2007年度 6月定例会 一般質問

  2007年6月22日
    2007年6月定例会における一般質問を通告の順に行ないます。

1.市民参加手法の確立について

平成12年4月から地方分権推進一括法が施行され、地方分権はいよいよ実現の段階を迎えています。しかしながら、税財源の移譲を始めとした地方の自主財源確保の面については、未だ不十分であると言わざるを得ません。
 
このような状況の中、本年6月地方分権改革推進委員会が「基本的な考え方」をまとめました。6月4日の日経新聞にその骨子が書かれています。
 
◆目指すべき方向性として
 ・国が地方のやることを考え、押しつける中央集権型システムから転換  
 ・基礎自治体の体制のさらなる充実強化
 ・地方の事務と責任に見合った税財源の充実の観点から地方財源全体の抜本改革(東京等に税源が偏在している状況も念頭   に)
 ・国の地方支分部局等の廃止・縮小
 ・自治行政権、自治財政権、自治立法権を備えた地方政府の確立

◆基本原則として
 @基礎自治体優先
 A明快な国と地方の役割分担
 B地方の自由と責任、自立と連帯
 C受益と負担の明確化
 D透明性の向上と住民本位

◇調査審議・・・省略・参考
 ・2年以内をめどに順次勧告
 ・地方自治体の組織・定員のスリム化
 ・上書き権を含めた条例制定権の拡大
 ・国の法令による新たな義務づけなどへのチェックシステムの整備

 尚、同委員会は今後2年以内に改革案を順次まとめ、政府に勧告することとしています。

 →(1問目)
そこで質問ですが、市長は地方分権改革検討委員会のメンバーでもあると聞いております、地方分権改革推進委員会がまとめた「基本的な考え方」について、市長のご見解をお尋ねいたします。


A市民参加の手法の現状と課題について

市 民参加が新しい時代に入っていることは、既に言い古されたことになるのかもしれません、しかし、1960年代以降に使われだした「市民参加」という考え方 と、今の新しい「協働」という考え方が、どのような位置づけなるのか、本市においては十分論議されていないように感じます。
 
「協働」という行政と市民との新しい関係は、市民参加のひとつの形態としてきちんと位置付けておく必要があります。
市民参加については、いまや当たり前になっており、なにをいまさらと思われるかも知れませんが、本市において「形骸化した市民参加」、「行政のアリバイつくり」という批判があることも事実です。
これは、地方分権が進展していくうえで、地域や市民・市民活動団体・NPO等と行政との協働に関するルールが無いからだと考えます。

本市の現状と課題を整理しておく必要がありますが、端的にいうと、本市では、市民参加に対する基本理念や共通認識の構築が欠如しているように感じています。
地方分権の進展や、市民の価値観やライフスタイルの多様化、さらには公共を担う多様な主体が登場してきている現状の中、まず、市民参加・協働の意義について共通認識を持つことから始めなければなりません。

→(1問目)
そこでお尋ねいたしますが、市長は「市民参加」・「協働」・「公共」についてどのような認識をされておられるのか、お考えをお聞かせ下さい。


2.子育て支援について

平成19年度政府予算案において、全国の小学校区で、放課後の子どもの安全で健やかな活動場所の確保を図る観点から、新規施策として「放課後子どもプラン」の創設が認められました。

創 設の経緯は、子どもが犠牲となる犯罪・凶悪事件が相次いで発生し社会問題化したことや、子どもを取り巻く家庭や地域の教育力の低下が指摘される中、 2006年5月9日、(肩書きはいずれも当時ですが)猪口少子化対策特命大臣、川崎厚生労働大臣、小坂文部科学大臣がそれぞれ記者会見をして「放課後子ど もプラン」の創設を三大臣で合意したことを発表しました。

猪口大臣から川崎大臣と小坂大臣に、少子化対策と総合的な放課後対策のために、放課後児童クラブと地域子ども教室推進事業との「一体的あるいは連携して」実施する「放課後子どもプラン」の創設の提案があり、両大臣が合意したということでした。

このプランが合意になった背景には、学童保育のニーズの急増と待機児童対策に対応した早急な整備、緊急な子どもの安全対策、学童保育と学校との連携の強化などでの、学校を活用した放課後対策の必要性で一致したことにあります。
し かし、この3大臣の合意では、両方の事業が「連携」だけでなく「一体的」も含めて市町村でプランを検討するものとなっていました、枠組みを決めただけとは いえ、教育委員会主導で学校施設を活用して、両事業の「一体的または連携」を図るという枠組みでは、学童保育と地域子ども教室推進事業の一体化(学童保育 の事実上の廃止)にすすむ市町村が出てくるのではないかと危惧していましたが、既に一部の自治体でそのような動きが起きているようです。

→(1問目)
そこで、放課後子どもプランへの本市の取組み状況と今後の見通しについてお伺いいたします。


3.教育の再生について
@安全・安心の施設づくりについて(これからの学校)
安全・安心な学校をつくることは、本市の学校建築の命題でもあります。
少し時間は掛かりましたが、本年度、緊急通報装置が市内の小・中学校並びに保育園・
幼稚園に設置されることが決まり、市長並びに関係者の皆さまには心から感謝申し上げます。しかし安全・安心な施設づくりはこれで達成した訳ではなく、次の段階への始まりでもあります。

宇治市の教育施設は、新耐震設計法以前の建物が殆どです、これらには単純な構造補強による耐震改修だけでなく、同時に既存施設の有効利用も図った「既設施設のリニューアル」が求められています。

ま た、揮発性化学物質によるシックハウス対策等をおこなった「健康で快適な学校環境の確保」、身体的な障がいを持つ児童も通う事ができ、また地域に開かれた 学校として障がい者や高齢者を受け入れることが可能な、バリアフリー環境を実現する段差解消やスロープ・エレベーターの設置・多目的トイレが設置された 「誰にも優しいバリアフリーな空間づくり」、さらに省エネ化・自然エネルギーの利用、校庭の芝生化をはじめとする、緑化による温暖化防止対策を図った「地 球環境に優しい学校づくり」など、これからの学校には多くの機能と役割が求められています。

また、大久保小学校の建替え時の教訓を活かすことも必要です。

今後、宇治市で最も古い校舎を持つ宇治小学校の建替えや、耐震改修に順次取り組む
ことになると思いますが、社会環境や個人の価値観が大きく変化する中で、学校の役割は地域コミュニティの中心として期待が高まるばかりです。
その期待に応えるには、教育及び学校に期待される役割を明確にした上で、歴史・風土を強く意識し哲学と理念を基にした計画が必要であり、その際、児童・生徒、教職員、保護者、地域が参加するプロセスが最も重要です。


→(1問目)
そこでお伺いいたしますが、これからの本市の学校づくりについて、市民協働事業とした住民参加型で設計を進めることについて、当局の見解をお尋ねいたします?

また、参加型手法を意義あるものとするには、設計者の果たす役割が重要となります。従来の入札、つまり委託・請負い金額の多寡だけで設計者を決めていたのでは、十分な資質を持った設計者が選定されるとは限りません。
設計者の選定方法を、プロポーザル若しくは設計コンペとすることは出来ないのかお尋ねいたします。


A本市の生涯スポーツへの取組みについて
先日、田中議員の質問にもありましたが、巨椋ふれあい公園第2広場の閉鎖は本市の生涯スポーツ推進にとって大きな弊害となります。 

ご 案内の通り、生涯スポーツ推進は、文科省のスポーツ振興基本計画の影響下にあります。平成13年度から概ね10年間で実現すべき政策目標を設定するととも に、その政策目標を達成するために必要な施策を示したものですが、計画の開始から5年間の進捗状況等を踏まえ、今後の5年間の計画として平成18年9月に 全体の見直しを行い改定されました。

その計画の主要な課題は
1.スポーツの振興を通じた子どもの体力の向上方策
子どもの体力について、スポーツの振興を通じ、その低下傾向に歯止めをかけ、上昇傾向に転ずることを目指す。
2.地域におけるスポーツ環境の整備充実方策
生涯スポーツ社会の実現のため、できるかぎり早期に、成人の週一回以上のスポーツ実施率が50%となることを目指す。
3.わが国の国際競技力の総合的な向上方策
オリンピックにおけるメダル獲得率が。夏季・冬季合わせて3.5%となることを目指す。

となっています。この中に地方公共団体においては、本計画を考慮しながら地方の実情に即したスポーツの振興に関する計画を定めることと明記されています。

→(1問目)
そこでお伺いいたしますが、このスポーツ振興基本計画に総合型地域スポーツクラブの育成と書かれています。
本市では、この方策を受けて今年2月に東宇治スポーツクラブを発足させましたが、この総合型地域スポーツクラブが本市に必要であったのか疑問です、当局のご見解をお示し下さい。
また、本市の生涯スポーツ推進についての課題は、少子高齢化による様々な影響と指導者の育成、そして活動場所の確保だと思いますが、これらの課題についても当局のご見解をお示し下さい。