2004年度 9月定例会 一般質問 

通告に従い一般質問を行ないます

地域(市民・自治体)と国の関係において、「地方分権」の論議が盛んになっておりますが、私はこの地方分権という言葉に強い違和感を持っています。

地方分権とは、国の権限の一部を「地方」に分け与える状況であり、主従の関係には、なんら変化がございません。

使い道が制約された、補助金・交付金制度が存在する限り、決定権は国にあります。議員には地域の利益代表であることが期待され、市町村は都道府県に依存 し、都道府県は国に依存している、仮にこのような状態であるとしたら、自治体であるとは言えません。主体性や意思を持たない「行政体」という言い方が適切 であります。

今必要とされているのは、情報公開から「情報提供」へ、市民参加から「市民主権」へ、地方分権から「地域主権」への発想の転換であります。

「地域主権」とは、市民・個人、NPO、企業の一人ひとりや地域一つひとつの思いや感情を大事にすること、このことがすべての原点であると考えます。

去る2月21日に大阪で行われた、『市民主権・地域主権フォーラム』に参加して、今、まさに転換期であるということを強く感じ、本日の質問に移らせて頂きます。


■ 地域主権のまちづくりについて


1.市町村合併について

 日本中、市町村合併の風が吹き荒れ、浮き足立っていると感じているのは私だけでは無いと思います。議員にならせて頂いてから、いくつかの自治体を行政視 察させて頂きました、その視察先のほとんどで、過去・現在において市町村合併についての論議が行われていました。しかし説明を伺っていても合併後のビジョ ンが見えない、違和感を受ける自治体さえございました。本市においても12月に市長選が行われる為か、議会内を始め市民の間でも議論が再燃化しつつあるよ うに感じています。

 現行の合併特例法「市町村の合併の特例に関する法律」の期限が2005年3月末で切れることに伴い、新たに「市町村合併関連3法案」が国会に提出され成 立いたしました。その内容は、2004年3月末までに合併申請を行えば、現行の合併特例法の規定の適応を可能とする法案。2005年度以降、合併特例区制 度の創設や知事による合併構想の策定等により合併推進を図る法案。住民自治の強化を目的とした「地方自治区」の創設や、都道府県合併の手続き整備等を内容 とした法案です。市町村合併論議の再燃はこの3法案の成立と無関係ではないと考えます。

市町村合併は、あくまでも市民の自主性に基づいて行わなければなりません。

私は「市民の総意として合併を選択する」という過程を経ての結論であれば、もちろん反対いたしません。市民に対する行政サービスの内容や範囲、あるいは自 立に必要な財政規模を考えると、合併した方が良い自治体も確かにあります。しかし今、各地で行なわれている合併論議からはビジョンが見えてきません。国か ら合併特例法に基づく特例債の発行など数々の優遇措置という名の「アメ」をもらわんがための手法とするものであり、ビジョン無き合併は将来に憂いを残すこ とになります。国のいう地方分権も市町村合併もその最も尊重すべきは、地域主権・住民主権を実現し、確実に保障・発展させることであります。

小泉内閣の言う三位一体改革は、財源・権限移譲の具体的な中身が、未だに明確になっていません、国が補助金あるいは地方交付税をもっと減らし、財源を国か ら地方に移して、地方が自分の稼いだ金で自分の行政をやるようにしていこうという事だと認識しています。この延長線上にある合併問題については、その自治 体経営の根幹となる点を含む、多くの点が不明確である現時点は、是非を問う判断材料が揃っていないと言えます。例えば合併して、権限をメリットと考え、よ り多くの権限移譲が可能な規模の市を目指していくのであれば、特例市、中核市、政令指定都市と限りなく巨大化を追い求めていく必要があります。

そこには住民自治の姿は見えません。市民と一緒になったまちづくりが強く求められる今、久保田市長が常日頃言われる「市民が主役のまちづくり」は、まさしく21世紀の地方自治のあるべき姿であると考えます。

これは「小さな自治」が出発点であり「特徴のあるまちづくり」が到達点であると考えています。市町村合併に対する、市長のお考えをお伺いいたします。

2.行財政改革について

 本年6月末に、国の借金だけで729兆円を超え、さらに今年度、新規発行する国債は36兆6千億を予定していると報道がありました。これに地方の分を加 えた債務は、1000兆円を超えているとも言われています、借金の膨張に歯止めがかからない、わが国の危機的財政状況の中、本市の行財政を取り巻く環境に も明るさは見えません。

行政の役目は、少数意見にも配慮しながら、全ての市民が安心して豊かな生活を営むことを可能にすることであり、市民の所有する「サービス事業体」であるという認識を双方が持つことであります。

企業と同じように支出が収入を上回っている状況、つまり赤字になると@公的サービスを止めるか、A税や公共料金などの値上げをするか、B運営経費を節減す るかの選択を、行わなければなりません。今までは国が保証人となり借入金で賄っていました、それも国の財政悪化で出来なくなりつつあります。今後は市民 に、より一層市政に関心をもって頂き、改革の必要性を理解して頂かなければなりません。

この危機的状況を背景に、近年「役所のリストラ」がさかんに話題にのぼるようになっています。限られた人材を有効に活用し、簡素で効率的な行財政運営に取り組んでいくことは、地域主権のまちづくりの実現に不可欠であります。

本市では、「宇治市人材育成計画」が本年3月に策定され、6月の総務常任委員会において協議されています。また、本年度中には、具体的な実施計画を作成す るということを聞いております。この「宇治市人材育成計画」は全議員に直接配布されたものでも、市民へひろく公開されたものでもありません。市長の人材育 成に対するお考えをお示し頂きたいと思います。

また、本市には、職員1,443名、再任用職員9名、非常勤嘱託465名、臨時職員401名が勤務しています。この2,318名をコストと考えるのか資産と考えているのか、お伺いいたします。

人材を資産にするのか、コストになるのかは、育成次第であると考えられます。

人材の資産化には、@納得できる業務評価制度、Aスキルアップの視点、B報酬、昇格といったモチベーションの視点が、確立されていることが重要です。当市 の人材育成計画にも表現は違いますが、明記されています、しかし職員への周知および具体的な方法については記載してありません、現時点の周知状況および実 施計画の作成状況についてお伺いいたします。

次に、雇用形態の違いが、人材育成という点においても、大きな差が生じているのではないかという疑問があります。市民は、職員の雇用形態の違いによって、 要求する内容を変える訳ではありません。要求する内容に対し、速やかにかつ的確に対応してくれることを望んでいるだけです。つまり、雇用形態とは関係な く、優秀な人材を確保し育成していく事が当局に求められているということです。近年、民間企業では雇用形態に関係なくパート労働者を管理職にするケースも 増えています。正規職員以外の職員についての人材の資産化及び人材育成について当局のお考えをお伺いいたします。

行財政改革は、市長の強いリーダーシップの下、職員自らの手で行なわなければなりません。その為には、人事部門の体制が人事管理から人材管理へ転換できていることが重要であります、本市の人事部門の体制についてのお考えをお伺いいたします。

3.市民との協働(コラボレーション)について

本市に限った課題では有りませんが、過去、社会的な活動を市民が担うという土壌を形成してこなかった為に、公共的な利益や時代を捉えると、ミッションを 持ったNPO (民間非営利活動団体) 活動及び市民意識構造をどのように形成していくのかが、これからの地方自治体には求められていると考えます。今までは、ボランティアがそれなりの位置づけ で行政とのパイプ役、あるいはまちづくりを担ってきました。しかし、対等な立場であったとは思えません。 財政的理由だけで行政サービスを担ってもらうの ではなく、地域におけるコミュニティの形成は、行政との対等なパートナーシップが基本であり、その窓口にはNPOが望ましいと考えています。しかし現状で は、本市において行政パートナーを標榜できる、明確なミッションを持ったNPOの出現には、もう少し時間が必要で有ると思います。市民活動の活発化を図る 為に、また、市民活動やNPOの自主性と自立性を尊重しながら、幅広い支援を図る為には、NPOの支援と育成が急務であります、支援と育成に対する、当局 のお考えをお伺いいたします。

次に、2003年9月から改正地方自治法が施行され、新たに指定管理者制度が導入されました。この制度は、地方自治体が条例の定めるところにより、法人そ の他の団体を指定して「公の施設」の管理を行うもので、経費節減と効率性を主たる目的として導入された経緯がございます。公の施設の管理方法は、これまで 直営か管理委託かのいずれかであったわけですが、今後は直営か指定管理者制度のいずれかになり、その選択は自治体に委ねられています。京都市では本年2月 の市議会で可決され、導入は2006年4月からと決まっております。この制度は、市民との協働関係の構築を目指すものであります。本市におけるこの制度に 対する考え並びに制度の条例化について、お伺いいたします。

次に、久保田市長は、「もし市役所が二つあれば選ばれる市役所になろう」、と市職員に強く要望されています。選ばれる市役所、選ばれる行政サービスとなる には、どうあらねばならないか、社会の変化と合わせ、常に意識しておく必要があります。ご承知の通り、埼玉県志木市では既に行政パートナーという形で、第 2の市役所づくりを実践されています。

行政サービスは、施策毎に要求される内容や質が違います。つまり、施策によって、直営か、外注か、あるいは協働か、適切な方法を選択する必要があります。 そして何より大事なことは、まず政策を作っていく過程で、市民の声を取り入れることであります。しかし、審議会などを開いて、ある程度煮詰まってから市民 へお知らせをする、というのが今のやり方であると思います。協働を目指す為には、情報を共有した市民が市政に積極的に参加し、白紙の段階から一緒になって 論議し創り上げていく事が重要です。

こうすることにより、仮に行政サービスの水準を落とすといった、マイナスの施策であっても合意を取り付けることが出来るはずです、財政が厳しい時代だからこそ、こういった手順が重要であると考えます。市民との協働についてどのようにお考えか、市長にお伺いいたします。

また、地域活動に市職員の関わりが希薄であるという声も聞きます、地域再生のためには既存の地域団体にお願いするだけでなく、市政に精通した市職員の地域 の一員としての、積極的な関わりは極めて有効であります。地域活動は定年後に行おうと考えておられる方がこの場にも沢山おられると思いますが、現役時代か ら関わって頂く事をお願いいたします。

4.公共交通機関の整備について

今まで当たり前のように生活していたのが、年を重ねるごとに自由に行動できなくなる、或いは病気をした際に感じる不自由さは、誰もが経験しておられると思います。

物理的バリアーの為に自由に行動できない、そのバリアーを取り除いて欲しい、このことは障害の有無に関係なく、誰もが当事者意識を持てば容易に想像できる事であります。2015年には団塊の世代が全て65歳以上になり超高齢社会が現実のものとなります。

高齢者や障害者の方々の活動範囲を広げる、或いは維持する為にも、「宇治市交通バリアフリー全体構想策定委員会」が設置され論議を進めていかれることは、 バリアフリーのまちづくりの第一歩であると期待するのと同時に、この委員会で策定される全体構想に、どれだけの実行性を持たせるのか見極めたいと考えてお ります。

各種団体の代表者並びに交通関係の民間企業の方も多数委員として参加された素晴らしいメンバー構成による委員会であり、多方面からの意見を聞くことの出来 る絶好の機会であります。この機会を生かすためにも、交通バリアフリー全体構想の策定範囲を駅舎及び周辺と限定するのではなく、そこに至るアクセスのバリ アーについても論議し、解決していかなければ真のバリアフリーとは言えません。

日常生活を営んでいく上で、道路や建物をはじめ至るところに存在しているバリアー、道路状況などについても多くの意見や情報をお持ちの委員の知恵をお借り し、市内全域のバリアフリー化に取り組み、高齢者や障害者の方々の負担を取り除き、人にやさしい宇治のまちの実現の為にも、この委員会を積極的に活用して 頂くことは当然ですが、今後、定期的に市民や交通関係企業の意見交換の場を設けることも必要であると考えますが、当局のお考えをお伺いいたします。

地域主権のまちづくりのためには、コミュニティの構築と誰もが平等に利益を受けることが必要です。しかし交通手段が無いために高齢者や障害者の方々の行動 は阻害され、一部の方においては、社会から隔絶されるという結果さえ招いています。これはある意味、日本国憲法25条「国民が人間らしく生活する権利・こ れを実現する国の社会的補償的義務」に抵触する恐れさえあると言えます。

人が社会の中で生き、人と交わり、社会に参加する事は、人として生きる事の原点であり、守るべきノーマライゼーションの精神であります。これは保障されな ければならない事であり、この観点からも多くの市民の足となるうる、地域循環バスの導入は有効で有ると考えます。これまでにも幾度となく議会において論議 されていますが、当局の前向きな答弁は無いようであります。これからは、行政が知恵とお金を出し、民間企業に運営をお願いする時代ではございません。市民 との協働だけが前面に出ていますが、民間企業についても、市民や地域社会に対してその役割分担が求められていると考えます。行政と市民、あるいは民間企業 という組合せではなく、市民やNPOと民間企業の組合せが有効であると考えています。事業として成立させるにはどうすれば良いのか、一緒になって知恵を絞 ることも協働であると言えますが、行政に、より強く求めらているのはコーディネイターとしての役割であると考えますが、当局のお考えをお伺いいたします。

5.地域通貨について

 地域主権を掛け声だけでなく、実効あるものとするには一定以上の地域力が必要であり、その構築の為には市民相互のコミュニケーションの活性化が不可欠であります。

NPO活動と地域通貨の連動による地域活性化策は、インティンシブな手法として非常に有効であると世界中の地域において実証されています。

一般的に地域通貨の発行要因は、@不況時の失業対策、A特定のコミュニティ創造と維持、Bシャドーワーク(賃金の対象とならない影の労働:家事など)の顕在化、の3つに分類できますが、複合した形で発行される場合も数多く見うけられます。

わが国においては、2003年度に総務省が開催した「新しい経済活動を伴う地域経済の活性化に関する研究会」において、地域通貨には、コミュニティ活動や 地域経済を活性化する効果が期待できる、また、地域通貨の導入・普及には、ITの活用と地方公共団体の役割が重要、との議論がなされました。そこで総務省 では2004年2月27日、地域再生推進のためのプログラムの支援措置の一つとして地域再生計画の認定を受けた、千葉県市川市、福岡県北九州市、熊本県小 国町の3市町において実証実験をすることにしましたが、地域通貨は国が改めて検証するまでも無く、既に日本の各地域でも実際に発行され運営されています。

 地域通貨の特徴は、@市民の手で作れる、A限られた範囲でしか使えない、B利子が付かない、C貧富の差の拡大が起きない、D地域の活性化に役立つ、等があります。

 地域通貨を使いたい人は、自分ができることや、して欲しいことを登録し、この登録リストという人の輪を基に、取引が成立すると、地域通貨が対価として支払われます。

 できることを登録するということは、地域に「貸し」を持つことに等しく、頼みたい事を登録すれば「借り」を作ることに等しいと考えます、ひと昔であれば隣近所との付き合いの中で有形無形、自然な形の貸しや借りが発生し、コミュニティが形成されてきた歴史があります。

本市には、未だに古き良きコミュニティが存在している地域がいくつも残っています。しかし、その良き時代を創ってこられたリーダーの方々の高齢化に伴い、地域力は衰退しつつあるのが実情です。 

地域活性化策として地域通貨を発行することは、自立した市民による新しい形のコミュニティが創られる可能性を秘めています。特に、地域に対して貸しや借りを作ることで地域の一員としての自覚も生まれてくると考えます。
 地域通貨は、NPOや地域団体が創り上げ、運営する方が望ましいとは思いますが、先進的に取り組んでいる事例を調べてみますと、定着させ持続させていく には法的問題も含め、課題解決に多くの時間が必要となります。課題を解決させていくことにより地域力は育っていきますが、地域力向上は、「地域主権」実現 の為には不可欠であり、「人」「物」「金」の支援が行政に求められています。しかし、永続的な支援では逆に地域力向上の障害ともなりかねません。必要なの は活動を支える仕組みであり、自立できる持続可能な取り組みであります、このような理由からも、地域通貨は地域力向上に最適な取り組みであると考えます。

市民活動支援策として、地域通貨の発行に向けた取り組みへの支援は、行政としてどのような方法が有効であると考えておられるのか、お伺いいたします。


【福祉行政】

■    誰もが地域で安心して暮らし続けるために

久保田市長の積極的な高齢者福祉施策は、京都府の中で最も早く取り組まれた前期痴呆予防教室やパワーリハビリといった介護予防の推進をはじめ、宇治市高齢 者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき、高齢者福祉関連事業の充実を図られていることについて高く評価しております、しかし高齢者福祉を取り巻く環境 は大きく変わりつつあります、これらを踏まえ質問に入らせていただきます。

1.介護保険制度の見直しによる影響について

去る7月30日に、厚生労働省・社会保障審議会・介護保険部会から「介護保険制度

の見直しに関する意見」が提出されました、これは来年度に予定されている介護保険制度見直しの骨格をなすべきものです。介護保険制度は、基本理念に「自立 支援」を掲げ、その実現のために、@利用者本位のサービス改革、A在宅ケアの推進、B地方分権の推進、この3つを政策目標としています。しかし基本理念の 徹底の為には取り組むべき課題が多いのは、ご承知の通りでございます。

今回提出された意見書には、超高齢社会に向けて「自立支援」と「尊厳の保持」を基本とし、@介護予防の推進、A痴呆ケアの推進、B地域ケアへの展望という 新たな課題に取組むことを求めています。本市においては、既にこれらの課題に問題意識を持って取組んでいると認識しております。

「介護保険制度の見直しに関する意見」に書かれている内容そのままに介護保険制度が変わってしまうとは思いませんが、先日、都道府県の担当責任者への説明 会が厚生労働省で行われたと新聞報道がございました。地方自治体に向けても順次、説明会が行われると思いますが、法が施行されてから対応を考えるのではな く、今から意見書についての検討行い、対策を立てておく必要があると考えます。本年3月の予算委員会でもお尋ねいたしました、平成15年度の本市の各介護 度認定者数及びサービス利用者数は、予測を超える伸びを示しておりました、これは本市に限った状況ではなく、日本中で同じ現象が起きており、必然的に給付 金額も大幅に増えています。意見書によると、要支援・軽度の要介護者は今まで通りのサービスを受けられなくなる可能性を示唆しており、新たに出来る「新・ 予防給付」の創設を行うための検討を求めています。 

今回の介護保険制度の見直しによる、本市への影響並びに対策をお伺いいたします。

2.在宅サービスの基盤整備について

誰もが、自宅で或いは地域で安心して暮らし続ける事を望んで居られると思います。自宅で暮らし続ける際重要な条件となるのは、提供される量と質の問題です。

介護現場の声として、宇治市老人介護者家族の会が1999年(平成11年)から毎年のように当局に対して、在宅介護サービス支援についての要望書を提出されています。

要望書には、本来、国や府が主体となって改善しなければならない課題も含まれていますが、問題解決に向けての、介護保険者である本市の役割及び責任は、重大であります。

要望書の特に切実な問題は、緊急時におけるショートステイの利用に関する内容です。本市の介護保険事業計画では、平成15年度から19年度までの間、 ショートステイのサービス必要量に対し、サービス量は100%の供給率になっております。しかし、宇治市老人介護者家族の会が、実際に介護されている会員 やケアマネージャーを対象に行われたアンケート調査によると、最も不満が多いのがショートステイの利用に関する内容であり、希望する時に利用できている方 はわずか31%に過ぎません。利用できない方が35%、さらに、何らかの理由で申込さえ出来なかった方が34%もおられます。この現場の利用状況にも関わ らず、ショートステイのサービス必要量に対する、サービス量が100%の供給率であるということを理解することが出来ません。

このショートステイの利用に関しては他市でも問題となっており、「東京の社会福祉 提言2003」のなかにも、在宅生活を支えるショートステイ機能の強化 という項目があり、@緊急ニーズに対応した利用調整のしくみと緊急用ベッドの確保、Aショートステイの計画的な整備と多様な利用方法の推進、について提言 が行われています。この提言の内容は、まさしく本市においても、早急に取り組む必要がある課題です。

在宅介護と施設介護には3倍とも言われる費用格差がございます。保険者には、在宅介護サービスの利用者にも納得して頂ける、平等な介護サービスを提供する 義務があると考えます。例えば、法的に難しい点が有るかもしれませんが、夜間は使用しないデイサービスや他の福祉施設を利用することも緊急用ベッドの確保 には有効な手段になると考えます。在宅サービスの基盤整備とショートステイ機能の強化について、当局はどのような認識のもと対応を考えておられるのか、お 伺いいたします。

3.施設サービスの基盤整備について

介護保険制度は、利用者がサービスを選択する仕組みのはずですが、本市において、選択できるほどの施設サービスが提供できているのか、介護保険事業計画に基づき、施設サービスの基盤整備の状況をお伺いいたします。

4.介護サービス事業所の評価について

一般的には量的充足が達成出来てから、事業所間の競争が始まり、その後質の向上が図られると言われています。しかし、様々な規制により新規開業が制約され ている現状では、先行して介護サービスを提供してきた事業所に、既得権が発生し優遇されているといえます。開設当初から顧客主義を運営方針に掲げ、利用者 の気持ちにたったサービスを提供されている事業所があるのも承知しております。しかし、本当の意味での事業者間の競争は、未だに始まっておらず、実質的な 質の向上についても満足できる取り組みはされていません。

利用者が事業所を選択する際、最も重要となる介護サービス事業所の情報提供は

行政からの基本的な情報に留まっており、事業者からのパンフレット等の一方的な情報では、客観性が保てているとは考えられません。介護サービス事業所を選 択する際、判断に役立つ十分な情報として、どのよう内容の情報が必要であると考えておられるのか、又、情報提供や第三者評価システムの導入について、当市 の取組状況をお伺いいたします。

次に「介護保険制度の見直しに関する意見」によると、今回制度運営の見直しを行い、保険者である市町村の機能・権限を強化することがうたわれています。こ の事は、保険者である自治体が、利用者のニーズをもっとも身近に感じ、詳細について把握していることから当然の見直しであるといえます。しかし、今、介護 の質や内容に問題や課題を抱えている、介護サービス事業所が存在していることも聞いております。

このような声は、その都度当局にも届いていると思います、その場合、事実関係の情報収集も踏まえどのように対処されているのか、お伺いいたします。


以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。