京都府食品衛生協会からの衛生管理の情報
〜衛生管理のお知らせ〜

◆食肉生食のリスクと規格基準について

4月下旬〜5月に富山県、福井県、神奈川県等において、牛肉のユッケを食べたことによる食中毒事件(患者:181名、死者:5名(子供、成人女性))が発生し、この報道は日本中を震撼させました。  
このため、厚生労働省は食品衛生法に基づく規格基準を設定し、平成23年10月1日から適用しました。牛肉は加熱して、安全な食肉を提供しましょう。

◇ 生食用食肉の規格基準
    @ 腸内細菌科菌属が陰性であること。
    A  加工・調理は、専用の場所を備えた衛生的な場所で、専用の器具を用いて行うこと。
    B  牛肉表面から1cm以上の深さのところを60℃で2分間以上加熱する方法又は同等以上の方法で加熱殺菌すること。
    C 食品取扱者は食品衛生に関する知見を習得すること。

 対象食品 
    ・ 生食用食肉として販売されるユッケ、タルタルステーキ、牛刺し及び牛タタキの牛肉(内臓を除く。ステーキは規制対象になっていません。)
◇ 対象施設
    ・ 加熱殺菌等を行う加工施設には加工基準が、加熱殺菌した食肉の細切・調理施設には調理基準が適用されます。
◇  具体的内容

▲ 加熱殺菌、殺菌温度、殺菌時間及び記録

  @ 手指を洗浄消毒し,加工肉を密閉容器に入れ、重量を測定する。
  A  肉塊の表面から1cm以上の深さを60℃で2分以上加熱する。
   例  250gの場合:85℃・約10分間加熱
      500gの場合:85℃・約24分間加熱
  B 殺菌温度、殺菌時間、肉の部位を記録し、1年間保存

▲ 加熱殺菌条件設定時の検査

  @ 加熱殺菌した肉塊から加工量に応じ検体をとる。
  A  登録検査機関に「腸内細菌科菌群」検査項目を依頼
  B 検査結果(1検体25gとして、25検体以上が陰性)を確認する。(腸管出血性大腸菌・サルモネラ属菌陰性)
  C 年1回以上の定期的な妥当性確認検査が必要です。

▲ 生食肉提供時の注意

  @ 飲食店で提供する場合
   ・ この菌は家畜の腸内に存在することから、加工調理で完全に除去することは困難ですので、「食肉の生食は食中毒に対するリスクがあること」を表示する。
子供や高齢者など抵抗力の弱い人が感染すると死に至る場合があるため、提供しないことが大切です。)
  A 焼肉店での注意
    ・ 生肉を焼くための専用の箸やトングを準備し、食事用の箸と混同しないよう注意を促すこと。


火を使うことは人類の大発見といわれます。加熱することにより、食品は安全にな  り、保存を可能にし、食べられる食材が増えた(加水加熱で消化し易くなる.)ことが  発展の鍵でした。危険性への意識が薄れ、食肉の生食が一般化したことにも原因があるのではないでしょうか。食肉は、魚と違いますので、加熱して食べたいものです。


詳しく知りたい方の解説書 「生食用食肉衛生管理テキスト」
             (()日本食品衛生協会発行 300円)



◆カンピロバクター・O157(腸管出血性大腸菌)に気をつけよう

カンピロバクター・O157食中毒の事例が、近年、増加しています。
この原因は、生肉、生レバー等を食べた場合に発生しています。
O157は、子供やお年寄りが急性腎不全や意識障害など重傷になる危険があります。
・食中毒の原因 
(1)家畜・鶏の腸管にあり、これに汚染されたお肉やレバー
(2) 調理過程で二次汚染、人の手を介して食品を汚染する。
(特徴 少量の菌で発病し、潜伏期間が1〜10日と長い。)

・予防対策
(1)肉やレバーなどの生食をしない。
(2)熱に弱いので、お肉やレバーは、十分加熱して食べる。
(3) 十分な手洗いを徹底する。
(4) まな板、包丁、ふきんなど調理器具やお肉の取箸は専用のもを使う。
(5)調理中にお肉を素手でさわったら、手洗いをする。

・ポイント
手をしっかり洗って消毒し、お肉やレバーは十分加熱して食べる。

・カンピロバクター食中毒対策の動き(食品安全員会の評価等)

食品安全委員会は、昨年、「鶏肉中のカンピロバクター」を評価し、食中毒予防策として必要な対策を示し、特に、下表の3つの対策が効果的と発表しました。
食鳥処理場での対策として、80%の人が鶏肉の生食を止めれば、69.6%の中毒を予防できるとしております。
また、カンピロバクターは鶏には有害性を示さい菌ですが、農場が汚染されると同一農場内の鶏に急速に広がるため、食鳥処理場おいて「汚染農場の鶏」と「汚染されてない農場の鶏」を区分して処理することにり、リスクを44.0%低減でき、処理工程での塩素濃度管理により21.4%低 できるとしております。
特に、加熱して食べるか、又は食鶏処理場の衛生管理方法を徹底すれば、多くの食中毒は予防できるのです。

生産から摂食までの対策
80%低減した場合
農場段階:養鶏場汚染率の低減率
6.1%
調理段階:加熱不十分割合の低減率
0.2%
調理段階:交差汚染割合の低減率
9.4%
(1)食事段階:生食割合の低減率
69.6%

食鳥処理場での対策
低 減 率
(1)処理方法:食鳥の区分処理
44.0%
(2)消毒方法:塩素濃度管理の徹底
21.4%

カンピロバクターは、大気中の酸素濃度、又は30℃以下では増殖できませんが、少ない菌が生存して感染が成立します。
しかし、その能力をみると、低温下でも比較的長時間生存し、菌の形を変化させたりバイオフイルム形成能により周囲の環境にすばやく適応し、生存できる能力もあることがわかってきており、非常に手強い細菌なのです。


◆ノロウイルス食中毒を予防しよう

ノロウイルスを原因とする食中毒が多発しております。
ノロウイルスは世界中に分布し、食中毒患者数第1位の記録を続けております。
・食中毒の原因
(1)カキ等の二枚貝を生又は加熱不十分で食べた場合
(2)人の手を介して食品を汚染する場合
(3)吐物等を通じて、室内感染する場合

・予防対策
(1)十分な手洗いを徹底すること。
(2)カキなどの二枚貝は十分な加熱調理(85℃1分)すること。
(3)吐物や便等の汚染物に十分注意し、消毒・感染予防すること。

・ポイント
特に、ノロウイルス感染者は治癒後3週間は便に排出するといわれ ております。手洗いを徹底し、食品・器具の汚染防止が大切です。

・最近の情報
最新の調査では、不顕性感染(感染しても症状を示さない。)の存在が示され、人がノロウイルスを維持する自然宿主であり、ヒトーヒト感染が流行の主な感染経路であると示唆されています。
不顕性感染者も多くのウイルスを排出し、人口の5パーセントもいるとも言われています。
なぜ、冬に多いかについては、10〜1月は少児等弱者の胃腸炎で立ち上がり流行しはじめ、12〜2月が食中毒(ヒトーヒト感染)のピーク、12〜3月が二枚貝が原因となるとも推定されています。
ノロウイルスは遺伝子配列の組み替えを起こしながら進化し、ドラスティックに抗原性を変化させており、その速度はインフルエンザに匹敵すると考えられています。


◆自主衛生管理の手順書を作成しよう

衛生管理を徹底し、向上していくために、衛生管理の手順書を作りましょう。
京都府条例に定める衛生管理の基準では、手順書の作成を求めております。
◇京都府では「食品関係事業者自主管理手引き書作成マニュアル」を発行し、実践できるテキストとして配布しています。(さあ、実践してみましょう。)
Point
⇒ 手引き書(清掃、洗浄及び消毒の方法、廃棄物の保管・廃棄等)を作成
⇒ 衛生管理の管理運営要領を作成し、衛生管理を向上しましょう。
自主衛生管理点検表(今月は食中予防対策、お店の自主点検も実施しましょう。)

◆お店の自主衛生管理の方法は

京都府では、「実践的衛生管理のススメ(飲食店編)」でその方法を示しています。
基本は、「清潔」、微生物まで考えた「顕微鏡でみる清潔レベル」を作ることです。
清潔にするための作業が「清掃」「洗浄」です。
   清掃・洗浄しやすいようにするのが「整理」「整頓」です。
「制菌」は、殺菌・温度管理して微生物をコントロールすることです。
また、「清潔」を保つためには、従事者全員の意識を育てる「しつけ」が大切です。

自主衛生管理

さらに、衛生管理を継続発展するためには、「PDCAサイクル」を実施して、ステップアップする心がけが大切です。

PDCAサイクル図

「PDCAサイクル」

P(Plan計画:手順書作成・考える)

D(Do実行:現場で実施)

C(Check評価:確認・評価)

A(Act改善:ルールの見直し)

Pに戻る

この衛生管理は、食品製造業が導入し、国際的に普及してきている「HACCP」や「ISO9001」、「ISO22000」の基礎をなすものであり、すべての食品事業者が導入できる方法ですので、まず、導入し、実行することが期待されています。
・HACCP :危害要因分析・重要管理点システム
・ISO9001 :国際標準規格・品質マネジメントシステム
・ISO22000 :国際標準規格・食品安全性マネジメントシステム


◆夏期には「食中毒注意報」が発令されます。

京都府は、7月1日から9月31日までを「食中毒予防推進強化期間」と設定され、 食品の衛生管理向上対策に取り組み、府民の方に注意を呼びかけております。
   食品衛生協会では、食中道予防パレードなどの啓発広報活動や営業施設の巡回指導、 地域イベントの衛生管理アドバイス事業など積極的に取り組んでおります。
この期間には、食中毒が発生しやすい気候の日に「食中毒注意報」が発令されますの で、食品関係事業所への周知徹底などにによる普及啓発に努めております。
夏は、高温多湿の日が続き、食中毒菌の増殖しやすい時期です。健康管理や食品取り 扱いには十分注意しましょう 。

◇食中毒を起こす細菌・ウイルス
ウイルス ノロウイルス
細  菌 カンピロバクター、病原大腸菌、サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ
毒  素 黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、セレウス菌、ボツリヌス菌



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