議会改革について

 先の6月定例会会期中に議員定数(削減)のことが話題になりました。
 議員定数削減がなぜこの時期に話題になるのか、穿った見方をすれば、来年の統一自治体選挙対策でしょうか・・・?
  行財政改革の一環といえば聞こえは良いです。確かに議員数が減れば歳出は減ります。しかし議会改革に本気で取組むのであれば、議会・議員のあるべき姿(本 質論)について先に論議を深めておく必要があります。財政面だけを拠り所とした議員定数の削減を行なえば、根拠の弱いその場しのぎである印象は避けられま せん。
 これは、昨年の衆議院選挙同様フレーズ(言葉)と感情だけで賛否を問うことになります。つまり、郵政民営化=定数削減は賛成ですか?反対 ですか?・・・、削減反対=改革反対=旧体制派(既得権者)といった構図です、これはまさしく中身(本質)について一切論じない今時の悪しき風潮と同じで す。
 
 私は、当初から議会・議員の有り方について漠然とした疑問を持っています、当選以後3年を経過し分かったこともありますが、未だに疑問を感じている点もあります。
 今後、議会改革について議論が深まっていけば答えは見つかるかと思いますが、改めて現時点における私の議会改革についての想いを示しておきたいと思います。
 
 地方議会を取巻く環境の変化としては、2005年12月地方制度調査会の答申に基づき、総務省は議長への議会召集請求権の付与など議会制度改革を盛り込んだ地方自治法改正案を今国会に提出し可決されました。
 その地方制度調査会の答申には「住民自治に根ざした地方分権の進展を図る上で、議会の活性化はなお残された課題であり、この観点から、議会の組織、権限、運営のあり方について、改めて検討することが求められている」と書かれています。
 これはまさしく「議会の活性化」は、分権型社会創造の鍵であるといえます。
 
 では、地方議会の役割とは何か?
 簡潔に言うと、市長の行なう施策に法的根拠を与える「条例制定」と、日常施策を執行するうえで、優位になりがちな行政に対する抑制・監視といった「行政チェック」という二つの大きな役割が求められています。


◇ 条例制定
 今まで地方議会は、自治体の意思・方針を決定する「議事機関」と位置付けられ、議決する事に重点が置かれてきた所為か、議員提出条例案は殆どありません。
  しかし、これからの分権型社会の実現は、自己決定・自己責任が原則であり、議員の条例立案能力、政策法務能力の向上は、議会がその機能を果たす上で必要不可欠です。

◇ 行政チェック
  地方自治体は、二元代表制・機関対立型システムで有り、本来は与党・野党というより「議会」として行政をチェックすることが求められていますが、国政にお ける与野党の関係や過去の経緯などによって、期待されているチェック・アンド・バランスが機能しているのか疑問視される場合もあります。
 その チェック機能を果たす最大の場は、本会議における「質問」(一般質問)ですが一部形骸化していることも否定出来ません。その要因は、①質問通告制、②質問 者と当番者が対面しない、③一括質問・一括答弁方式、④重複質問、などに有ると言われていますが早急に検証と対策が必要です。
 
◇ 議会環境の改革
  議員が政策法務能力を高めるためには、議会事務局のあり方や議会図書室の機能充
 実が必要です。
 また、議会と市民を身近にするためには、既に実施している自治体が有るように会議・委員会のテレビ放映やインターネット配信も効果的です、またマンネリ化した広報誌「議会だより」の見直しも必要です。

◇最後に
  議員は非常勤であり4年任期です。その間で地方分権(主権)時代に相応しい地方議会を目指すには、定数削減・議員報酬削減だけに焦点を当てた小手先・人気 取りのような改革では無く、総合的に、且つ一気に議会の制度全体を見直し、それに伴う議会運営の改革さらには議会環境を整えるのが理想的です。
 しかし、議会活性化=議会改革は待ったなしの状況でもあり、議員定数削減など出来ることから始めるのも方法の一つであると考えています。