年末年始は飲食の機会が増えます。 体内に取り込まれたアルコールを分解し、無毒化するのは肝臓です。 もくもくと働く臓器ですが、口数が少ないだけに、気付いた時には、 手遅れ、なんてことにもなりかねません。あなたの肝臓は大丈夫ですか? 飲み物として口から体内に入ったアルコールは、胃、十二指腸、小腸、などから吸収され、 血液に運ばれて肝臓に送られます。肝臓は解毒を行う臓器です。 アルコールを分解して無害な物質に変えて全身に送り出します。 しかし、飲んだ量が多く、分解が間に合わなかった場合、 アルコールは血液ともに全身を回ることになります。 このアルコールが脳や神経に作用し、働きを鈍らせたのが「酔っぱらった」状態です。 酔うと気分がよくなると感じる人も多いことから、 アルコールは原始時代から人類に親しまれてきました。 しかし、そんな心地よさゆえに、アルコールがないと生活できなくなる 「依存症」になってしまう落とし穴もあります。 国内では飲酒量の単位として、「日本酒1合」が使われることが多いです。 アルコールが約20グラム含まれる量です。 飲酒は血行を良くするなどプラスの効果もあり、 1日に日本酒1合程度飲酒する人は、まったく飲まない人よりも長生きするといわれています。 しかし、「1杯だけ」で済まないのがむつかしいところです。 飲酒量が過度になると依存症に近づくだけでなく、そもそも身体にもよくありません。 アルコールには体内の粘膜をただれさせる働きがあります。 強いお酒をそのまま飲むような飲み方を繰り返せば、 食道炎などの病気を引き起こすリスクがぐっと高まります。 特にアルコールの影響をもっとも強く受けるのはやはり肝臓です。 |
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食べ物に含まれる脂肪は胃や腸で吸収され、肝臓に送られます。 肝臓は中性脂肪として蓄えます。エネルギーが足りなくなると、 必要に応じて全身に送り出しますが、アルコールはこの働きを邪魔する作用があります。 その結果、肝臓内の中性脂肪が増えすぎてしまった状態が脂肪肝です。 健康な人でも日本酒4〜5合にあたるアルコールを毎日飲み続けると、 適量な食事をとっていてもわずか1週間で脂肪肝になってしまうといわれています。 一方では肝臓はとても丈夫な臓器なので、脂肪肝で肝臓の一部の細胞機能が落ちても、 他の細胞が補うなどして全体の働きを維持します。 痛みなどの症状も脂肪肝の段階ではほとんどありません。 しかし、脂肪肝は放置していると細胞が死んでしまう肝炎や 破壊されて糸のようになってしまう肝線維症へと進みます。 さらに悪化すると細胞が硬く固まってしまう肝硬変になります。 こうなると肝臓は機能しなくなります。 痛みなどの症状が出た時には手遅れだったというケースもすくなくありません。 最悪の事態を防ぐためには普段から肝臓の状態を正しく把握しておくことが大切です。 参考になるのがγGTP、GOT(AST)、GTP(ALT)と呼ばれる三つの酵素の値です。 アルコールで肝臓がダメージを受けると、 通常は肝臓の細胞が死ぬと増えるγGTPの値がまず上昇します。 これがいわば肝臓からの黄信号といわれています。 禁酒によって値が大きく改善されれば、 まずアルコールによる肝障害とみて間違いありません。 しかし、それでも飲酒を続けていると細胞が死んだときに肝臓から流れ出す GTPの値が上昇します。さらに飲酒を続けてGOTの値がGTPを上回ると 完全に赤信号です。GOTは肝臓だけでなく筋肉や心臓の細胞が死んだときにも 流れだすことから、肝臓以外にも病気が広がっている疑いが高くなります。 こうなるとGPTの値が下がっても肝臓が回復したのではなく、 肝硬変などに悪化してることもある。 少しでも不安を感じたら自分で判断せず、医療機関を受診しましょう。 |
アルコール1単位(約20g)の目安 日本酒 1合 ビール 中瓶1本 焼酎 0.6合 ウイスキー ダブル1杯 ワイン ボトル4分の1 缶チューハイ 1.5缶 肝臓の健康を守るには。。。。 ・談笑し、楽しく飲む ・食べながらゆっくりと ・強い酒は薄めて ・週に2日は休肝日 ・無理強いはやめる ・肝臓の定期検査を忘れずに |
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