を 勧めた。
「まさか、うーん エゾニワトコの酒かい?」
「よくわかりましたな。さすがです。」
「ねえ、何がさすがなんですか」
エゾという言葉をきいたTOMOが不思議そうな顔をした。
 睦美がTOMOを振り返って言った。
「マトリックスさんは先輩が縄文土器に詳しいと知った上でのもてなしなんです。ね 神谷先輩」
「そうなんです。ちょっと詳しくなるけど、縄文時代は2万年前ぐらいはナウマンゾウやバイソンなどの大型獣などを食料にしていたけれど1万年ぐらい前の遺跡には大型獣は見えないのです。
睦ちゃんにも言ったけど、温暖化と乱獲で絶滅してしまって
そんな時人類をすくったサバイバル ツールだったのが土器なんだ」
「米でも炊いたんですか?」と奈々子が聞いた。
「いや、米はまだ伝わってない・・・ワー なんでイグアアアナ
が質問してんだーー」
「判らないからじゃないですか。」
「そ、そうだけど、まあいいか。そのころの森林で大量に取れたのが どんぐりなどの木の実だ。つまり祖先はどんぐりをおいしく食べるため煮てあく抜きするために土器を使い始めたんだ。
東京の新宿から発掘された最古の新宿土器の外側には火を受けた後があるし、内側の黒い付着物の脂肪酸分析の結果どんぐりのデンプンだと考えられている。
それから縄文の酒は エゾニワトコやサルナシ、くわ、木苺などを発酵させた果実酒なんだ。」
「北海道にも ハスカップ酒というのがありますけれど、それもアイヌの人々が不老長寿の酒と言ってたみたいです。」

「難しいこと よく判らないけど マットのもてなし気に入ってくれたんですね」と冬彦が言った。
「この酒と同じく 心にしみたよ。」と神谷が言ったので睦美は神谷をこの居酒屋に引っ張ってきて(それもかなり強引に)良かったと思った。
マットが出したどんぐりの団子は 皆にまわされた。
「結構、もちもちしてるんやな。うまいわ」
とエラリーが言った。
「どんぐりは デンプン質が豊富で75%にも達してるのよ。現代の主食の米や麦にも匹敵する食材なんですよ。」睦美が口を添えた。

次に出されたのは 真鯛の酒蒸しだった。
「秋に食べたのは 秋刀魚やったな。タイには行ったが真鯛とは
豪勢やな。縄文人にも食べはへはいな」
とほんわりした酒蒸しの香りが鼻腔をくすぐる。
Haitamanが、はしでやわらかい身を口に運びながらはふはふしながら言った。
「縄文人は 多分こんなの食べていたんですよ」
と神谷が言った言葉に みんな「へぇー」と一斉に叫んだので
95へぇーになった。
「海に近い 三内丸山遺跡から鯛、ぶり、にしん さばなどの骨が出てきていますし、他の遺跡から石蒸し焼きの調理した跡が
出てきています。」

「なんか 考古学てグルメ番組みたい。」とさりゃりゃが無邪気にいったので またみんなどっと沸いた。

[3227] まさよしさーん 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/15(Mon) 23:25

「大体皮が美味いんや。
瀬戸内で育って、海の幸には恵まれとった。
しかし、大将 もとでかかっとんのとちがいまっか?」
真鯛を堪能しながらHaitamanが聞いた。
「先に言っとくやが、わいはおごらへんで」
とエラリーが口を尖らせ言うと マットが
「これは カレンさんの差し入れなんですわ」と笑った。
「えっ カレンちゃんの差し入れやったか。どうりでめっちゃうまいわ。わい こんなうまいのはじめてや。」
「おじい様のお知り合いから お歳暮にたくさんいただいたんやけど、おじい様 おばあ様二人でお正月はヨーロッパにいくから
使ってくれって言われたんよ。明石海峡の鯛ですって」
「まさよしはまだかいな」
Haitamanが時計をさがしたが この居酒屋にはどういうわけか
時計がなかった。
「私がメール送ってあげる。」
「カレンちゃん悪いな。」
「わさびやん メアド教えて。」
「人間のメアドってどうするんですか?」
「名前.誕生日@なくて七癖.クシュクシュクシューンでええんよ。その人の癖を言うの。鼻の頭を掻くとか、無意識にふけを落とすとか、舌をちょろっと出すとかあるやん。」
「分かりました。おとんの癖は・・・カレンさん 耳かしてください。ゴショゴショ・・・」
「フフフ・・ほんとー?ふふ」
「なんやねん、カレンちゃん、わさび あまり近寄ったらあかん」
「エラリーさん 大丈夫ですよ。わいには チビっていう恋女房がいますよって」
「くっしゅーん」カレンがかわいいくしゃみをした。

そのころまさよしさんは急に うまい酒が飲みたくなってきた。
「そうや、あそこやったらチビの食欲がでてくるかもしれん」
と早速腰を上げた。

「そうだ、私イグアナに緊張してしまって ご挨拶を忘れて
しまいました。M大考古学教室の神谷と言います。
まだ、えー ちょちょっと わわーー」
チビイグサが珍しそうに背中に上ってたのだ。
「にいちゃん にわとりか?」
「イグサ! なにやってるの 降りなさい。びっくりなさってるじゃないの。それになんで鶏なの」
「だって こっこ がーがーっていってたぞ。うちの庭みたいや」
「いや こっこがーがーじゃなくて考古学なんですが (+o+;
「ははは イグサに好かれとるやないですか
この日でイグ好きになりますな。
明智いや金田一いや神谷はんとは、
お話したいと思とりましたんや」
「神谷 いや臆病なにいちゃん、わいが紹介したる。
この人は かの有名なアル中の・・イテッ」
「また言っとる」とエラリーは今度はあゆみに尻尾をふまれた。
「うりゅりゅたちのおかんが尊敬しとる Haitamanさんです。うりゅりゅもさりゃりゃも好きやで」とうりゅりゅが神谷の肩につかまってるイグサを抱き上げながら言った。
「そうですか。はじめまして神谷です。つい1ヶ月前ごろまで
爬虫類には ヘビ皮の財布からワニ皮のハンドバッグまで関係ない生活をおくっていたのですが・・・」
と神谷は頭をかいた。
「先ほどから Haitamanさんの飲みっぷりが気に入ってました。私も好きなほうですから」
「そやったか。まま、こっちでゆっくりやりましょう。」

[3228] 呼ばれて飛び出て… 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/15(Mon) 23:57

「どれ、チビ、うまいもの食いに出かけるか」
「酒飲みの間違いちゃうか?で、どこ行くん」
そんなわけで、まさよしさんとチビも居酒屋マトリックス
ののれんをくぐった。
「らっしゃい!おっ、まさよしさんとチビちゃん。ワサビー、おとんと恋女房がお見えやで」
マトリックスが下げた食器を洗っているワサビを呼ぶ
と、チビが、
「あんたー、がんばっとる?」
と手を振った。顔を上げたワサビは照れくさそうにしながらも、
「おとんもチビもどないしたんや?」
と尋ねた。
「いや、急にうまい酒がのみたくなってな。それに最近
チビ食欲ないやんか。マットの大将のうまい料理食べさせたら食欲戻るかな、と思ってな」
それを聞いたマトリックスが、
「じゃあチビちゃんは酒はよしといて、冷たい桑の葉茶と何かあっさりしたものの方がええかもな。まさよしさんは…今皆さん焼酎にシフトしとりますけど、まさよしさんも焼酎でええですか?」
「ええ、お任せします」
ワサビがまさよしさんには焼酎とお通しのタンポポの和えもの、チビには桑の葉茶が出した。
「ワサビ、がんばっとんな」
「あんた、かっこええよ」
ワサビはまさよしさんとチビに言われて照れくさそうに調理場に戻っていった。

[3233] アザラシ サーフィン 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/17(Wed) 00:22

「TOMOさま、ジュラさま、まさよしです」
律儀に挨拶するまさよしさんにTOMOが言った。
「はじめまして。といっても初めてお会いした気がしませんね。」
「うりゅりゅ太郎とさりゃりゃ姫は楽しく読ましていただきました。ここに主役がいるんですねえ」
「まさよしさん 今度アザラシの上にのって ウインドサーフィンなんかどうです。」とうりゅりゅが言った。
「ねえ、面白そうやんか。おとん 今年は琵琶湖でできなかった
いうてたやろ。来年は北海道いこか。」
「せや、ウニいくら丼もご馳走しますよって。チビさんはうちらと新鮮な大根の葉っぱ ぎょうさんたべましょ。おかん いいやろ、いっぱいそば食べて お給料もらってきてや」さりゃりゃもニコニコしながら言った。

「チビさん 私 お写真で見たときからオスだとばかり思っていたんです。だって琵琶湖の写真かっこよかったから。ごめんなさい。体の具合どうですか。」とジュラが心配そうに聞いた。
「おおきに。食欲がないんです。おとんがえらく心配して風呂に入れて暖めてくれたり、ジュースを飲ませてくれます。
せやなさりゃりゃちゃん、新鮮な大根の葉っぱ おいしそうやな。今度関西イグアナみんなで北海道いきますよって。」
「チビさん、白菜と厚揚げの煮物だ。薄味のだし汁仕上げやから
さっぱりやで。白菜は茨城産や。皆さんには白菜とベーコンの
和風クリーム煮にしてみましたよ。食べてください。」
マットが もう新しい料理を作っていた。器は茨城の笠間焼きの小鉢だった。ここらへんのこころ使いもにくい。
「もう 腹は減ってくるし、目は潤んでしまうし・・・・。
いい話ですね みなさまに乾杯です (;_;)」
まさよしは つがれた焼酎のコップを軽く上げて 飲み干した。

[3235] 茨城の味 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/17(Wed) 19:34

「ささ、白菜はさっきジュラのおばちゃんがたくさん持ってきてくれてたくさんあるけん、どんどん食べてや」
マトリックスが料理を勧める。
「おとん、腹減ってんやろ?うちの大将の料理はうまい
でー。うるうるしてんと、食べてみ」
うるうるしてるまさよしさんにワサビも勧めた。
まさよしさんの隣のチビも、
「おいしそうなにおいやわー」
と、だし汁がしっかり染み込んだ白菜を口に運んだ。
「マットのおっちゃん、これおいしいわ!これならぎょうさん食べられそうや」
「おお、チビちゃん、気に入ってくれたか」
マットも満足げだ。
イグサは和風クリーム煮が気に入ったようで、ジュラさんに家でこれ作ってくれ、とせがんでいる。

[3239] 迷探偵 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/18(Thu) 00:18

「どんどん行こ。おごりやおごり、」
「師匠様、もう限界です。あまりうまい焼酎で、調子にのってしまいました。」
「まさよしさん、お酒弱いんですか?」とジュラが聞いた。
「酒弱いんですよ〜あんまり飲むと頭痛起こしたり寝てしもたりしよるんですわ〜。ジュラさんはどうです?」
「実は 私も下戸なんです。お酒あまり飲めないんです。」
「だけど飯は いっぱい食いよるよー。」
「イグサ 黙ってなさい!」
「だから クリーム煮〜〜」
「分かった、分かった明日作ってあげるから。ほら おいでもう眠くなってるんでしょ」イグサはジュラに抱っこされた。
目がトロンとしてきたようだ。

「まさよしのおっさん 無理にはすすめへんがな、このブルーベリー酒うまいで。」
「そうすかっ、それじゃ1杯。エラリー様ごちそうさまです。」
「お おいちょっとまて。なんでわいがおごるんや」
「エラリー、迷探偵はちっちゃいこと 気にせんとき」
むこうから奈々子が声かけてきた。
「でへへへ・・、名探偵やて、そやな もっと言ってや。臆病なにいちゃんあんときは おかんの手前、にいちゃんに花もたせてやったが、わいがずいぶんと ヒント教えたんやで。ワトソン君。どんどん飲んでや」
「それじゃ ホームズ先生、いや天下の迷探偵エラリー先生、今度はコンビ組んで難事件にあたりますか」
「どうも さっきからきいとりゃ 名という字が違うような気 するな。まあええわ。みんなも悩み事があったら わいに相談してやー。
名探偵が 解決するよって」
エラリーは大分アルコールが回ってきたようだ。
「Haitamanさんはお酒つよいな。まさよしさんは弱い。なんで
ちがうんやろな」とさりゃりゃが首をかしげた。
「私のママ 強いで。東北うまれやからでないの」とカレンが言った。
「TOMOさんはどちらですか」とマットが聞いた。
「北海道は寒いから 酒つよいやろ。どや お湯割りで」
とさっきから 皆の話を楽しそうに聞いているTOMOに焼酎をすすめた。

[3240] TOMOは下戸 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/18(Thu) 04:38

「参ったなー。私、めっちゃ酒弱いんですよー。ワサビくん、私のは焼酎ちょびっとにしてください」
TOMOは本人も言うように、かなり酒に弱い。職場の飲み会で誰も勧めないように、あえて車で行くぐらいだ。
「そういや、おかんがうちで酒飲んでるの見たことないや」
さりゃりゃが言った。
「でも、飲んだらどないなるかちょっと見てみたくないか?」
うりゅりゅがおもしろそうに言った。
そこへワサビが焼酎のお湯割りを出してきた。猫舌なのでしばらく冷ましている。
そして飲んだとたん、顔が赤くなった。そして、やり場に困るぐらいテンションが上がったらしく、笑いこけている。
それを見たエラリーが、
「どうも、住んどるとこと酒の強い弱いはあんまり関係なさそうやな」
とつぶやくように言った。

[3241] アセトアルデヒド 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/18(Thu) 19:10

「肝臓の酵素の働きと違う?」と睦美が言った。
「高校で、人にはアルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素があって 遺伝的に強い人と弱い人がいるって習いました。パッチテストとかやりましたよ。腕にアルコールを湿らせたガーゼ絆創膏を貼って、赤くなるとお酒に弱いとか」
「なんや 高校で酒の飲み方教えるんか。ウイッ強いの、弱いの そんなん飲めばわかるやないか ヒック」
「エラリーさん 高校生は酒飲めませんよ」とワサビが笑いながら言った。
「それで、冬兄ちゃん どっちやったの?」
さりゃりゃがちゃっかり隣に座ってきいた。
マットのおとんである やさしそうな高校生のにいちゃんに
ちょっと甘えてみたい さりゃりゃである。
「僕は 変わりなかった。お酒強いみたい。ここだけの話だけど僕のんだこと あるんですよ。ワインの栓が開いてたからちょっと飲んだら うまくてつい たくさん飲んでしまって 親父にばれないようにあとで梅酒入れといたら やっぱりばれました。」
「そりゃばれるわ。落語にもそんなんあったな」
haitamanさんが楽しそうに笑ってまた一口焼酎を飲んだ。

「ALDHがN型なんだね。Haitamanさんと僕もN 型で、ジュラさんやまさよしさんはNDかな。TOMOさんはDDかも知れないね。」神谷が言った。
「ALDH...きいたことあるな、詳しくはなしてみい」
「まあ、僕も友達の受け売りなんです。この前も言った
高校の同級生で 同じ大学の法医学の研究室にいるやつなんですが。」
「ああ、この前 ちょっと見たわ」と睦美が言った。実は
その人は女性なのである。神谷がその人の話をすると 睦美
はどういうわけか 胸がキュンとする。
「アルコールを飲むと 肝臓でまず さっき冬彦君が言った ADHが働いてアルコールを分解してアセトアルデヒドという物質にするんです。
このアセトアルデヒドという物質が顔を赤くしたり、心臓をドキドキさせる悪酔い物質で、これを早く代謝できるかできないかが 強い弱いに一番かかわってくるそうです。」
「あせった あるひどいやつが あかくなるんやな」
エラリーが寒いギャグを言った。みな 白くなった。

[3242] 酵素欠損 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/18(Thu) 19:48

「そのアルデヒドを分解して 酢酸から二酸化炭素、水と
無害なものに変えるのが アセトアルデヒド脱水素酵素ALDHで、その酵素を作る 遺伝子のたった一つの塩基が変わっただけで 酵素を作るか作らないかが分かれるみたいなこと言ってたな。」
「なんか けちくさいなー。ひとつぐらい違ったってええやないか」あゆみが言った。
「そやな、おっさん まけてやといえんのか?」とうりゅりゅも不思議そうだ。
「塩基ってDNAをつくってる A,G,C,Tとかいうやつ?」
睦美は情報元は気に食わないけど 面白そうなので質問した。
「そう、エーと ひとつ塩基が違うとそれで決定されるアミノ酸が違ってくるんだよ。Nはグルタミン酸だけどDはリシンだとか言ってたな。つまりアミノ酸が違うとそれで作られる
タンパク質である酵素が活性を持つか持たないかがで、アルデヒドを代謝できるか、できないかが違ってくる。それが
お酒に強いか弱いかの違いだとか言ってたぞ」
「うー 頭 痛くなってきた。つまり 強いやつは世の中がグルグル回って、弱いやつは シンだようになるんやな」
「あら エラリー 悪酔い?」

「まあ 簡単に言えばN型というのはnormalという意味で
D型というのは deficient 酵素欠損という意味なんだよ」
「それじゃ 飲める人のほうがまともだと 言うことですか?」TOMOがちょっと 怒ったように聞いた。
「いや、そういうことじゃなくて、人類はもともと皆N型だったんだ。これは考古学とも関連するんだけど、人類がアジアに進出して そこであるとき ある人の 遺伝子が突然変異を起こしたんだ。そしてその遺伝子がアジア人種に広まった。D型はアジア人つまりモンゴロイドにしか見られなくて、それも新モンゴロイドだけで、白人 黒人には 酒に弱い人はいないのさ。」

[3243] 酵素欠損→からみ酒? 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/19(Fri) 01:57

「神谷くんが悪気あって言ってんじゃないのはわかってるつもりだけど、何か酒飲めない奴はまともじゃないって言われてるみたいだな」
TOMOがぶつくさ言いながらワサビに薄く作ってもらったお湯割りを口に運んだ。あまり薄いので、湯冷ましを飲んでるのとそんなに変わらないが、それなりに酔いは回ってるみたいで顔が赤い。
「まあまあ、おかん、酒ばっかり飲んでないで少し食べた方がええよ」
さりゃりゃが白菜とベーコンのクリーム煮を勧めた。
「これもおいしいんだけど、チビちゃんが食べてるやつもおいしそうだよね。マット、私にもチビちゃんと同じのちょうだい!」
「あいよー!ワサビ、これTOMOさんとこに」
食べ物が運ばれるとTOMOはおとなしく食べ始めた。
「誰や、おかんに酒勧めたの。やっぱ勧めたらあかんかったんだわ」
うりゅりゅが、やれやれ、といった感じで言った。

[3245] タンポポ 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/19(Fri) 17:49

「わあ じゃあTOMOさん甘いケーキとか好きですか?」
ジュラが聞いた。
「私はNDだから、ほどほど飲めるんだけど最近は ケーキにシフトしてますね。若いときは 仙台に行ったとき地酒飲みすぎて 青葉通りの真ん中で 青葉城恋歌を大声で歌ってたことあるんですけど、あーはずかしい。地酒の前には鯨の刺身とビール、ホテルへ帰ってウイスキーで完全に記憶なくしました。」
「ジュラのおばちゃん どこがよわいねん」と奈々子がつっこんだ。しかしジュラも顔が赤くなってきているので、もくもくと食欲にシフトしつつある。

「私もこのあいだも師匠様と別れた後、電車の中で寝てしもて一駅乗り過ごした所から歩いて帰ってるし、その前のオフ会の時なんか京都駅で乗り換えなあかんのに寝てしもてて えらいとこに行ってしまい 拾った自転車を乗り継いで帰って、難儀やな。」
「ははははは・・・・あーおかしい。ジュラさんもまさよしさんも」
どうやらTOMOは笑い上戸か。

「だけど、酒飲めないやつは アル中にならんからええやろ」とHaitamanがいうと神谷もそうだとばかりうなづいた。
「確か、新聞でよんだら アルコール依存症の入院患者の98%がN型、つまりお酒に強いタイプだと書いてありましたね。」と睦美が行った。
「でも、日本人でどのくらい強い人がいるんですか。僕のうちは父が強いけど 母はそうでもないし・・・」と冬彦。
「日本人の60%がNN型で酒に強いタイプ、 30%がND型でほどほどタイプ残りの10%がDD型でまったく飲めないタイプだよ。
でも日本の中でも違いがあって、酒飲み御三家の県は
鹿児島、秋田、岩手で100人のうちほんとうに飲めないDD型の人は1人ほどしかいないらしいです。
反対に下戸の県は三重県 愛知県 岐阜県や関西各県で 三重県ではなんと強い人が100人中36人ぐらいであとはみんな弱いらしいですよ」
「おっもろいな。三重県では見栄をはっても飲めんということやな」
「それにしては 関西のオフ会はみなさん 飲みますな」
とマットが 言った。しかししゃべりながらも次の料理は出してくれる。
「はい、お待ち、鰆の刺身ですよって。今日Haitamanさんがお見えになると思って、新鮮なの仕入れておきました。」
「よっ うれしな。よだれが出ますなあ。そやな 関西のオフ会の面々はよく飲むな。」
「それから これはいかがです。ワサビが考えた料理や。」
「タンポポのかき揚げです。わいタンポポすきでんねん。
タンポポとたけのこの細切、と貝柱でかき揚げにしました。」
「どや、好きなやつが考えた料理はうまいねん。うん こりゃええぞ。」
「私にもください。」
「おかんばっかり ずるいやねん。わいにもくれや」
とうりゅりゅも言った。

[3248] 甘党 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/19(Fri) 20:14

「私は甘いもの大好きなんです。職場の机の中にも北海道名物バター飴を入れて食べながら仕事してるし、うちの冷蔵庫の中にはチョコレートがいつも入ってるし、ケーキだって
好きです。でも、このかき揚げもおいしいですね。タンポポだっていうから苦いかと思っていたんだけど」
「衣をつける前ににがみをとってあるんですわ」
「うりゅりゅもこれ気に入ったで」
「あんた、これおいしいわ。お代わりちょうだい!」
チビが空になった皿を差し出した。ワサビが作ったものならよほどの失敗作でもない限り何でもおいしいらしい。さすが恋女房だ。
「ええけど、あんまりたくさん食ったら胸焼け起こすで。食欲取り戻してくれるのは嬉しいんだけど、食いすぎて次の日腹壊すのも問題やな」
「チビがこんなに食べてくれるなんて…嬉しいけどおなか壊すのは困りものですー」
まさよしさんはそれが嬉しいのか、また焼酎のグラスをあけた。
「おとん、こりんなー。またこないだみたいなことになっても知らんで。でも、今日はわいらで連れて帰ろか。なあ、チビ」
ワサビが苦笑い混じりでチビに言うと、
「せやねえ、」
とチビも笑い返し、
「おとん、今まで心配かけとったのは悪かったけど、わけわからんようになるまで飲むのはよしとき」
まさよしさんに振り返した。

[3260] 介抱ほぼ確定 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/21(Sun) 13:18

「へ?」
しかしまさよしさんはチビがたくさん食べてくれる、という事実を喜ぶのに夢中でチビとワサビの話はあまり聞いていなかったらしい。
「こりゃだめだわあんた、今日はうちらでおとん担いで帰るの決定やで」
「ま、しゃあないな。おとんも、おまえがたくさん食べるのが嬉しくてしょうがないんや」
その横で、まさよしさんは
「チビが食べてくれるんならもういくらでも飲んじゃいますー!チビとワサビに介抱してもらえるなら本望です!」
と宣言しながら、またグラスをあけた。

[3261] タンポポ 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/21(Sun) 20:13

「うぃっ、チビ、チビよ元気に冬をのりきろうな。
ワサビ 寒かったらがまんしないで言うんだぞ。
今日は寒かった、寒かったなー ヒック 寒いぞーゥイッ
外気温度の低下に伴いーー室内温度10度に低下!
ゲージ内の温度も23度にまで低下〜 しました!
このままでは生体レレレベルにまで影響が出ます!xウィyy
緊急事態発生!緊急事態発生!ウィーン、ウィーン
最終防寒作業に入る!ウップ、
プチプチロール用ー意!総員配置に着け!・・・・。
メカゴジラ現る!ガォーー***」
「おとん、おとんってば、」
まさよしさんは 言いたいことだけ言って幸せそうな顔をして
小あがりに寝転んでしまった。
「おとん顔真っ赤やな。でも 笑いながら寝とる。」
チビがまさよしさんの額に爪があたらないように手を当てた。
人よりも低いイグアナの体温が気持ちいい。

「ワサビ、今日はもう あがってええで。おとんとチビといっしょにかえり。」とマットが言った。
わさびはちょっと迷っていたが、
「それじゃ 大将今日はお言葉にあまえさせていただきます」
「それから、タンポポまだ残ってるやろ。持って帰って食べたら
ええで。」
「おおきに 大将」
ワサビは着替えに 奥に引っ込んだ。

「タンポポか、タンポポって私にとってちょっと哀しい花なんです。」とジュラが 言うとグラスをあけた。
「どうしてですか、差し支えなかったら。」
とTOMOがたずねた。
「前のイグサがタンポポ大好きだったんです。死んだのは3月で
まだ寒くてタンポポはどこにも咲いていなかったんですが、
なんとかして春の希望を見さしてやりたくて林を探し回ってやっと2りんだけ 咲いているタンポポ見つけたんです。
もう死ぬとわかったイグサを毛布で来るんでそこへ行き イグサにタンポポを見せてやりました。 
なんか笑ったように感じました。それからしばらくして息をひきとったのですが・・・」
「ジュラのおばちゃん・・・」カレンが 絶句した。
「あっ ごめんなさい。でもね 今は幸せですよ。」
と胸で寝息をたてているチビイグサを見て言った。
「それじゃ 私もこれで失礼します。今日の筑波山は雪をかぶっていました。寒さが本格的になりますね。
TOMOさん、今度いっしょに ケーキとお茶しましょうね。」
ジュラはマットに 代金を聞いた。
「ええで、白菜持ってきてもろたし、また来てや。」というと
横からHaitamanさんが
「そや、迷探偵エラリーもいるよって。」というと
すっかり 酔っ払って気が大きくなったエラリーが
「ええで、ええで、わいが探偵料ではらってやるがな」
ジュラは皆にいとまを告げると イグサを抱きかかえながら
帰っていった。

その後 ワサビとチビが まさよしさんの両腕を支えて
出て行った。
「おとん、だいじょうぶか。つかまってええで。」
2匹のイグアナと抱えられたまさよしさんの影が寒い夜道に
暖かく伸びていた。

[3262] 居酒屋マトリックス、看板です 投稿者:TOMO 投稿日:2003/12/22(Mon) 00:22

「さてと、そろそろ私も帰ろうかな」
少し酔いが覚めたTOMOも、箸を置き、いとまを告げ、マットに代金を聞いた。
「うりゅりゅとさりゃりゃの分も一緒でええですか?」
「うん、」
「うりゅりゅとさりゃりゃ、レストラン繁盛したら親孝行せなあかんなあ」
「はい、オープンしたらお知らせしますから、マットさんも皆さんも食べに来てくださいね」
さりゃりゃが言うと、おおかた出来上がっていたHaitamanさんが
「ぜひ声かけてや」
と返事した。
「私も誘ってくださいね」
睦美や冬彦に今晩ここに連れてこられるまでは好んでイグアナのいる所に近づこうとしなかった神谷先輩が応えて、睦美が嬉しそうに微笑み、エラリーには、
「臆病なにいちゃん、わいらが恐くなくなったか。いいことや、いいことや」
とからかい半分でポンポン、と肩を叩かれていた。

「それじゃ、TOMOさんもうりゅりゅもさりゃりゃもまた来てや」
「うん、ごちそうさま」
「マットのおっちゃん、料理うまかったわ」
「私たちもいろいろ勉強させてもらいました」
そして、TOMOとうりゅりゅとさりゃりゃが店を出た。

「さてと、今晩はそろそろ看板にしますか」
マットが表ののれんを下ろしてきた。
「結局わいら、今日もほぼ開店から最後までいたなあ」
「そうでんなあ」
エラリーとHaitamanさんがそう言い合って笑っている。
「うちらも帰らな」
カレンが言った。
「マット、僕片付け手伝うよ」
冬彦がトレーナーの袖をまくって立ち上がった。
「じゃあ、私も手伝うわ。神谷先輩はそこで座って酔い覚ましててください。エラリーは…あんたも先輩と一緒に待ってて」
「睦美さん、冬彦さん、おおきに」
「いいええ、いつもエラリーがお世話になってますし」
「手伝ったらマットも早く帰って休めるだろ」
そして、マットと睦美、冬彦は後かたづけを始め、神谷先輩とエラリーを残したみんなは三々五々家路へと散っていった。

こうして居酒屋マトリックスの一日は終わる。
そしてまた明日も、街にネオンの明かりがともる頃、この店は人とイグアナの憩いの場となる。
(終)

[3266] つけばらい 投稿者:ジュラ 投稿日:2003/12/23(Tue) 09:43

翌日 日が落ちる前ワサビが居酒屋マトリックスに出勤すると
エラリーが店の前を掃除していた
「あれ? エラリーはん、どうしたんです?」と聞くと
中からマトリックスが
「ええんや、エラリーにつけを はらってもろうてんのや。
ワサビ きょうは仕込みやら料理やらてつどうてくれるか。
洗いもんとか、掃除はエラリーにみんなまかせたらええで。
ええな エラリー」
「トホホホ、あんなぎょうさん だれが飲んだんや」
と嘆きつつほうきを動かす エラリーであった。(終)

戻る